(問題) 5次対称群 S5 の共役類の個数、 各共役類が含む元の個数、 各共役類の代表元の中心化群を求めよ。
(解説) n 次の対称群とは、n 点集合 X から X への全単射な写像全体の集合が、 写像の合成を演算として定義される群です。 通常 Sn という記号であらわされます。
一般に、対称群の元は巡回置換分解することができ、 共役であるための必要十分は表示の型が一致することです。
a の中心化群 CG(a) = { x ∈ G | xa = ax } とは a と交換可能な元全体で G の部分群になります。
これは、G が G 自身に内部自己同型によって作用する時の a の固定部分群であり、 a を含む共役類は a を含む軌道なので、
軌道の長さ = 固定部分群の指数
から 中心化群の位数が求められます。
(解答例) 右の表のように7つの共役類に分割します
type rep.#CG(a)
1 e 1 G
2 (1,2) 10 < a > × S{3,4,5}
3 (1,2,3) 20 < a > × < (4,5) >
4 (1,2,3,4) 30 < a >
5 (1,2,3,4,5) 24 < a >
2-2 (1,2)(3,4) 15 < (1,2) , (1,3,2,4) >
2-3 (1,2)(3,4,5) 20 < (1,2) > × < (3,4,5) >












元の個数は組み合わせの数なので、直接計算ができますね。
また、表にあげられた元が中心化群に属することは直接確かめられます。 後は位数を比較して下さい。
(問題) 下記の文章に空欄にあてはまる数 X,Y,Z の 和 を求めよ。

5次の対称群 G = S5 の位数は [ X ] である。
G の元 h = (1,2,3)(4,5) が生成する巡回群を H とする時、 G 上の関係 〜 を 「a 〜 b ⇔ a b-1 ∈ H 」 によって定義をすれば、同値関係となる。 この同値関係によって G は [ Y ] 個の同値類に分割する。
また、G 上の関係 ≡ を 「a ≡ b ⇔ ∃c ∈ G such that ac= cb 」 によって定義をすれば、同値関係となる。 この同値関係によって G は [ Z ] 個 の同値類に分割する。
(解説) 群の位数とは元の個数です。 一般には n 次の対称群の位数は n! ですね。
次は G の部分群 H による剰余類 への分解です。 剰余類の個数 [G:H] を H の指数といいます。
有限群においては [G:H]|H| = |G| が成り立ちます。 (ラグランジュの定理) いま H は 位数 6 の元 h が生成する巡回群なので、 |H| = 6, |G|=|Sn|=5!. です。
最後は G の共役類への分解です。 対称群の共役類は巡回置換分解の型によって決まるので、 1, 2, 3, 4, 5, 2+2, 2+3 と 7 つの共役類に別れます。
(解答) X = 120, Y = 20, Z = 7.