本書は理工系学部の学生や大学院生およびエンジニアを対象にした MATLAB による線形常微分方程式とラプラス変換の入門書である．
主として工学に現れる基礎的な線形常微分方程式とラプラス変換の数学的理論を述べている．
また，連立微分方程式系を扱い，ガウスの求積法の導出を行うなど数値解析とのつながりも考慮している．
微分積分や線形代数の知識を仮定している記述や証明を省略した定理もあり，数学書としては完結したものではなく，数学的な厳密さという点では様々な点で不備があるかもしれない．
本書では，精選された例題と演習問題を数学的に解き，さらに 1 つのソフトウェア，すなわち MATLAB を使って数値解析的に，あるいは数式処理によって解くことにより，多角的な解法を習得し，そのことを通して，数学的理論の理解を深めてもらうことを目的としている．
そのため，例題に対して重複をいとわず多角的な解法を説明し，すべての演習問題に対して解答と典型的な演習問題に対して多角的に完全な解答を与えた．

本書の構成上，数学的理論の部分だけを使えば，理工学部における線形常微分方程式とラプラス変換の教科書あるいは参考書として使うことができるし，MATLAB を使って例題と演習問題を解く部分だけを読めば，
線形常微分方程式を解き，ラプラス変換を求めるための MATLAB の基本的な使い方を習得することができる．
しかし，数学的理論と MATLAB を渾然一体として使う部分が本書の特徴であり目的なので，できるだけこの連携を意識して読んでいただきたい．

著者の力不足により，思わぬ間違いや誤解があるかもしれない．
お気づきの点をご指摘いただけるとありがたい．