河内の国 金剛山
 
建国記念日(2000.2.11)に金剛山に登った。天晴る。職場の仲間の七人のグループ登山。数日前からの寒波で金剛山の樹氷が見られるのではないかと出掛けた。近鉄南大阪線(9:04発 河内長野行き準急)で富田林駅まで行き、千早RW行きのバスに乗って、金剛山登山口で下車。前のバスが満車状態で発車した後、臨時バスがすぐ来たので座ることができた。このバスもすぐに満車状態で発車。大阪府唯一の村の千早赤阪村の景色を楽しむ。取り残した蜜柑の黄色が美しい。南北朝はじめの頃の武将、楠正成の由緒の山ということで心の躍るところがあった。近畿はいたるところが人の歴史に濃厚に彩られている。登山口には人が溢れ、駐車場は満車で、途中の路肩にも車が鈴なりに停まっていた。諸準備、体操。昔ながらのトイレがある。底を覗くと奈落へつながるほどに暗かった。いよいよ山行き開始(10:20)。しいたけセンターの横を過ぎ、登り口の回転焼き屋の香ばしい匂いをかいで、いよいよ舗装道の登りにかかる。すぐに丸太の階段状の道になる。アイゼンを一斉につけている。
身体がほてるとのろし台(11:05)だ。茶店がある。一息いれる人でごったがえしている。ここのおばちゃんは30年、麓の村から通っているとのこと。甘酒を一杯飲む。Yさんたちは辛酒を呑む。雪が下道に積もるようになる。蟻の行列状態で、数珠繋ぎのようになりながら登っていく。隙間をねらうが人が多くて切れ目がなく、ままにならない。勾配がきつくなったり平坦になったりしながら登っていく。雪は厚くなる。野鳥の餌箱に鳥たちが餌をついばんでいる。木の茂みにばっさと彼らの影がよぎる。ブナの大木に手袋を脱いで触れでみる。じんとする木肌の冷たさに、ここに黙って立っている大木の雄々しさを感じた。どうも私はかまびしく喋りすぎる。プラスチック製のソリを曳いた子どもたちが下りてくる。丸太の階段をまた登る。雪は踏み固められている。いかに多くの人が歩いていったかを知る。 
山頂の広場(11:50―12:50)は人でごったがえしている。女子トイレは長い列だ。カップラーメンの販売所にも列ができている。登山回数と名前を標した札が大きな板にならんでいる。最高者の一人は九千回を越えている。まあなんともはや。一人の女性を愛し続けるようなものか、私はあちこちに少しずつ愛を配る方が・・・、バシッ!。頭をどつかれた。女房がつぶやきを聞いていた。あつあつの豚汁をつくる。というかつくっているのを見ていた。握り飯、コーヒーの昼食。広場のあちこちで白い湯気が立っている。国見城跡で記念写真。金剛ざくらに雪の花が咲いていた。大阪平野を眺める。雪道を歩いて、転法輪寺、一の鳥居を抜ける。ここらあたりの樹氷は見事だ。陽がさっとさして透明に輝く。雪は泥土に汚れてはいない。わたしの心のようだ・・・なんて言っても誰も信じない。諸神諸仏よ、ご照覧あれ。罰当たりなことをほざくのは豚汁を肴に御酒を飲み過ぎたか。
滑り止めに荒縄を靴に巻いた人たちがいた。古式にのとった風情がある。RW山上駅の展望所(13:35)、少し登り返して伏見峠。香楠荘の前の広場は雪が解けて泥状態、子どもたちはものともせずにソリで遊んでいる。急坂の念仏坂をひたすら下る。アイゼンなしでは危ない。小さな鳥居が並んだ祠を見て、杉木立の中を歩き、右手の沢の流れの清らかさに嘆息。皆が同じ辺りでアイゼンをはずすため大渋滞。沢が小川になる頃にRW前到着(14:35)。
 
天王寺駅近くの居酒屋で一杯やって帰る。ここ数週間、いろいろな仕事の締め切りに追われて机に張り付いていた。これはこれで楽しいかったけれども、金剛山の山行きで新たな心持ちを取り戻した。楽しいひとひとなった。
 
 
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