ニトロセルロース(硝化綿)の発見


ニトロセルロース(硝化綿)の発見は
「魔法のエプロン」の偶然から ...

 ニトロセルロースの発見は,シェーンバイン[独]が実験を失敗したことがき
っかけになっている[1845年(1833年という説もある)]。彼は,机の上に薬品
(硝酸と硫酸の混合物)をこぼし,手近にあった奥さんの木綿製のエプロンでふ
き取り,濡れたエプロンをストーブの上に吊して乾かした。エプロンが乾くと,
まもなく煙のように消えてしまったのである。実は,木綿(セルロース)が硝酸
と硫酸の混酸によってニトロ化されて,ニトロセルロース(硝化綿)に変化した
ため,瞬間的に燃え尽きたのである。この偶然のできごとを糸口に,彼はニト
ロセルロースの一般的な性質まで明らかにしたのである。
 このニトロセルロースの発見が,ハイアット兄弟によるセルロイドの発明や シャルドンネによる人工絹糸(レーヨン)への繊維化などの合成繊維やプラスチ ックを生み,かつ同じニトロ化合物のニトログリセリンと混ぜたノーベルのダ イナマイトの発明へとつながったのである。
 ニトロセルロースは,セルロース中の水酸基をニトロ化したものである。す べての水酸基をニトロ化すると窒素量が14.14%となるが,14%以上のニトロ セルロースを合成するとことは難しい。水酸基のニトロ化される割合(窒素量 [%])によって性質や用途が表のように異なっている。硝化綿(パイロキシリン )は窒素量が約11%以下のものを指すが,日本では,約13%以上のものを強綿 薬,約10〜12%のものを弱綿薬と呼び区別している。

                                                          

ニトロセルロースの窒素量,性状および用途

窒素量[N%]溶解性[%]エタノール・
エタノール
溶液の粘度
用途
アセトン
・酢酸
エチル
エーテル・
エタノール
(2:1容)
無水
エタノール
ニトロ
グリセリン
13.1〜13.495〜100不溶不溶不溶 さく薬・無煙火薬
12.8〜13.195〜10030以下不溶不溶 さく薬・無煙火薬
12.5〜12.895〜10050以下不溶不溶 無煙火薬
50〜9510以下不溶濃ちゅう
95〜10010以下僅溶濃ちゅう
12.0〜12.595〜10095〜10050以下甚溶濃ちゅう無煙火薬,コロジオン
僅溶濃ちゅうダイナマイト
11.0〜12.095〜10095〜10050以下僅溶甚薄フィルム
50〜100僅溶希薄セルロイド
10.0〜11.095〜10080〜10050以下僅溶希薄セルロイド,ラッカー
9.0〜10.030〜9030〜90不溶不溶希薄以下用途なし

日本化学会編「化学便覧 応用化学編K 材料編」(丸善刊) より参照


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