有機化学研究室(種田研究室)

☆測定のための設備


○虫眼鏡

 イラストのまんまのものが来るとは、まさか思ってもみなかったでしょう。種田もびっくりです。 しかしながら、これも重要なものなのです。「単結晶X線結晶構造解析」という測定法があり、その測定に使用てきる「単結晶」を再結晶で作成する必要があるのです。 綺麗な結晶ができているのかどうか、虫眼鏡で観察します。測定は本学ではできず、依頼しております。関係者の皆様には、感謝してもしきれません。
こんな感じの、透き通ったきれいな結晶を用意して測定を行います。

このように、結晶中における分子の構造を知ることができます。(K. Kubono, T. Matsumoto, M. Taneda,ActaCryst.,2019,E75, 1429-1431.)

○核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定装置
 なんと、大阪教育大学にもちゃんとNMRスペクトル測定装置があります!運用には、多方面の先生方のお力がかかっております。感謝してもしきれません。そして、これが無いと有機合成は始まらない、といっても過言ではないくらいに、現代の化学では必需品となっています。有機化合物の構造決定に用いるものなのです。

 
○赤外(IR)スペクトル測定装置
 昔は化合物の同定手段の主力だったのですが、近年ではその役をNMRにとってかわられてしまい、人気が下がってしまった感が否めない装置と思われがちです。しかしながら、それは「化合物の同定」という視点でしか見ない人の意見だと思っています。IRスペクトル測定ならではの醍醐味、それは「固体の情報」です。KBr錠剤法、あるいはATR法(全反射測定法)で得られるスペクトルは、固相における分子の存在状態を反映します。つまり、固体状態でしか観測できない分子間相互作用が確認できることがあるのです。


○マススペクトル(MS)測定装置
 平たく言えば、分子量が分かる装置です。なんと、元素分析のかわりとして論文でよく使用されている精密質量測定(HRMS)の測定も可能です。ちなみに、元素分析が必要な場合は、科学教育センターの安積典子先生に依頼して測定を行ってもらっています。


○紫外可視分光光度計
 これまた有名どころですね。化合物がどのような光をどのような強度で吸収しているのかを測定できる装置です。基本的には、化合物を溶解させた溶液のスペクトルを測定するための装置ですが、ユニットを付け替えることで固体のスペクトルも測定することが可能となっております。

 たとえば、黄色い溶液は光の三原色である赤、緑、青のなかの青い光を吸収しています(赤と緑の光を混ぜ合わせると黄色になります)。下図の写真の溶液は見た目に黄色いのですが、実際に吸収スペクトルを測定することで、青というよりは紫色の光(紫色の光の波長は380-450 nm)を吸収しているということが分かります。

 この「光を吸収する」ということが何を意味するのかは大学に入って学ぶところですが、簡単にいうと「光の持つエネルギーを分子が受け取って、分子の持つ1つの電子のエネルギー状態が変化する」という感じです。電子は分子に広がる軌道を飛び回っているのですが、その軌道が変わるとでも考えてください。その様子をシミュレーションするのが「分子軌道計算」なのです。
 なお、発光に関しては教育協働学科の谷先生、堀先生の研究室に設置してある装置を使用して測定することができます。

 以上はあくまで使用できる装置の紹介であり、種田の持ち物ではありません。この環境に対する感謝の心を忘れてはいけません。