エルステッド(Oersted,Hans Christian)

エルステッドの発見と生涯
デンマークの物理学者。電流が磁場を作り出すこと(電流の磁化作用)を発見し、電磁気学の成立の端緒を開いた。

1777年、ランゲラン島のルーケビンクに生まれた。

1820年、電流の磁化作用を発見する。(詳しくはこちら
フランクリンの凧あげ実験には、雷の放電が磁石の極性を反転させているといった記録があった。 電流はなんらかの影響を磁石に与えていると考えたエルステッドは、 ボルタ電池から白金線で環状回路をつくり、さまざまな場所に磁針をおいて実験をした。 電流によって磁針は触れ、磁針の位置によってその向きは異なること、 最終的に磁針が静止したときの磁針の向きは地磁気と電流による影響の合成された向きであること、 白金線と磁針の間に絶縁体を介在させても変化はないことなどを確認する。 また、磁針の振れかたが、白金線の上と下では逆であったことが新たな議論を呼び起こす。 なぜなら、当時の力学はニュートンの逆2乗法則が支配しており、 クーロンによって電気、磁気もこれにならっていることが証明されていた。
しかしニュートンの法則は直線状で距離の逆2乗に比例するのであって、 線の上と下で磁針の方向が逆ということは、回転方向に磁力が作用していることになるからである。

1825年、アルミニウムの単離に成功する。
アルミニウムは酸素と非常に強く結合しているため、 鉄や銅、亜鉛などとは異なり酸化物を還元しても金属を得ることはできなかったが、 無水の塩化アルミニウムをカリウムと反応させることでこれに成功する。

ちょっと雑学
エルステッドは電流の磁化作用を発見後、気体や液体の圧縮性の問題や、熱電気の研究も手がけた。 本当は電磁気学の研究を続けたかったが、彼の発見は多くの科学者に注目され、研究された。そうした 人たちにたち打ちできないと感じ、手を引いたのだという。

電流の磁化作用
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