暮らしとプラスチック


 プラスチックの使い道
 覚えておくとよいプラスチックの名前
 プラスチックは安全ですか?
 プラスチックの見分け方
 ゴミとプラスチック


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◎プラスチックの使い道

 プラスチックは,われわれの日常生活のさまざまな所に使われ,われわれが
清潔かつ快適で便利な生活を過ごせるためにはいまや不可欠な裏方である。
 筆頭は塩化ビニルである。ダイオキシンや環境ホルモンを発生する元凶とし て,いまは嫌われものであるが,今日のプラスチック利用社会の礎(いしずえ) を築いた代表的なプラスチックの一つである。
 軽くて強く,水に浸けてもさびず,薬品にも強く腐食のおそれがない塩化ビ ニールは,さびる従来の鉄製水道管に代わるものとして使われ始め,いまでは 住宅関連の設備・器具に広く使われている。塩化ビニールは,加工・着色がし やすく,電気絶縁性や耐電圧性能も高く,できた製品の表面も滑らかであるた め,各種パイプ・雨とい・テラスやベランダの屋根板・バケツを含めたタンク 類に硬質タイプが,絶縁テープをはじめ各種のテープやシート類に軟質タイプ がそれぞれ使われている。
 プラスチックは,安い原料の石油から大量に生産できるため,比較的安価と なり産業用にも多く使われている。たとえば,従来使われていた木製の部品や 製品の保管・運搬用ケースは耐用年数が短く,かつ原料木材の調達難や生産の 機械化難などから,そのコストは年々上昇してきた。一方,プラスチックを使 えば,耐用性も増し,大きさ・形や色どり豊かなものが自由かつ大量に作れて 安価であることから,プラスチック製の部品や製品の保管・運搬用ケースやコ ンテナが次第に木製品と入れ替わってきた。
 いまの日本から想像もできないが,実質経済成長率が年10%を越し,商工業 が盛んであった1960年代から70年代にかけて,人口が大都市に集中し,街には 大型小売店のスーパーストアなどがつぎつぎと出店し,日本人の生活スタイル が耐乏型から使い捨て消費型へと変わってきた。スーパーやコンビニは,流通 コストを少なくした商品を,小さなパッケージに分け,安くかつたくさん売る 薄利多売型の小売店である。そこで,彼らは,卸売り業者などの手を経ない, 生産者と直結した,車と高速道路網を活用した大量輸送システムを作り上げた。 ここでも,プラスチックは各種の包装容器や包装材として使われ,荷崩れせず, 輸送密度の高い,合理的な輸送法の実現の裏方で貢献している。
 製品コストは,輸送コストを下げるだけでは限界がある。製品の機能が増し, 構造が複雑化するほど,複雑な加工が難しく,コストがかかる金属に代わる素 材と組立技術の開発が必要である。各種のエンジニアリング・プラスチックと プラスチック系の接着剤を使用した組立技術がそれぞれ開発され,生産の仕組 みが能率的かつ簡素化されて,総合的にコストを縮小することが実現可能にな った。
 エンジニアリング・プラスチックは,軽量かつ強度に富み耐久性にすぐれ, 加工精度が高く,潤滑油なしで動作できる特性をもち,歯車・滑り軸受け・ロ ーラー類・車輪など,数多くの小型機械や電気製品などの動作部分に使われて いる。一方,接着剤は,エポキシ樹脂系が金属用,フェノール樹脂系が木工用, スチレンブタジエン樹脂のような加熱溶融し冷却固化するホットメルト系は, 作業時間が短かく,自動車・電気製品の組立,服地の接着,段ボールの製造な どに広く利用されている。
 土木工事に各種プラスチックが使われている。コンクリートの継ぎ目には, 水中硬化性にすぐれたエポキシ樹脂系が,止水や地盤の支持や補強には尿素系 を主成分とする接着剤が,軟弱地盤の盛り土や擁護壁に大型の発泡スチロール が使われている。さらに,不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂などにガラ ス繊維を複合化した強化プラスチックが,鉄筋の代わるコンクリートの補強に, コンクリート中に一様に分散させるため数十ミリの長さに短くしたものが使わ れている。
 誕生当初からプラスチックは,加工特性や経済性などを生かした天然素材の 代替物として発明・改良がなされてきた。その代表例が,プラスチックを使っ た合成繊維・合成紙と合成木材である。しかし,数多くのプラスチックの中に は,天然物にないすぐれた特性をもつ全く新しい材料物質(機能性プラスチッ クなどと呼ばれる)に進化し,磁気や導電性または感光性などの性質を活用し た多くの製品に利用されている。
 以上の述べたように,住宅関連の設備・器具にはじまるプラスチックの用途 は,日常生活関連の物品はもちろん生産・流通を含めた産業用から土木工事に までに多岐に及んでいる。用途別のプラスチック消費量は下の表の通りである。

需要部門別の消費比率(%) 1994年実績

包装30.2家庭用品8.1家具1.7
電気・電子12.3機械部品4.1クロス・履き物0.8
建築10.1農業2.2医療機器0.1
輸送8.5玩具・レジャー1.7その他20.2

プラスチックリサイクル研究会 編著
「プラスチックのリサイクル 100の知識」(東京書籍刊) より参照

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◎覚えておくとよいプラスチックの名前


 ここに掲げるプラスチックの名前は,われわれの身の回りにおいて,比較的
多く見かけることができるプラスチックである。ぜひ,これらの名前は覚えて
おこう。

ポリエチレン 「ポリ容器」といった容器類や包装,袋,ラップ などに使われる代表的なプラスチックである。
ポリプロピレン ポリエチレンと同じく,容器・包装に使われている。
ポリスチレン 発泡性のものは,白くて軽い使い捨てカップ,トレイに使われている。 耐衝撃性のものは,テレビ・オーディオ機器などの電気製品の外箱に使われている。
ポリ塩化ビニル 「ポリバケツ」「電線の被覆」「シート」「レザー」など多方面に使われている。 不透明で灰色のものから無色透明なものまで多彩である。
ポリエチレンテレフタレート 「ペットボトル」の名称は,この樹脂の英語名の頭文字をとったもの。
メラミン樹脂 プラスチック製の食器類は,この樹脂製が多い。
フェノール樹脂 鍋,やかんや調理器具の取っ手に使われている。
ABS樹脂 テレビ・オーディオなどの電気製品のケースに使われる。


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◎プラスチックは安全ですか?


 天然物でないプラスチックでは,水などを入れた成形品から毒性のある物質
が溶けだしたり,加熱した成形品が分解して有毒なガスを発生する場合がある。
そこで,包装や日用品などに使われるプラスチックに対して,厚生省は「食品
衛生法」に基づく,「合成樹脂製の器具又は容器包装の規格」(1982年厚生省
告示第20号)という高い安全性を示す基準を定めている。
 各プラスチック材料は,基準に定められた,それぞれの材質試験と溶出試験 に合格したものが製品に使われている。なお,材質試験には,各プラスチック 材料毎に食品中に含まれてはいけない物質の種類と基準値(限界値)とその試験 方法を,溶出試験には,融けだして食品に移行していく物質の総量を規制する 試験であり,重金属,蒸発残留物,過マンガン酸カリウム消費量の他,個々の 樹脂の試験方法が規定されている。
 これに対応すべく,プラスチック原料や添加剤とプラスチック製品の製造と 販売する流通メーカーと食品メーカーも含めた関連する業界では,プラスチッ クの種類別衛生協議会をつくり,独自の基準を設けて自主規制をしている。各 関連業界団体では,自主規制に合格したプラスチック容器に,つぎに示すよう な合格マークを表示しており,安全な製品を選ぶ目安にしている。
◇JHPマーク
塩ビ食品衛生協議会(JHP)が食品の包装,容器に
使用する塩化ビニル樹脂について自主的に規格を設け,
これに合格した製品につけているマーク      
◇PLマーク
ポリオレフィン等衛生協議会が食品の包装容器や器具
に使用するポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチ
レン,AS樹脂,ABS樹脂,メタクリル樹脂,ポリ
メチルペンテン,ポリブテン,ブタジエン樹脂,ナイ
ロン,ポリエチレンテレフタレート,ポリカーボネー
ト,ポリビニルアルコール,アセタール樹脂,ポリフ
ェニレンエーテル,ポリアクリロニトリル,フッ素樹
脂,ポリブチレン,テレフタレート,ポリメタクリル
スチレン,ポリアリルスルホン,ポリアリレート,ヒ
ドロキシ安息香酸ポリエステル等の樹脂について自主
規格を設け,これを合格した製品につけるマーク  
◇衛検済マーク
日本プラスチック日用品工業組合が自主衛生規格基準
に合格したプラスチック日用品・器具(飲食器及び割
ぽう具,ただし,塗物製品は除く)につけるマーク 
◇品検済マーク
日本プラスチック日用品工業組合が,プラスチック日
用品,器具に関する品質(機能)の安全性を確保する
ため自主規格基準を定め,とりあえず23品目(たとえ
ばプラスチック製バケツ)について製品規格を設け合
格した製品につけているマーク          

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