11月23〜24日に大阪教育大学で開催予定の論文発表会では、広い視野から「21世紀の数学教育を展望する」ために、三人の先生による講演を計画しております。以下、講演者の紹介と講演概要をご案内いたします。多数のご参加を、お待ち申し上げます。
1.アラード房子先生(語学文化協会―ガテーニョ・アプローチ研究所―会長)
仮題「言語教育を通して出会ったガテーニョ先生」(23日午前の部の予定)
アラード房子先生は、テキサス、カナダの大学に学び、1950年代より英語教師、翻訳業を経て日本語教師となられました。バーモント州 School for International TraningにてMATを取得。1977年カレフ・ガテーニョ(Caleb Gattegno)氏に出会い、同氏のもとで学び、サイレントウエイによる言語教育を目指して、語学文化協会を設立。以来、言語教育、教師教育に従事する傍ら、1983年より毎年、ガテーニョ氏を日本に招いてセミナを開催されました。1988年ガテーニョ氏没後も国内外の研究・実践者とともに、日本におけるガテーニョ・アプローチの普及と研究を続けておられます。
ご講演にあたり、アラード先生から、次のコメントをいただきました:
「ガテーニョMathにほんの少し触れたとはいえ、ガテーニョとの出会いは言語教育を通してでした。そのMathも言語も根底にあるものは教育者ガテーニョの理念であり、その個性的な人間を抜きには語れないものでしょう。
幸いにも10年余り、弟子にはしてもらえませんでしたけれど、「slowな生徒」として、比較的身近に、多くのことを教わることができました。そのいくつかをお話ししながら、難解とされているガテーニョの教育理念を、みなさんとご一緒に身近なものにできれば、幸いです。」
2.正田 實先生(滋賀大学教授)
仮題「教育課程の基準の改訂と算数数学教育研究」(23日午後の部の予定)
正田實先生は、日本数学教育学会研究部長として、また次期教育課程への提言者のお一人として、第一線でご活躍中のことは、みなさまよくご存知のとおりです
ご講演にあたり、次の概要をいただきました:
「・教育課程の基準の、これまでの改 訂の理念、手続き、役割と、それに 対応する反応などについて
・教育課程の基準を構成する原則に ついて
・教科の枠組の改変にも踏み込んだ 改訂に応えられるようなカリキュラ ム研究、教科教育研究、とりわけ算 数数学教育研究の将来性について」
上のような柱で、カリキュラム研究における算数数学教育研究の立場を明確にし、新しい分野の確立をめざされる先生のご構想をお話しいただけることとと思います。
3.Christine Keitel先生(ベルリン自由大学教授・副学長)(24日午前の部予定)
仮題「21世紀の数学教育の目標決定のための数学、テクノロジー及び社会の関連性の分析」
C.Keitel先生は、数学教育の分野で国際的にご活躍で、とくにカリキュラム開発研究ではご存じの方も多いと思います。著作には、G.ハウスン、J.キルパトリックとの共著:"Curriculum Development in Mathematics"(1981, Cambridge University Press)、日本語版「算数・数学科のカリキュラム開発」(島田茂、沢田利夫監訳,1987,共立出版)をはじめ、"Learning from Computers, Mathematics Education and Technology.NATO Advanced Research Workshop"(1993,Springer)など多数あり、"International Handbookof Mathematics Education" (1996, Kluwer Academic Publishers)の編者のお一人でもあります。
他方、数学教育におけるジェンダー(Gender)の諸問題の研究でも著名で、1993年スウェーデンで開催された"ICMI Study '93, Gender and Mathematics education " でもご活躍されました。
このような広い視野から、21世紀の数学教育の目標を見定めるために、諸要因の関連性の分析に焦点を当て、そこで、ジェンダーの問題もとりあげていただく予定です。
なお、C.カイテル先生の招待にあたりましては、国立教育研究所科学教育研究センター主任研究官 瀬沼花子氏に多大のご協力をいただきました。心より謝意を表します。
アラード房子先生、正田實先生、C.カイテル先生のご講演をどうぞご期待下さい。
(文責:狭間節子)