身体がほてるとのろし台(11:05)だ。茶店がある。一息いれる人でごったがえしている。ここのおばちゃんは30年、麓の村から通っているとのこと。甘酒を一杯飲む。Yさんたちは辛酒を呑む。雪が下道に積もるようになる。蟻の行列状態で、数珠繋ぎのようになりながら登っていく。隙間をねらうが人が多くて切れ目がなく、ままにならない。勾配がきつくなったり平坦になったりしながら登っていく。雪は厚くなる。野鳥の餌箱に鳥たちが餌をついばんでいる。木の茂みにばっさと彼らの影がよぎる。ブナの大木に手袋を脱いで触れでみる。じんとする木肌の冷たさに、ここに黙って立っている大木の雄々しさを感じた。どうも私はかまびしく喋りすぎる。プラスチック製のソリを曳いた子どもたちが下りてくる。丸太の階段をまた登る。雪は踏み固められている。いかに多くの人が歩いていったかを知る。
山頂の広場(11:50―12:50)は人でごったがえしている。女子トイレは長い列だ。カップラーメンの販売所にも列ができている。登山回数と名前を標した札が大きな板にならんでいる。最高者の一人は九千回を越えている。まあなんともはや。一人の女性を愛し続けるようなものか、私はあちこちに少しずつ愛を配る方が・・・、バシッ!。頭をどつかれた。女房がつぶやきを聞いていた。あつあつの豚汁をつくる。というかつくっているのを見ていた。握り飯、コーヒーの昼食。広場のあちこちで白い湯気が立っている。国見城跡で記念写真。金剛ざくらに雪の花が咲いていた。
大阪平野を眺める。雪道を歩いて、転法輪寺、一の鳥居を抜ける。ここらあたりの樹氷は見事だ。陽がさっとさして透明に輝く。雪は泥土に汚れてはいない。わたしの心のようだ・・・なんて言っても誰も信じない。諸神諸仏よ、ご照覧あれ。罰当たりなことをほざくのは
豚汁を肴に御酒を飲み過ぎたか。
滑り止めに荒縄を靴に巻いた人たちがいた。古式にのとった風情がある。RW山上駅の展望所(13:35)、少し登り返して伏見峠。香楠荘の前の広場は雪が解けて泥状態、子どもたちはものともせずにソリで遊んでいる。急坂の念仏坂をひたすら下る。アイゼンなしでは危ない。小さな鳥居が並んだ祠を見て、杉木立の中を歩き、右手の沢の流れの清らかさに嘆息。皆が同じ辺りでアイゼンをはずすため大渋滞。沢が小川になる頃にRW前到着(14:35)。
天王寺駅近くの居酒屋で一杯やって帰る。ここ数週間、いろいろな仕事の締め切りに追われて机に張り付いていた。これはこれで楽しいかったけれども、金剛山の山行きで新たな心持ちを取り戻した。楽しいひとひとなった。