最小の体、最小の群


ゼミでのこと。 体 K に α を添加した体 K(α) の定義に
「 K の拡大体 L の元 α に対して、 K と α を含む最小の L の部分体を K(α) とかく。」
とありました。
「最小のものは必ずあるんですか?」と質問したところ、
「一番小さいものをとってくればいいです。」と答えたので、
最小(最大)のものがいつでも存在するわけではないことを説明して、 最小のものの存在は次の週までの宿題になりました。
考えてきた宿題の解答は次のものでした。
K と α を含む部分体を Mλ (λ∈Λ) とする時、 それら全ての共通集合、M = ∩ Mλ は全てに含まれている ので最小になります。
ほとんど、正解です。
付け加えなければいけないとしたら、 Λ は空集合でないことだけ確認しなければなりません。 ( M が定義できなくなります。)
しかし、拡大体 L が存在しているので大丈夫ですね。
一般には、
「ある集合の族において、 条件 (*) をみたす A と B の共通部分がまた条件 (*) をみたし、かつ、
条件 (*) をみたす集合が存在すれば、 それらの(包含関係に関する)最小元が存在します。」
証明は上と同じです。 条件 (*) をみたす集合全ての共通部分が 条件 (*) をみたす最小の集合となります。
すると、条件を「体 F の部分体」としてみましょう。
F 自身が F の部分体なので、一つは存在します。 部分体と部分体の共通集合はまた部分体なので、
それら全ての共通集合をとれば、最小の部分体(素体) の存在が確かめられます。 (確認しましょう。)
群 G の部分集合 S に対して、 条件を「 S を含む部分群 」としてみましょう。
G は S を含むので、一つは存在します。 部分群と部分群の共通集合はまた部分群なので、
それら全ての共通集合をとれば、S を含む最小の部分群 〈S〉の存在が確かめられます。 (確認しましょう。)