倍音のしくみ
ホーミー
一人で二つの声を出す!?
モンゴルの伝統的な歌唱法に「ホーミー」というものがあります。
うなり声のような低い声(ドローン音)と,
非常に甲高い声(メロディー音)の2つの音を同時に発声する歌唱法です。
簡単ではないので練習が必要ですが、
間違った方法で練習すると体に悪影響を及ぼすことがあるという噂があるので
(あくまで噂ですが)、正しい方法で挑戦しましょう!!
ホーミーの原理
音には基本となる周波数の他に、その周波数の整数倍の周波数の音も含まれています
(倍音)。
普通、私達の耳にはそれらの倍音が極端に大きく聞こえてくることはあり得ません。
けれども、ホーミーでは倍音のひとつが非常に大きく聞こえてきます。
では、どうしてそのようなことが起こるのでしょうか。右の図を見てみましょう。
まず、舌の先を口蓋にギリギリ接触しない程度に接近させます。
そして、空間(1)と空間(2)が同じ容積になるように舌の位置を調節します。
そうすることにより、声帯で作られた音の倍音のうちのある周波数の倍音が
空間(1)において共鳴を起こして大きくなり、
その後空間(2)においても共鳴を起こして更に大きくなり、私達の耳に聞こえるようになります。
その音と、声帯で作られた元の音とが同時に鳴るので、二つの音を出しているように聞こえます。
周波数の低い男性の方が、女性よりも倍音を多く含むため、
ホーミーはやり易いようです。
参考文献
日本音響学会 音のなんでも小事典(講談社)