対角化を使って問題を考える。(その1)
(問題)
右の行列 X に対して Xn を n の式で表せ。
高校の数学で よく見かける 問題 です。
(昔の高校の数学?)
このままでは,少し難しいので、次のように導かれていることがよくあります。
(問題)
行列 A,P を右のようにおく。
(1) P の逆行列 P-1 を求めよ。また、P-1AP を求めよ。
(2) 自然数 n に対して、An を n の式で表せ。
(解答例)
(1)
(2)
より
| An | = |
P(P-1AP)nP-1 | = |
P | | P-1 |
= |
| 2-(-2)n | -1+(-2)n |
| 2+(-2)n+1 | -1-(-2)n+1 |
|
上の解答はまさに対角化していますね。
行列 A を対角化する行列が P です。
対角化された行列の演算は対角成分ごとの演算なので簡単です。
そこで、対角行列の n 乗を求めて、それから An を求めています。
P の1列目が固有値 1 に属する固有ベクトル、
2列目が固有値 -2 に属する固有ベクトルです。
対角化する行列 P を与えられなくても、求めることができますね。
最初の(問題)の Xn を求めてみましょう。
( X2 を求めて、
n = 2 を代入したものとでを検算しましょう。)
(問題)
数列 {an} が
a1= 1, a2= 1,
ak+2= ak+1 + 2 ak ( k=1,2,... ),
によって与えられている。
一般項 an を n の式で表せ。
これも 高校の数学で よく見かける 問題 ですね。( 解いてみましょう。)
「それは、数列の問題だから、行列の問題ではないのでは?」
「対角化を使って解いてみましょう」
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