• 有機フォトクロミック分子を用いたメモリ素子の研究
  • 有機表面における金属原子の非堆積効果、
    及びその応用研究

有機フォトクロミック分子は、光反応によって可逆的に分子構造が変化し、それに伴い様々な物性も変化する様な材料である。中でもジアリールエテン誘導体と呼ばれる分子は、その二つの異性化状態が極めて安定な材料として知られているが、その分子が光だけでなく電流注入によっても異性化反応することを見出した(図1)。この異性化反応に伴って分子膜の電気抵抗が変化する。これを利用して情報記憶の安定性が極めて高い有機半導体メモリ素子への応用研究を進めている[1]

図1 光照射による異性化反応(左)と、電流注入による異性化反応(右)

ジアリールエテンのアモルファス膜は光異性化によりガラス転移点と呼ばれる物性値も変化する。この変化は表面分子の運動状態変化をもたらすが、これによりメタル原子の蒸着性が顕著に変化することを発見した[2,3]。即ち、紫外光照射前の色がついていない消色状態では真空蒸着によってメタルが堆積せず、紫外光照射後の光異性化反応による着色状態にはメタルが堆積する(図2)。この蒸着選択性の機能は他の有機材料にも適用可能である。これにより蒸着マスク無しで容易にメタルパターンが蒸着形成でき、産業界の様々な場面における応用が期待できる。

図2 蒸着選択性を利用したメタルパターンのマスクレス蒸着形成

実用化が想定される分野

エレクトロニクス等

業績、特許出願実績等

  • [1] T. Tsujioka and H. Kondo, Appl. Phys. Lett., 83, 4978 (2003)
  • [2] T. Tsujioka, et. al., J. Am. Chem. Soc., 130, 10740 (2008)
  • [3] T. Tsujioka, J. Mater. Chem., 21, 12639(2011)
高橋 誠  教授

辻岡 強 TSUJIOKA Tsuyoshi

教授

専門分野

有機光・電子材料及びそれらのエレクトロニクス分野への応用
特に有機フォトクロミック材料の基礎・応用研究

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