自然研究講座 准教授

乾 陽子

化学生態学研究室では、生物が生産し生物が受容する生態化学物質を調べたり、個体群や個体の時間的空間的変化を調べることで、生物の種間や個体間の見えない(見えにくい)関係を読み解く研究を行っています.
ボルネオの熱帯雨林を主な研究をしていますが、学生の研究は関西の河畔や野山など身近なフィールドを活用します.


専門分野・キーワード
  • 化学生態学
  • 社会性昆虫
  • 熱帯雨林
  • 個体群生態学
担当授業科目
  • 集団生物学
  • 生物圏科学
  • 生命科学実験
  • 情報処理演習 etc...
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研究紹介

Ants & Plants

植物は外敵に対してさまざまな防衛戦略を持ちます。アリ植物とはアリ類を「住み込みのガードマン」として利用するアリ防衛を行う植物です。東南アジア熱帯雨林に分布するマカランガ属(トウダイグサ科)のアリ植物や、ウラボシ科の着生シダのアリ植物を対象に、共生するシリアゲアリ類との種間関係を、化学生態学的・個体群生態学的なアプローチで研究しています。これまでに、多種のアリ植物においてアリとの関係の種特異性や、種特異的な相手を化学的に識別して関係を構築するしくみなどを明らかにしてきました。

Ants & Myrmecophyles

アリ類は体表の炭化水素類の組成や組成比を利用して仲間認識を行うとされています。アリ社会に潜入しアリに依存して生きる昆虫を好蟻性昆虫といいますが、一般には宿主のアリ種の体表炭化水素を真似る化学擬態を行うことがよく知られています。しかし、東南アジア熱帯雨林のアリ植物で見つかる好蟻性昆虫は、化学擬態に限らず独特の化学的戦略でアリ社会に入ることがわかってきました。これまで好蟻性のシジミチョウや好蟻性のゴキブリで、非常に特異な生態やメカニズムを明らかにしてきました。

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卒論アーカイブ
2011~

アミノ酸各種に対するグロキディウム幼生の反応

福谷勇人 2014

ウミウシ類の活動度と捕食ウミウシの反応の種間比較

井上幹太 2014

日本産クサアリ亜属の新種群の化学分類

政田晃宏 2014

クロマルハナバチの訪花を決定する化学的要因 ―トマトの花香と足跡物質―

伊藤卓馬 2013

フシダニゴールがヤナギルリハムシの成長と選好性に与える効果の検出

北川優佳 2013

アブラムシ随伴アリがテントウムシの捕食行動に与える影響

藤岡みゆき 2012

捕食性テントウムシに対するアブラムシ随伴アリの反応〜マメアブラムシを巡る冷戦〜

山川智里 2012

大阪教育大学におけるイノシシの出現パタン

出水秀明 2011

ヤマトシジミ(シジミチョウ科)による外来種植物の利用とそのリスク

武藤友樹 2011

ヤマトシジミ幼虫の捕食寄生者と感受期

土谷美咲 2011

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卒論アーカイブ
~2010

ヤマトシジミ幼虫の任意的なアリ随伴と体表炭化水素の特長」

鳴神亮 2010

ヤマトシジミ幼虫の摂食戦略とアリ随伴が摂食量に与える影響

川井遥 2010

ヤナギフシダニ形成ゴールがヤナギの葉の化学成分とヤナギルリハムシの摂食行動に与える影響

宮崎拓哉 2009

マルカメムシの食草幅と味未行動にみる摂食選好性

清水加耶 2008

ヤナギフシダニ形成ゴールの関西の河畔における分布および株内分布

為大和 2008

アリ類の物理的接触による体表炭化水素の付着の検証

永井宏実 2007

マツカサガイおよびイシガイ由来の化学成分の分析と種間比較

黒岡佳朗 2007

ニホンヤモリの社会行動

城野哲平 2006

オオタチヤナギに特的に形成されるフシダニゴール

大久保忠宏 2005

緑地化が進む木津川砂州におけるヤナギの分布

西野真平 2005

ヤナギ上の植食性昆虫の群集構造と多様性

阿嘉明彦 2004

ヤナギの種間および種内におけるヤナギルリハムシ成虫の選好性

渡邊章雄 2004

カンコノキ属ーホソガ絶対送粉共生系における花香とその経時変化

岡本朋子 2003

アブラムシとアリの共生関係を巡るジャヤナギ上の相互作用網

米谷衣代 2003

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