プラスチック材料はどのように生成する


 プラスチックは,高分子化合物(以後,ポリマーという。)の集まりである。
このポリマーは,非常に多数の小さな分子(モノマーまたは単量体という。)
が結合してできた化合物である。
 ポリマーができるためには,二つの分子間に新しい結合が生まれて,二つの 分子がつぎつぎと合体しなければならない。その合体する各分子は,さらに分 子内に
 (1) 2重結合や3重結合などの不飽和結合(この結合の両端に新しい結合が    できる。)を1つ以上もっている。
 または,
 (2) 反応性が高く,反応しやすい原子団である官能基(水酸基 -OH やカル    ボキシル基 -COOH など。)を2つ以上もっている。
という条件を,少なくとも一つ満たしていなければならない。
 できるポリマー分子の形は,合体する分子が(1),(2)のどの条件を満たして いるかによって変わってくる。すなわち,2つの官能基もしくは1つの2重結 合をもった分子が多数結合すれば,直線状の長い鎖状のポリマーが生まれる。 一方,3つ以上の官能基をもった分子が多数結合すると,平面的または立体的 な広がりをもつ網目状のポリマーが生成する(を参照。)。
 このように分子が結合する仕方は,つぎの3通りに大別することができる。
 ◎付加重合
 ◎重縮合(縮合重合)
 ◎重付加(ポリ付加)
☆基本的な用語の説明 (重合重合度付加縮合

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 ○2つの官能基をもつ2種類の分子が結合した場合
ナイロン66
 ○3つの官能基をもつ分子が結合した場合
クリプタル樹脂

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 成長中の重合体の末端に,モノマーが付加的に結合して重合体を生成する反
応であり,連鎖的に進む特徴がある。ビニル重合やジエン重合などのように2
重結合や3重結合のところで反応する場合(上の反応例)と環式化合物の開環
による場合(下の反応例)がある。
付加重合
 ビニル化合物の付加重合をビニル重合といい,モノマーの構造体により,つ ぎの3タイプに分けられる。ただし,( )内は化合物名。
ビニル重合
 付加重合反応は,ふつう(a) 開始反応,(b) 成長反応,(c) 停止反応の3つ の反応(素反応という)から成り立っている。
 開始反応には,開始剤のタイプにより,つぎの3種類がある。
開始反応
 これらの開始剤の発生法により,熱重合,光重合,放射重合などと呼ばれて いる。

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 縮合反応をくり返して,重合体(縮合重合体)を生成する反応であり,段階
的に進む傾向がある。ポリアミド,ポリエステルやフェノール樹脂など,多数
のポリマーの生成に利用されている。
縮合反応
 重縮合反応では,反応系を高温や減圧して,生成する水などの低分子化合物 を反応系外に除去し,重合度を高める必要がある。

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 2つの官能基をもつモノマーが付加反応をくり返して重合体を生成する反応
で,低分子化合物の生成・分離を伴わない点で重縮合と異なっている。反応は
重縮合と同じく段階的に進む。
重付加反応

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☆基本的な用語の説明「重合」
 ○重合とは,
  1種類のモノマーが,その基本構造(原子配列)を変えずに,2個以上が  化学結合して,分子量の大きな化合物をつくる反応のことである。重合して  できた化合物をポリマー(重合体)という。
  重合体におけるモノマーのつながり方にいくつかの様式がある。
 ◇立体規則性    モノマーに裏表の区別があるとき,モノマーの並び方に3つの様式がで   きる。すなわち,プロピレン CH2=CH─CH3 を ○─○─● と表記すると,   3つの配置タイプをもつ重合体が考えられる。
  ・アイソタクチックタイプ     ●印のメチル基が炭素鎖の一方側に配置するタイプ
         ○─○─○─○─○─○─○─○─○─○─○─○            │   │   │   │   │   │            ●   ●   ●   ●   ●   ●
  ・シンジオタクチックタイプ     メチル基が炭素鎖に対して交互に配置するタイプ
                ●       ●       ●                │       │       │          ○─○─○─○─○─○─○─○─○─○─○─○            │       │       │            ●       ●       ●
  ・アタクチックタイプ     メチル基が炭素鎖に対して無秩序に配置するタイプ
                ●           ●   ●                │           │   │               ○─○─○─○─○─○─○─○─○─○─○─○            │       │   │            ●       ●   ●
     アイソタクチックタイプの分子は,密に配列しやすく,結晶化しやすく,   結晶性構造をとりやすいが,シンジオタクチックとアタクチックの両タイ   プの分子では,結晶化しにくく,非晶性構造をとりやすくなる。
   ポリプロピレン分子の立体構造の違いにより,つぎのような性質の差を   示す。
        
 密度
g/cm3
軟化温度
備考
アイソタクチックタイプ0.92160〜170常温では硬質,繊維や成形品向き
アタクチックタイプ0.85-35常温でゴム弾性を示す

 ◇コポリマーにおける多様性
   2種以上のモノマーが結合してできたポリマーをコポリマー(共重合体)
  という。すなわち,2種のモノマーA,Bが重合した場合には,3つのタ
  イプの配置が考えられる。
  ・ランダムコポリマー     A,Bのモノマーが全く無秩序に結合するタイプ
     ─A─A─A─B─A─A─B─B─A─A─A─A─B─
  ・ブロックコポリマー     A,Bがつくるブロックが交互に結合するタイプ
    ─A─A─A─B─B─B─B─A─A─A─B─B─B─B─
  ・グラフトコポリマー     AまたはBだけからなるポリマー(ホモポリマーという)にBまたはA     のブロックが枝のように結合するタイプ
    ─A─A─A─A─A─A─A─A─A─A─A─A─A─A─        │       │       │        B       B       B        │       │       │        B       B       B        │       │       │        B       B       B        │       │       │        B       B       B        │       │       │

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☆基本的な用語の説明「重合度」
 ○重合度とは,
  重合体を構成するモノマーの繰り返し単位の数のことである。重合度が数  個から数十個の重合体をオリゴマーといい,少なくとも数百個以上のものを  ポリマーという。
  このポリマーの重合度は普通一定な値ではなく,ポリマーは重合度の異な  る分子の混合物になっている。すなわち,ポリマーの分子量は,モノマーの  ような一定な値ではなく,幅をもった値であるため,分布の平均値で表して  いる。
  合成のポリマーと天然のポリマーでは,分子量の分布に違いがある。合成  ポリマーの分子量では幅広い分布であるが,天然ポリマーでは分布幅が狭く  単一の分布をしている。

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☆基本的な用語の説明「付加」
 ○付加とは,   不飽和化合物の分子に,その分子内の2重結合や3重結合の両端に,異種  の分子がそのまま,または分解して結合して別種の分子をつくる反応のこと  である。この付加反応が,狭い意味の重合反応である。
付加反応
  付加反応には,不飽和化合物の他に,開環することができる環式化合物と  異種分子との反応も含まれている。
開環付加反応

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☆基本的な用語の説明「縮合」
 ○縮合とは,   反応性の高い(反応しやすい)原子団(官能基という)をもつ,2個以上  のモノマーが,簡単な構造をもつ分子を生成・分離して,互いに結合する反  応のことである。
縮合反応
  縮合反応では,水分子などの小分子の分離(脱離ともいう)が伴うために,  狭い意味の重合反応に入れないが,広い意味では重合反応に加えられている。

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