錬金術師と密度について

錬金術って?(alchemy)

 錬金術とは卑金属を金に変えるという夢のような方法のことである。錬金術のはじまりは,現在においてもまだ解明されていないが,中国では紀元前3世紀あるいは4世紀後半ごろでも,卑金属から金や銀などを作ろうとして,錬金術が広く行われいた。これは必ずしも金持ちになりたいというためではなく,中国でも西洋でも,広い意味で世の貧困をなくそうときわめて博愛主義的な目的をもって,錬金術が研究されることもあった。 しかし,中世になると,貴族階級に信奉者が増えてきたし,王侯などの中にも錬金術の保護者があらわれてきました。錬金術本来の,理論も目的も移り変わり,私利私欲のみを追求する人も多くなっていきました。

密度との関係

 ”密度による試金”は,13世紀に匿名の書「目方のあるものについてのアルキメデスの書」があらわれるまでは,試金法として( アルキメデス によってなされていた,たんなる同一性の検査のため以外の使い方として),はっきりと述べられていなかった。

 その後,密度を試金に用いる原理について色々な考え方がたくさん記載されているが,成分の体積百分率とのあいだの混合がともなわれているのが常であった。

この型の研究に用いる目的で,腕木に目盛りをしておいて支点を動かせるように作られた天秤があった。が,実際にはこのような天秤は,組成のわずかな変形に対して,とうてい感じうるものではなかったであろう。

このように錬金術の検査方法として密度の測定が発達したとかんがえられる。

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参考文献   創元社 錬金術〜おおいなる神秘  アンドレーア・アロマチィコ著 種村 季弘 監修

       株式会社筑摩書房  技術の歴史

       東京書籍 図説科学史 コリン・ロナン著 村上陽一郎 監訳