倍音のしくみ
心地よい和音
周波数の異なる2つ以上の音を,同時に鳴らした時の音を和音といいます。
同時に鳴らす音の組み合わせによって,様々な響きが作られます。
その響きが心地よいものを協和音,不快なものを不協和音といいます。
では,なぜ協和音や不協和音が生じるのでしょう。
実は,これには倍音の“一致”や“ずれ”が関係しています。
2つの音の周波数がわずかに異なるとき,うなりが生じます。
ところがその周波数の違いがある程度以上になると,うなりとしては認識されにくくなり,しだいになめらかな響きとなります。
たとえば,一般的なドミソの和音についてみてみましょう。
この3音の周波数の比はド:ミ:ソ=4:5:6(純正律の場合)となっています。
ここで,それぞれの倍数に注目してみます。
| 基音 | 倍音 |
ド | 4 | 8,12,16,20,24 |
ミ | 5 | 10,15,20,25,30 |
ソ | 6 | 12,18,24,30,36 |
このように,それぞれの音の倍音の周波数がぴったり一致するために(ここでは12,20,24,30…),純粋で心地よい響きとなります。
※現在の調律で一般的なのは平均律(1オクターブを均等に割ったもの)であり,周波数比はド:ミ:ソ=4.00:5.04:5.99となっているので,
完全な協和音とはいえません。
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参考文献
中村健太郎 図解雑学「音のしくみ」(ナツメ社)