HTMLによる化学読本
− プラスチック物語 −


 われわれの身の回りには,金属,陶磁器,木や紙のいずれにも属さない材料
からできているものがたくさん見つけられる。たとえば,
「スーパーのレジ袋やゴミ袋,食品などの包装フィルムのような薄く,軽くて 軟らかなもの」,「食器やトレーなどの軽く硬いもの」,「テレビ・オーディ オ機器などの外箱のように,硬いが軽く叩くとペコペコと音を発し,弾力があ り,やや変形するが,非常に丈夫なもの」,「もっと強くて丈夫なもので,ヘ ルメットやバイクなどの保護カバー,自動車のバンパーなどに使われているも の」,「カップ麺容器のように軽くて,熱を伝えにくいが,力を加えるともろ く壊れるもの」,「非常に弾力があり,力を吸収するイス,ソファーや座ぶと んなどに使われているクッション材」,「時計・カセットテープやそのレコー ダーなどの部品,金属のように,精緻な加工ができ,かつ硬くて強く,耐久性 のあるもの」など。
 これらはプラスチックと呼ばれる有機高分子化合物であり,昔は石炭から造 られたが,今ではほとんどが石油を原料にしている。プラスチックには万能な ものはなく,それぞれの利用目的に応じた性質のプラスチックが開発されてき たため,いまでは90を超す種類がある。はじめて合成されたフェノール樹脂天然樹脂の松ヤニに似た外観をしていたことから,プラスチックは合成樹脂 とも呼ばれてきた。プラスチックの開発初期には,プラスチックはすでに使わ れていた天然樹脂製品の代替品であったが,現在では単なる代替品ではなく, すぐれた性能や機能をもつ全く新しい素材の地位を確立するまでに発展してい る。
 フェノール樹脂は,低分子量の粉末または粘い液体を型の中で加熱して硬化 させる熱硬化性樹脂であるが,プラスチックにはもう一つ熱可塑性樹脂がある。 熱硬化性樹脂は一度硬化すると再び軟化させることはできないが,熱可塑性樹 脂は加熱すると粘土をこねるように軟らかくなり,自由な形に加工でき,冷や すと硬くなる性質をもっている。
 プラスチックの主な特徴は,
  ○ 電気,熱を伝えにくく,   ○ 金属のようにさびず,   ○ 軽くて化学的に安定で,   ○ 衝撃に強く,   ○ 成形加工がしやすく,   ○ 着色性も良い,
という長所をもつ反面,
  △ 大きな力を加えると弱く壊れやすく,   △ 有機溶剤に溶けやすく,   △ 熱に弱く,強く加熱すると分解したり,燃えたり,   △ 静電気を発生しやすく,小さな塵やほこりを吸収しやすい,
などの欠点をもっている。   


 
目  次
 暮らしとプラスチック
 プラスチック,これまでの歩み
 プラスチックの種類
 プラスチックの性質
 プラスチック材料はどのように生成する 
 プラスチック製品の作り方
 制作において参考にした資料



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       大阪教育大学天王寺キャンパス
        澤田 和弘
        E-mail: sawada@cc.osaka-kyoiku.ac.jp 


 

☆天然樹脂

 天然樹脂とは,松ヤニなどのように動物や植物が分泌する,固くて透明なガ
ラス様の有機物であり,つぎのようなものがある。
 ・樹幹や木材からの樹液    ロジン,コーパル,ダンマル,カナダバルサム,エレミ,    サンダラック,グッタベルカ,ウルシ  ・昆虫の分泌物    シュラック(セラックともいう)  ・樹脂の化石    コハク
 これらは,もろいものが多く,加熱すると軟化し,溶融する。また,アルコ ールやエーテルなどに溶け,それぞれ独自の特徴的な性質をもっている。  塗料,接着剤,電気絶縁材,装飾品,医薬品などに使われているが,その数 量は少ない。
 炭素,水素,酸素などを含む化合物である点は,プラスチックと共通するが, 分子量も小さく,構造も著しく異なっている。しかし,密度(0.9〜1.4 g/cm3) や軟化温度(60〜150℃が多い。200℃以上のものもある)はプラスチックと類似 している。

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☆合成樹脂

 合成樹脂とは,天然樹脂に外観や性質が類似した合成品や人造品につけられ
た名である。塗料や接着剤などが合成樹脂と呼ばれることが多い。
 種類は,天然樹脂に比べてはるかに多く,利用範囲も広く,実用性も高い。 また,工業的に大量生産されるため,一般に価格も低いものが多い。
 天然樹脂と共通する性質もあるが,異なる点も多い。特に,分子構造は全く 異なり,人工的な天然樹脂であるとは考えられない。

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☆熱硬化性樹脂

 熱硬化性樹脂とは,プリポリマーという重合度の小さな粉末または液体状の
物質またはこれに硬化剤という物質を加えたものを加熱すると,分子間に三次
元的な橋かけ結合を形成して硬くなる,立体的な網目構造をもった高分子物質
のことである。
 一度硬化すると,溶媒にも溶けにくく,加熱しても可塑性が現れない性質を もち,熱可塑性樹脂よりも耐熱性や耐薬品性が一般にすぐれている。反面に, 製品の形に加工できる性能は熱可塑性樹脂よりも劣る。

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☆熱可塑性樹脂

 熱可塑性樹脂とは,固体状の鎖状高分子物質からできており,加熱すると外
力によって変形・流動する性質(可塑性という)が表れる性質がある。この性
質を利用して簡単に製品に加工することができる。
 熱硬化性樹脂よりも製品に加工しやすい反面,製品を加熱すると可塑性が再 び表れて製品の形が崩れるという欠点がある。また,薬品に対する耐性も熱硬 化性樹脂に比べて劣り,化学薬品によって変質しやすい傾向もある。

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