対角化を使って問題を考える。(その1)

(問題) 右の行列 X に対して Xn を n の式で表せ。
X =
7-4
6-3

高校の数学で よく見かける 問題 です。 (昔の高校の数学?)
このままでは,少し難しいので、次のように導かれていることがよくあります。

(問題) 行列 A,P を右のようにおく。
A =
4-3
6-5
 ,  P =
11
12

(1) P の逆行列 P-1 を求めよ。また、P-1AP を求めよ。
(2) 自然数 n に対して、An を n の式で表せ。


(解答例)

(1)
P-1 =
2-1
-11
 ,  P-1AP =
2-1
-11
4-3
6-5
11
12
=
10
0-2

(2)
P-1AnP = (P-1AP)n =
10
0(-2)n
より
An= P(P-1AP)nP-1= P
10
0(-2)n
P-1 =
2-(-2)n-1+(-2)n
2+(-2)n+1-1-(-2)n+1


上の解答はまさに対角化していますね。 行列 A を対角化する行列が P です。
対角化された行列の演算は対角成分ごとの演算なので簡単です。
そこで、対角行列の n 乗を求めて、それから An を求めています。

P の1列目が固有値 1 に属する固有ベクトル、 2列目が固有値 -2 に属する固有ベクトルです。


対角化する行列 P を与えられなくても、求めることができますね。
最初の(問題)の Xn を求めてみましょう。 ( X2 を求めて、 n = 2 を代入したものとでを検算しましょう。)
(問題) 数列 {an} が a1= 1, a2= 1, ak+2= ak+1 + 2 ak ( k=1,2,... ), によって与えられている。
一般項 an を n の式で表せ。

これも 高校の数学で よく見かける 問題 ですね。( 解いてみましょう。)


「それは、数列の問題だから、行列の問題ではないのでは?」
「対角化を使って解いてみましょう」
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