代数学 I・同演習 の概要 (2000年度)

数理科学のホームページへ


 授業科目名   代数学I・同演習   開講区分   専攻共通科目 
 講義題目   加群の構造   開 講 期   後 期 
 講義担当者  吉荒 聡   木曜日1時限   木曜日2時限 

加群とは環上のベクトル空間であり、可換群(有理整数環上の加群)・ 一次変換が指定されたベクトル空間(多項式環上の加群)等の重要な例があります。 本講義では、単項イデアル整域上の有限生成加群の構造定理の証明とその応用 (特に有限生成な可換群の基本定理・一次変換のジョルダン標準形)を解説します。 

1年次で学んだ行列の基本変形を多少制限したもの(単因子論)が この定理の証明における基本的道具です。内容的には、線形代数に類似した面が 多くみられ、線形代数の復習とも言えます。 代数学概論において始めて接した抽象的群論などに比べて、 学生諸君には理解し易いのではないかと思われます。

群論の復習という一面もあるので、巡回群・可換群について繰り返しを恐れずに 基本的性質の実例による確認を行いたいと思っています。

朝早くからの必修ではない講義なので、受講者の主体は代数学に興味を持つ 意欲のある学生であると予想します。少数人数を想定して、中身の濃い講義を する予定です。有志諸君の積極的参加を期待しています。

授業計画
  1. 加群の定義と実例
  2. 基底と自由加群
  3. 準同型の行列表示
  4. 単因子
  5. 有限生成加群の構造
  6. 有限生成可換群の基本定理
  7. ジョルダン標準形
  8. 諸応用
講義の方法・評価方法等

板書を補助手段とする、口頭による解説という通常のスタイルで講義を行います。 演習時間中には実例の解説を主に取り上げ、細部の確認は受講者の exercise と します。講義・演習への参加態度によっては、次に述べる口頭試問を 受ける資格を認めない事があります。

夏休み前の最終週に問題を3問ほど提出します。夏休み後に質問の週を設けた後、 提出した問題に関連した事項について、一人あたり約15分程度の口頭試問をします。 その結果によって最終成績を決めます。口頭試問の際には どのような本・ノートを持ち込んでも構いません。

昨年も(講義内容は異なりましたが)全く同じ形式で最終試験を行いました。 10人が口頭試問を受け、そのうち3人は問題文中の概念の定義が言えなかった ため、不合格でした。

テキスト
「代数入門--群と加群」、 堀田 良之 著、裳華房、 1987
参考文献
必要に応じて指示します。