「 HOTEL N 」(第1幕)の解説。
集合 A から集合 B への写像が f が
「 単射 」
であるとは A の元 a と a' が異なれば f(a) と f(a') も
異なることでした。
「 泊まれる 」とは「 客の集合 」から「 部屋の集合 」への
「 単射 」の存在でした。
ここでは任意の有限集合から自然数の集合への
「 単射 」
がいつでも存在することを意味しています。
n 個の元からなる有限集合の元に 1,2,3, ... ,n と
「 番号 」をつけ、
「 番号 」を対応させる写像
を考えれば、「 単射 」になります。
集合 A と 集合 B に対して、A から B への
「 単射 」が存在するとき、
( A の濃度 ) ≦ ( B の濃度 )
と表すことにします。
これは、「 4 人の集合」から「 10 部屋の集合 」への
「 単射 」が存在した時、
4 ≦ 10
であることの一般化です。
また、A から B への
「 全単射 」が存在するとき、
( A の濃度 ) = ( B の濃度 ) と表すことにします。
これは、「 10 人の集合」から「 10 部屋の集合 」への
「 全単射 」が存在した時、
10 = 10 であることの一般化です。
a 個の元からなる有限集合 A と b 個の元からなる有限集合 B に対しては
( A の濃度 ) ≦ ( B の濃度 ) であることと a ≦ b であることは同値です。
( A の濃度 ) = ( B の濃度 ) であることと a = b であることは同値です。
有限集合の元の個数に対応する「濃度」を無限集合まで拡張して考えます。
すると、任意の有限集合 A と 自然数の集合 N に対して、
A からN への「 単射 」がいつでも存在するので、
(A の濃度) ≦ ( N の濃度)
が成り立つことがわかります。
これは有限集合よりも無限集合の方が
「 濃度が大きい 」ということを意味しています。
では、2つの無限集合 A と B に対してはどうなるでしょうか?
A の濃度 と B の濃度はいつでも等しいのでしょうか?
それとも、無限集合 A の濃度より無限集合 B の濃度の方が大きい
ということが起こるのでしょうか?
「濃度が等しい」ことを「対等である」ともいいます。
集合の集まり(集合族)において「濃度が等しい」という関係は
「同値関係」になることを復習しておきましょう。