2006年度 解析学A[前期]、解析学B[後期] (2回生)
- 毎週木曜日2時限目(14:50〜16:20)
- オフィスアワーは火曜日5限目(16:35〜18:05)に設定してますが、それ以外でも研究室にいれば質問を受け付けます。
- 教科書
- 初歩から学べる複素解析 佐藤恒雄・吉田英信(共著) 培風館
- 試験について
- 試験は合計3回行います。介護実習で受けられない場合を考慮し、中間試験は点数の高いものを評価の対象とします。
- 講義ノート
- 毎回の講義ノート等はホームページに公開します。pdfファイルです。もし読めない人はhttp://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep2.html からダウンロード(無料)してください。
--講義内容[後期]--
- 10月5日 グリーンの定理
今回と次回でコーシーの積分定理の証明を行う。後期のしょっぱなから証明をするのは疲れるかもしれませんが、大事な定理なので、できるだけしっかりやるつもりです。まずはその準備のためにグリーンの定理の紹介と証明をしました。次回、これを使ってコーシーの積分定理を証明します。
- 10月12日 コーシーの積分定理の証明
グリーンの定理を使った証明をサラッとした後, 導関数の連続性を仮定しなくても証明できることを紹介しました。(ほとんど)同じ定理を2回も証明する必要があったかわかりませんが、なんとか2回で終わらすことができました。次回からコーシーの積分定理の恩恵についてです。
- 10月19日 コーシーの積分表示
コーシーの積分定理をつかって、まずコーシーの積分表示の紹介と証明。更にコーシー積分表示を使えば、正則関数は何度でも微分可能であり、導関数も積分表示できることを証明しました。また、積分表示を使って、簡単な積分計算も紹介しました。次回はいよいよ代数学の基本定理の証明です。
- 10月26日 最大値の原理、代数学の基本定理、リュービルの定理
コーシーの積分表示から正則関数が平均値の性質をもつことを紹介。これを使って、最大値の原理を証明し、代数学の基本定理を証明しました。最後にリュービルの定理を紹介しました。以上が中間試験Tの範囲です。来週は神霜祭ですが、あまり遊びすぎずしっかりと試験勉強してください。
- 11月2日 休講
- 11月9日 中間試験T
試験Iの結果は受験者数51人、平均点54.8点、得点分布は以下の通り。
得点 |
0〜19 |
20〜39 |
40〜59 |
60〜79 |
80〜100 |
人数 |
1 |
9 |
17 |
20 |
4 |
問題1&問題2は前もって出題すると予告してあったので、大変良くできていました。問題3&問題4は単なる計算問題。問題5もコーシーの積分表示を使うだけなので、皆さん大変良くできていました。少し簡単すぎたかもしれません。期末試験はもう少し難易度を上げた方が良いかもしれませんね。
- 11月16日 関数列の収束
最も理解の難しい(?)関数列の一様収束性について説明しました。最後に正則性と広義一様収束性について説明しましたが、1回生のとき実関数の場合をやってないので、コーシーの積分定理の威力を紹介し切れなかったのが残念。
- 11月23日 勤労感謝の日
- 11月30日 関数項級数の収束、べき級数、正則関数のテイラー展開
関数項級数の収束の定義を紹介した後、前回の諸定理を適用することによって、収束先の連続性・積分可能性・正則性についても成立することを述べた。簡単な例である、べき級数については、だいたい実数のときと同じなので簡単に済ませ、最後に複素関数の正則性と解析性の同値性の証明を行った。
- 12月7日 一致の定理、ローラン展開
解析的(=正則)な関数の最も驚く性質を述べた一致の定理について解説した。それなりに学生は驚いてくれたようだ。続いて中途半端になってしまったが、孤立特異点について調べるためにローラン展開を紹介した。孤立特異点とローラン展開の関係については中間試験後になります。
- 12月14日 中間試験U
試験Iの結果は受験者数44人、平均点46.3点、得点分布は以下の通り。
得点 |
0〜19 |
20〜39 |
40〜59 |
60〜79 |
80〜100 |
人数 |
1 |
13 |
20 |
10 |
0 |
問題1はべき級数の収束半径を求めるだけなので、コーシー・アダマールまたはダランベールの公式を使って極限を求めるだけ。高校生でも解けます。問題2、問題3、問題4は予告問題だったので、比較的良くできていた。しかし、予告しない問題5、問題6はほぼ全滅。予告問題を言うとそれしか勉強しないように思われる。教育的ではないので期末試験は出る問題を言いません。しっかり勉強してください。また、試験問題に書いてある得点だと90点満点になっていたので、問題5と問題6を15点にしました。(得点調整が楽。)
- 12月21日 孤立特異点
孤立特異点について解説した。除去可能な特異点及び極の特徴づけまで説明しました。真性特異点の性質については次回します。
- 1月11日 留数定理
真性特異点の性質と留数定理について説明しました。次回の留数定理の応用については演習形式にします。
- 1月18日 留数定理の応用
演習プリントを演習形式で行いました。留数定理を使った積分計算はできるようにしておいてください。
- 1月25日 期末試験
試験Iの結果は受験者数57人、平均点36.9点、得点分布は以下の通り。
得点 |
0〜19 |
20〜39 |
40〜59 |
60〜79 |
80〜100 |
人数 |
7 |
26 |
19 |
2 |
0 |
問題1はローラン展開をして孤立特異点の種類を決定しなければいけません。ローラン展開の復習をしていなかった人が多かったようです。問題2は比較的デキが良かったです。問題3(1)は留数定理を使うだけなので、まあまあできていました。(2)は(1)を使うだけなのですが、やはり不等式の評価は皆さん苦手なようです。完全解答はありませんでした。問題4は全滅でした。「正則関数が零点をもつ」ということはどういうことかちゃんと理解していれば簡単に証明できます。証明問題は本当にできませんね。問題5は教科書の例題をそのまま出しました。計算量はやや多めですが、教科書をちゃんと勉強していた人は解答できていました。あと気になったのが累乗をちゃんと理解していない人が多かったです。
- 1月30日 予備日
- 2月6日 予備日
--講義内容[前期]--
- 4月13日 複素数と複素平面
イントロの後は、複素数と複素平面の復習にほとんど時間を費やしました。最後にオイラーの公式を紹介して終わりました。来週からもう少し本格的になっていくと思います。
- 4月20日 一次分数関数と円円対応
複素平面上での四則演算について解説した後、簡単にハミルトンの実数から複素数を構成する方法を紹介しました。後半は一次分数関数は複素平面上の直線または円を直線または円に移すことを証明しました。これを円円対応の原理と言いますが、なぜ円円なのかは次回延々と解説します。(おやじだな・・・汗)
- 4月27日 リーマン球面
リーマン球面について解説しました後、単位円を単位円にうつす一次分数関数を決定しました。もう少し上手く説明できると面白いところだったと思うのですが、少し急ぎすぎたのが良くなかったようです。連休中にしっかり復習してください。また一次分数関数の範囲は指定した教科書には載っていないので何か他の参考書を見ることをお勧めします。
- 5月4日 休日
- 5月11日 中間試験T
試験Iの結果は受験者数68人、平均点43.0点、得点分布は以下の通り。
得点 |
0〜19 |
20〜39 |
40〜59 |
60〜79 |
80〜100 |
人数 |
5 |
17 |
32 |
13 |
1 |
あまり講義のほうは進まなかったので、最後の問題以外は高校数学の範囲で解ける問題ばかりでしたが、デキの悪さにがっかり。半分以上取れていない人はこれからかなり苦労すると思います。今のうちに復習をしましょう。
- 5月18日 連続性と複素微分可能性
今日から本格的に複素関数論のスタート。複素関数の連続性と複素微分可能性について説明しました。ここまでだと実関数とあまり変わった印象がないように思われがちですが、少しずつ実関数と複素関数の違いが現れてきます。復習のほうをしっかりとしておきましょう。
- 5月25日 正則性とコーシー・リーマンの関係式、指数関数と三角関数
コーシー・リーマンの関係式について説明しました。実関数と複素関数の微分可能性についての違いを実感できたと思います。正則関数の例として、複素数版の指数関数と三角関数を定義しました。(たぶん)普通は複素数のべき級数の話からこれらの関数を導入する本が多いと思いますが、最近はオイラーの公式からスタートするやり方でやさしく(?)定義する本が結構あります。この講義の教科書もその方式をとっているので、とりあえず教科書に順ずることにしました。でもやっぱりべき級数をしないと面白くないのでそのうち(後期?)します。
- 6月1日 対数関数と累乗、等角写像の原理
複素数版の対数関数について説明しました。無限多価関数であること、ブランチを考える必要があることや無理やり一価関数とみなす方法としてリーマン面を考えることなど。指数関数と対数関数が定義できたら複素数の累乗をすぐに定義できる。基本的な正則関数の例はこの程度にして、最後に正則関数の等角性について説明しました。以上が中間試験Uの範囲です。色々新しいことがでてきたと思います。しっかりとした復習が必要だと思います。
- 6月8日 中間試験U
試験Iの結果は受験者数52人、平均点30.7点、得点分布は以下の通り。
得点 |
0〜19 |
20〜39 |
40〜59 |
60〜79 |
80〜100 |
人数 |
13 |
23 |
11 |
4 |
1 |
どれも基本的な問題で、しっかりと定義がわかっていたら解ける問題ばかりでした。そこら辺を理解している人とそうでない人でかなり差がでました。ここらでつまずくと今後かなり苦労するので、試験が終わったからといって安心せず、復習をしてください。
- 6月15日 全学休講日
- 6月22日 試験解説
大事な部分なので丁寧に解答の解説を行いました。次回から複素積分の話をします。期末試験は講義期間の最後の日に変更になりましたので、ご確認ください。
- 6月29日 複素積分
複素関数の曲線に沿った線積分について説明しました。少し時間が余ったので教科書の例題をやりました。線積分くらいはちゃんと計算できるようになってください。
- 7月6日 コーシーの積分定理
複素積分の性質とコーシーの積分定理について説明しました。前期では時間の都合上、コーシーの積分定理の証明については触れません。後期の始めにまわします。とりあえず、コーシーの積分定理を使えるようになれば良いです。次週は簡単な応用について説明して、前期の講義を終了したいと思います。
- 7月13日 コーシーの積分定理の応用
引き続きコーシーの積分定理を使った計算。最後に実関数の積分への応用を紹介しました。
- 7月20日 期末試験
試験Iの結果は受験者数61人、平均点46.1点、得点分布は以下の通り。
得点 |
0〜19 |
20〜39 |
40〜59 |
60〜79 |
80〜100 |
人数 |
4 |
14 |
19 |
19 |
5 |
必ず出すと言った問題は大変よくできていました。全体的にも良くできていました。後期はこれらを踏まえて講義を進めますので、前期の範囲で理解が不十分なところは各自で補ってください。
- 7月27日 予備日
- 8月3日 予備日