こ化するって,どういうこと?

 


 ジャガイモやコメからとり出したデンプンは,生(なま)デンプンと
いい,水にはとけないが,水とまぜ合せることができます。

 水とまぜ合わせてできる,デンプンの液(えき)は白くにごっていま
す。デンプンの小さな粉(こな)が,水にとけずに,水の中に浮(う)い
ているため,液がにごってみえるのです。

 このような,粉を水とまぜ合わせてできる,にごった液をけんだく
(懸濁)液といいます。

 この液を,湯気がでるくらい(55〜80℃)に,あたためると,水
の中に浮いているデンプンの粒が,水をふくんでふくらんできます。

 水をふくんだデンプンの粒は,少しずつこわれて,水とまざりやす
くなり,液のにごりも少なくなってきます。

 液のにごりが少なくなると,液がどろっとした,ねばりのある液に
かわっていきます。このねばりのある液が,デンプンのりです。紙や
布(ぬの)をくっつけるのにつかう,のりなのです。

 このように,デンプン液をデンプンのりにすることを,のり(糊)に
するという意味の,糊(こ)化といいます。

 ところで,デンプンがこ化しはじめる温度は,デンプンをとり出し
た草木のなかまによってちがいます。このこ化しはじめる温度を「こ
化温度」または「こ化開始温度」といいます。

 こ化温度は,同じ草木からとり出したデンプンでも,粒の大きさが
ちがうと,かわってきます。

 粒が大きくなると,こ化温度は低く,こ化しやすくなり,小さい粒
になるほど,こ化温度が高く,こ化しにくくなります。

 粒の大きさによるこ化温度のちがいは約(やく)10℃にもなります。
これは,こ化のしくみが原因です。
いろいろなデンプンのこ化温度
デンプンのなかま こ化温度範囲(℃)
(leachより,1965)
こ化開始温度(℃)
(檜垣より,1969)
ジャガイモ(大粒) 56.0〜66.0  60.0
  〃  (中粒)   61.4
  〃  (小粒)   63.4
サツマイモ   65.8
トウモロコシ 62.0〜72.0 66.8
タピオカ 58.5〜70.0 65.4
ウルチ米 61.0〜77.5 54.0〜59.8
モチ米   58.6
コムギ 52.0〜63.0 58.0
サトイモ   77.7
参考にした本: (1)
 「すぶた(酢豚)」にかけた,どろっとした液(あんという)は,水に まぜた片栗粉(かたくりこ)をあたためてつくります。つまり,片栗粉 にふくまれるデンプンがこ化することをつかったものです。  水とまぜて,あたためたデンプンは,水とまぜず,あたためもしな いデンプン(なまのデンプン,生デンプンという。)よりも食べやすく なって,おいしく食べることができます。  コメを水につけてたいたり,湯の中にソバ・ウドンをとおすのは, デンプンをおいしく食べるためにやっているのですね。  食べやすい(消化しやすい)なった,こかしたデンプンは,食べにく い(消化しにくい),なまのデンプンとは,デンプンの性質(せいしつ) がちがうのです。  そこで,なまのデンプンをβ(ベータ)−デンプン,こかデンプンを をα(アルファ)−デンプンと,ちがった名でそれぞれをよんでいます。  わたしたちはむかしから,デンプンのこのような性質を料理(りょ うり)をするときにつかっています。  デンプンを多くふくでいるイモ,コメやムギなどを,もとの根や茎 (くき)の形のまま,または粉にして水とまぜたものを,炊(た)いたり, 焼(や)いたり,蒸(む)したりして,デンプンを食べやすいかたちにか えて,おいしくして食べてきたのですね。

参考となる本: (1) (2) (6) (8) (10) (16) (17) (19) (23) (24)