(問題)
可換環 R のイデアル I と J に対して、
IJ = { Σ akbk |
ak ∈ I, bk ∈ J }
は R のイデアルであることを示せ。
(考察)
定義 に従って、イデアルであることを示します。
集合 IJ の定義は I の元と J の元の積全体の集合ではなく、
I の元と J の元の積の有限和全体の集合です。
(積全体の集合は一般にはイデアルになりません。)
この「定義の間違え」のために示せないということが結構あるので、
気をつけましょう。
(定義)
可換環 R の部分集合 I が
(1) a-b ∈ I for ∀a,b ∈ I
(2) ra ∈ I for ∀a ∈ I, ∀r ∈ R
を満たすときイデアルといいます。
(解答例)
∀ x,y ∈ IJ と ∀r ∈ R に対して
x = Σk akbk
y = Σh ahbh
と有限和で表せます。このとき
x-y = Σk akbk -
Σh ahbh
も I の元と J の元の積の有限和として表せます。(1)
また、rx = r(Σk akbk) =
Σk (rak) bk
も I の元と J の元の積の有限和として表せます。(2)