有機化学研究室(種田研究室)

☆合成のための設備


○ドラフトチャンバー
 新しい有機化合物を合成するとなると、有機溶媒を使用することになります。この有機溶媒というものは、えてして人体に有害です。有機化学研究室では、そのような有害な物質を人体に取り込むことがないようにするために、各実験台にドラフトチャンバー(局所排気装置)が設置されています。これで安心して実験ができますね♪


 ホットマグネチックスターラーで加熱して反応を行っています。このように、溶媒を多少加熱濃縮してもドラフトチャンバー内なので大丈夫です。

○窒素ライン
 高校の化学などでしばしば「禁水性試薬」などを見聞きしたことはありますでしょうか?有機合成では、空気中の微量な水蒸気や酸素などが反応の進行を妨げることがよくあります。特に禁水性試薬は、水が混入すると発火することもあり危険です。では、どのようにしてそのような反応を行うのでしょうか?・・・反応に使用するフラスコの中に水蒸気や酸素が入っていなければいいのです。当研究室でよくやっているのは、
 フラスコ内を真空ポンプで減圧→窒素の封入
を2、3回繰り返してから、窒素気流下で試薬を入れて反応を行うというやり方です。

 反応装置の上方、背後に黒や無色透明のチューブが通っていますが、これに装置を接続することで、真空ポンプで減圧したり窒素を流し込んだりすることができるようになっています。

○ロータリーエバポレーター
 有機溶媒を減圧下で取り除く装置です。研究室内で一番上等なものを載せていますが、型式が古い装置でも冷却装置はしっかりとつけているので、溶媒の回収はバッチリです。排気ラインも種田が組んでいますので、有機溶媒は外に漏らしません!ちなみに、排気が漏れている場合、種田は髪へのダメージで気付きます。髪がキッシキシになってしまいます。


○ドライアイス製造装置
 反応は何も加熱すればいいというものではありません。時には、温度を下げる必要もあります。「ブチルリチウム」という試薬を使用するときには、一般にマイナス78度に温度を下げてから実験を行う必要があります。そんな時に便利なのが「ドライアイス」です。本学の科学教育センターの所有物ではありますが、ドライアイス製造装置を研究室に設置させていただいています(管理者が種田なので)。有機化学に興味がある人は、ついでに「芳香族へのカルボキシ基の導入」を勉強しておきましょう。ドライアイスのありがたみがわかります。・・・ただし、液体二酸化炭素が消耗品として必要なのです。

 ボンベから液体二酸化炭素が茶色い箱に流し込まれ、この中でブロック状のドライアイスが出来上がります。(一斗缶は撮影のために下に敷いているだけで、普段は発泡スチロールのブロックの上で作っています。)30 kgの液体二酸化炭素で13回くらいは作れます。