鉄を燃やそう
はじめに
鉄は,鉄橋(てっきょう)や,高架道路(こうかどうろ)のけんせつには
なくてはならない金属(きんぞく)です.鉄をはじめとして,金属はひじょうに
強いものとしてよく知られています.硬(かた)く,くさりにくく,燃えないのが
特長(とくちょう)と言えます.しかし,金属は,鉄のように硬くて強いものばかり
ではありません.
やわらくて,包丁でかんたんに切ることができる金属もあります.
空気中でかんたんに燃えてしまう金属もあります.
また,どんどん細かくしてゆきますと,鉄でもかんたんに燃え出します.
今回は,このようすをたいけんしてもらいます.
- 鉄のぼうに火を近づけて見ましょう,燃えませんね.
- 鉄をひも状にしたスチールウールに火を近づけてみてください.
- マグネシウムリボンを長さ約2cm位に切り,はしをピンセットでもち,火を近づけてみてください.
- ナトリウムのかたまりを出してもらい,ピンセットで押さえながら,ほうちょうで切ってみてください.さら
に,ナトリウムを米つぶの半分ぐらいに切って,ペトリざらの中にしいた,しめったろ紙の上においてようすを見てください.この時,けっして顔を近づけない
でください.1
- 鉄粉(てっぷん)約0.5gを半分にきった薬包紙(やくほうし)をにのせ,細長くのばし,その薬包紙を半分
に折り,もう半分に折り,さらにこよりのようにする.そして,はしをピンセットでもち,薬包紙に火を着けてください.2
- 鉄以外に,アルミニウム,亜鉛(あえん),銀(ぎん)の粉末についても同じようにしてみましょう.
- 今度は,鉄をゆっくり燃やします.ふつう燃えると熱が出ますね.鉄も燃えると熱を出して,酸化鉄(さんかて
つ)となります.このように鉄が酸化鉄となる変化(反応:はんのう)を鉄は酸化されたといいます.ゆっくりと燃えると,その熱(ねつ)もあまり熱くなく,
カイロとして使うことができます.さきほどは,ナトリウムが水と反応して燃えましたが,鉄は,ただの水とはひじょうにゆっくりとしか反応しません(酸化さ
れません).
鉄を水の中にいれておくとさびができますが,これは水がひじょうにゆっくりと反応したものです.あまりにもゆっくりなので,温度もほとんど上がりません.
そこでゆっくりではありますが,温度があがるのがわかるていどに,もう少し速く酸化されるようにくふうをします.それには,水の代りに食塩水(しょくえん
すい)を用いるとうまく行きます.3
まず,コ−ヒ−フィルタを用いて,図のように袋を2つ作ります.

それぞれの袋に,おがくず3gに5%の食塩水2mlを加えてよくかき混せてから,4
紙袋に入れる.つづいて鉄粉10gを入れてのりでふたをする.
一つの袋はよく振って,どうなるか変化を見たら,すぐにビニール袋に入れ空気をぬいてふたをしてしばらく様子を
見てください.そして変化があったら,またビニール袋からとりだして,ようすを見てください.5
もう一つの袋はふたをしたら,ふらずにすぐにビニール袋に入れてきっちりふたをして,そのまま持って帰って,寒
くなってから,ビニール袋から取り出してふってみて,売っているカイロのように温かくなるかどうかを確かめてください.もし温かくなったら知らせて下さ
い.6
- ナトリウムは水と反応して,水素(すいそ)をはっせいしながらとけます.
ナトリウムが水にとけてできる水酸化ナトリウム(すいさんかナトリウム)の水溶液(すいようえき)は,強いアルカリ性で皮膚(ひふ)をとかします.目に入
るとたいへん危険ですのでちゅういが必要です.大きなかたまりのナトリウムが水と反応しますと爆発(ばくはつ)を起こします.このようにナトリウムは空気
中の水とも反応して燃えてしまいますので,ふだんは水とふれないように,石油(せきゆ)の中にたくわえておきます.
- 金属も,細かい粉末になると燃えるものがたくさんあります.
- 鉄は真水よりは海水の中での方がさびやすいですね.
- おがくずの代りに,冷蔵庫の脱臭剤(だっしゅうざい:ヤシなどを焼いて
作った炭でできている),化学用活性炭(かがくようかっせいたん:非常に細かい炭の粉),えんげい用の土として売られているバーミキュライトや,ティッ
シュペーパーをちぎったものでもかまいません.
- 鉄が酸化されるには空気が必要です.その空気が供給(きょうきゅう)され
なければ,熱も出なくなります.
- しはんの使い捨てカイロは,てきとうな温度で,長時間反応がつづくよう
に,鉄の粒子(りゅうし)の大きさや,量,食塩水に量,活性炭(かっせいたん)の量やしつなどにくふうをこらしてあります.
ここでつくったカイロは,温度が高くなったりして安全ではありませんので,実用にはなりません.
担当:教員養成課程理科教育講座化学専修 有賀正裕
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