固有値 の 求め方。

固有値が固有多項式の根であることは知っていますね。 今回は、そのことを考えてみます。
係数体は複素数体 C とします。
n 次元ベクトル空間 V 上 の 線形変換 g は 基底 B を決めることによって、n 次正方行列(表現行列) G=F(f) と 同一視でき、g の固有値、固有ベクトルは G の固有値、固有ベクトルに対応していました。
恒等写像 1 = idV の表現行列は単位行列 E です。
線形変換 h の表現行列を H とする時、 合成写像 gh の表現行列は GH になります。 (確認)
よって、g が全単射ならば、逆写像 h= g-1 に対して、
その表現行列は、GH = HG = E となり、 g の逆写像の表現行列は G-1 になります。
一方、線形変換 g の表現行列 G が逆行列 H をもてば、
H によって定義される線形変換 h は gh=hg=1 となり、 g は全単射であることがわかります。
したがって、「線形変換 g が全単射 ⇔ 表現行列 G が正則」がわかりました。
「 線形変換 g が全単射 ⇔ 線形変換 g が単射 ⇔ Ker g ={0} 」なので 対偶を取れば、 (確認)
「 Ker(α1-f) ≠{0} ⇔ α1-f の表現行列 αE-F が非正則 ⇔ det(αE-F) = 0 」 です。
「 Ker(α1-f) ≠{0} ⇔ 0 ≠u ∈ V s.t. (α1-f)(u) = 0 ⇔ f は固有値 α を持つ 」
であり、固有多項式は det(xE-F) = 0 ですから、
「 f は固有値 α を持つ ⇔ α は固有多項式の根 」がわかりました。
また、f の α に属する固有ベクトル全体(に零ベクトルを加えたもの) は Ker(α1-f) ですから、これは V の部分空間になります。 これを、f の固有値 α に属する固有空間 と いいます。
基底を固定することによって、V も部分空間は U=Cn の部分空間に対応しています。
もちろん f の固有値 α に属する固有空間 Ker(α1-f) が 表現行列 F の固有値 α に属する固有空間に対応します。
「行列の言葉でならってきたことを線形変換の言葉におきかえているだけ」ですね。 そう感じられれば、わかっているってことです。
目次 に戻る

C