ゼーベック効果が発見されるまで


2つの異なる金属をつなげ、両方の接点に温度差を与えると金属の間に電圧が発生し、電流が流れるという ゼーベック効果は、名前のとおりゼーベックによって発見されました。そのころ人工電源としては摩擦電気、ボルタ電池が確立していました。 ボルタ電池に興味を持ったゼーベックは、異種金属を湿った紙ではさんで接続していることにより 電気が発生していること(詳しくはボルタ電池ができるまでのページへ) に注目しました。 それはつまり、2種の金属の2箇所の接続点が異なった物理状態にあることにより起電力が発生しているのではないかと考えました。 異なった物理状態であればよいのなら湿った紙は不要と考え、それまでの経験から銅と、 特殊な性質を示したアンチモン、ビスマスで異種金属接続の実験を行いました。 そして銅とビスマスの一端をあらかじめ接続しておき、もう一端を指で押さえると、電流が流れたのです。 次に指でなくガラス棒で押さえてみると電流は流れませんでした。 ゼーベックは指の熱が関係するのではないかと考え、 両端を接続し、一端を暖め、一端を冷やしたところ大きな電流が流れました。 こうしてゼーベック効果は発見されました。 ボルタ電池の起電力と比較すると、この熱起電力は安定性が高く、後に オームの法則発見のための重要な役割を果たすことになりました。

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