人類がはじめてつくった合成樹脂
18世紀中頃から,コールタールから分離されるフェノール(石炭酸)の利用法
を調べるため,いろいろな実験がなされていた。ベークランド(Bakeland)[米]
は,このフェノールをホルマリン(ホルムアルデヒドを水に溶かしたもの)と反
応させた。できたものは,容器にこびりつき,どんな溶媒にも溶けない,非常
に硬い樹脂状物質であった。同じような樹脂状物資であるセルロイドやエボナ
イトのように商品化できないかと思った彼は,反応をじっくりと観察にした。
この物質は,反応のはじめ頃は油状であるが,加熱をつづけると次第に固ま
り硬くなる。しかし,硬くなりはじめる前に取り出し,冷やしてやると塊状の
ものが得られる。これを再び加熱すると最終の生成物と同じように硬化する性
質をもっていることが分かった。そこで,彼は,反応途中で取り出した塊状物
を粉砕し,木くずや綿くずと混ぜ合わせ,適当な型に入れた後,再び加熱して
固めるという成形法を考案した。
このように成形したものは,軽く,硬く,熱に強く,電気絶縁性にすぐれて
いたので,当時電気絶縁材や接着剤として使われていた,品薄で高価な天然樹
脂のシュラックの代用品として商品化するため,1909年製造方法の特許をとり,
1910年自分で会社(General Bakelite社)を設立し,ベークライト(Bakelite)
という商品名で工業化したのである。
木くずを入れない物質は透明で赤褐色の松ヤニに似た外観をもち,かつ原料
がコールタール(石炭を乾留して得られる液体)から得られる石炭酸(フェノー
ル)であったことから,石炭酸樹脂と呼ばれた。現在では原料のフェノールは
石油からつくられ,名前もフェノール樹脂と呼ばれている。
ホルマリンは,ホルムアルデヒド(COとH2からできる刺激臭の気体)を水に溶
かしたものであり,このホルマリンが橋渡しをしてフェノールを連結させてい
くのである(縮重合という)。この縮重合は,加熱するほど進む,生成する化合
物が線状に伸びつつ,二次元的に,三次元的に網目構造を形成しながら,生成
物が固化する性質をもっているため,原料を型に入れて加熱すれば型どおりに
固化させることができる。
┌→ガス →メタン,水素ガス
┌→──┼→ガス軽油 →ベンゼン,トルエン,キシレン
石炭─┤乾留 ├→コールタール→フェノール,ナフタレン
│ │ フェナントレン
│ ├→ピッチ
│ └→コークス
│ ┌→水素,一酸化炭素
│ ├→メタノール
└→───合成ガス──┼→メタン
└→炭化水素
ガス化(CO,H2)
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日本化学会編「化学便覧 応用化学編J プロセス編」(丸善刊) より参照
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