おもしろい論文を書こう (その2)
では、具体的にどんな風に書いてゆけばよいのだろうか。
そもそも、なにを論文に書かなければならないのか。
大雑把に言うならば、以下の三点が論文の基本構成要素ということになろう。
1. このテーマについて、これまでどのようなことが言われてきたのか? つまり、先
行研究調査。
2. これまで言われてきたこととはちょっと違うあなたの主張。つまり、テーゼの提示。
3. わたしの主張が正しいことを証明する事実、論拠の提示。
卒業論文も、論文である以上は、この三つの要素は必要不可欠である。本来は・・・。
しかし、まあ、就職活動やら、サークル活動やら、場合によっては、取り残しの必修単位などもあったりして、なかなかこれを全部クリアとはいかないだ ろう。
で、優先順位をつけるということになるのか?
どうしても論文に欠かせないのは、テーゼである。 あなたは、このテーマについてなにを主張したいのか。どんなところがこのテーマのおもしろいところなのか。まず、ここがしっかり書かれていない論文は、駄 目である。
テーゼには、ハイライトを当てる。まあ、常識的には、論文の始めの 部分とまとめの部分に書くことになるだろう。
では、論文を書き始めるときに、テーゼが決まってなければならないのか、といえば、かならずしもそうではない。最初から狙いを定めて、というのは、 いかにも効率的な感じがするが、実際には、書いているうちにテーマに対する関心の持ち方が変わってくることは少なくない。
テーゼが決まってからとかいって、なにも書かないよりは、とりあえず書き始めてしまう方がよい。
また、テーゼが早くから決まっているからといって、かならずしもそれが良い結果につながるとはかぎらない。ただただ、とにかく書き続けましたというだけの
ことになりかねないのである。
ぼんやりと書き始めればいい。書いているうちに、自分の関心が本当はどこにあったのかが判ってくる。
むしろ、大切なのは、書きながら自分なりに問題の所在が判ってきたときに、書き直すだけ
の勇気と、忍耐力があるか、ということなのだ。論文を書くあなたが、あなた自身に対して徹底的に誠実であるかどうかは、こういうところで問
われるのである。
もちろん、これまで書いたものを全部、破り捨てて最初からやり直すというわけではない。実質的には、90パーセントは元のまま、10パーセントを書 き直したり、書き足したり、という作業になるはずである。コンピュータが普及して、技術的に書き直しはそれほど難しいことではなくなった(わたしが最初に 印刷した論文原稿は、糊で切り貼りして文章を修正した)。それでも、この10パーセントの書き直しは辛い!
さて、これだけでも結構、大変なのだが、しかし、やっぱりテーゼだけでは論文にはならない。残りはどうしたものか。
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