2016年7月27日
会員各位
大阪教育大学国語教育学会事務局
第52回大阪教育大学国語教育学会
大会テーマ
「国語科におけるアクティブ・ラーニングの課題と可能性」
平成20年及び平成21年に行われた学習指導要領の改訂では、教育基本法の改正により明確になった教育の理念を踏まえ、子どもたちの「生きる力」の育成をより一層重視する観点から、その内容の見直しが行われました。特に学力については、学校教育法第三十条第二項に示された「基礎的な知識及び技能」、「これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力」、そして「主体的に学習に取り組む態度」の三つによって構成される「確かな学力」をバランス良く育てることが目指されるようになりました。そのため、学級やグループで話し合い発表し合うなどの言語活動や、各教科等における探究的な学習活動、つまり、教師からの知識の伝達だけに偏らず、学ぶことと社会とのつながりをより意識した教育を行うということが重視されるようになりました。平成24年8月28日に出された中央教育審議会の質的転換答申の中でも、以下のような文言があります。
生涯にわたって学び続ける力、主体的に考える力を持った人材は、学生からみて受動的な教育の場では育成することができない。従来のような知識の伝達・注入を中心とした授業から、教員と学生が意思疎通を図りつつ、一緒になって切磋琢磨し、相互に刺激を与えながら知的に成長する場を創り、学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要である。
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1325047.htm pdf資料「本文1/2」P6から一部抜粋)
以上のように、「確かな学力」を獲得するためには、与えられる知識の質はもちろん、「どのように学ぶか」という学びの質や深まりを重視することが必要であるとされました。そしてその中で、課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習、いわゆるアクティブ・ラーニングの必要性が叫ばれるようになったのです。
さて、国語科におけるアクティブ・ラーニングとしては主に、話し合い活動が行われています。教材のある部分、もしくは全体についての教師からの問いかけについて、学習者同士が話し合い、さまざまな発見をしていくというものが主流だと考えられます。共通の問題に協働して取り組んでいく中で、学びは成立します。ゆえにアクティブ・ラーニングは、国語の授業においても、学習者の学びを確立させるために必要なものであると言えるでしょう。
ただ、このようなアクティブ・ラーニングを行うだけで「確かな学力」が身に付くのかというと、そのように断言することはできません。アクティブ・ラーニングは「どのように学ぶか」という学習形態に重点を置いています。しかし、学習形態を考える前に、まずは「何を学ぶか」ということが確立されておかなければならないはずです。達成されるべきねらい、あるいは身に付けなければならない力が教師の側で確立されていて初めて、「どのように学ぶか」ということが問題になるのではないでしょうか。アクティブ・ラーニングという「活動」をさせることだけに満足してしまっていては、学習者にとってそのアクティブ・ラーニングが有効なものにはなり得ないかもしれません。結果的に「活動」の部分にばかり重点を置いてしまい、学習者の文章を読む力を弱体化させてしまうということさえ考えられます。
しかしやはり、学習者が主体性を持って課題解決にあたるためには、アクティブ・ラーニングは必要不可欠なものだと言えるでしょう。ゆえに今日の国語教師には、アクティブ・ラーニングをいかに国語の学習に有効な形で取り入れることができるのか、ということが問われているのではないでしょうか。そこで今大会では、国語の授業を通して子ども達に何を学ばせたいのか、それを子ども達はどのように学ぶのか、そしてそこにどのようなアクティブ・ラーニングを関わらせていくことができるのか、ということについて交流したいと考え、大会テーマを「国語科におけるアクティブ・ラーニングの課題と可能性」と設定させていただきました。それぞれの実践から生まれた成果や課題をもとに、今後のアクティブ・ラーニングの可能性について探っていきたいと考えています。
会員の皆様の、多数のご参加をお待ち申し上げます。
記
[日程]
- 日時
- 8月6日(土) 10:00〜16:30
- 会場
- 大阪教育大学柏原キャンパス A棟314号教室
地図02:共通講義棟(A棟)のところです
[時程]
10:00
| 10:30
| 11:30
| 12:00
| 13:30
| 15:30 |
16:30 |
17:00 |
受付
| 自由研究発表
| 総会
| 昼食
| 課題研究発表
| 研究協議
| 閉会
| 懇親会 |
懇親会を、17時00分より同キャンパス内生協レストランにて、行います。
会費は一人3500円です。多数の参加、お願い申し上げます。
※各種事情により、時間には若干変更がある場合もございます。
[研究発表]
○ 【午前の部】自由研究発表(10:30〜11:30) 司会 松山雅子(大阪教育大学)
コロボックルから読み解く『だれも知らない小さな国』
永井梨紗(紀の川市立粉河中学校)
イギリス初等国語科教育に求められる専門的力量
―G. Nikkiの児童文学を軸とした教師教育論を手がかりに
藤井ありさ(三田市立藍小学校)
○ 【午後の部】課題研究発表(13:30〜15:30) 司会 住田勝(大阪教育大学)
《大会テーマ》 「国語科におけるアクティブ・ラーニングの課題と可能性」
基調提案
大阪教育大学国語教育学会事務局
「書くこと」を軸とした主体的な国語科学習の構想
宝淳一郎(東大阪市立花園小学校)
国語科におけるアクティブラーニング 〜PBL型授業から考える〜
藤田勝如(大阪教育大学附属天王寺中学校)
言語の特殊化と普遍化 ―確かな学力構築に向けて、思考の流れを導くアクティブラーニング―
植村和美(大阪教育大学附属高等学校池田校舎)
質の高い深い学びを引き出す授業づくりをめざして ―「アクティブ・ラーニング」の視点から―
石田かおり(大阪市教育委員会)
○ 研究協議 (15:30〜16:30) 司会 住田勝(大阪教育大学)
[柏原キャンパスへのアクセス]
近鉄大阪線「大阪教育大前」駅下車 徒歩約15分
詳しくはこちら
○ 近鉄大阪線時刻表
発着駅
| 発車・到着予定時刻
|
「鶴橋」駅
| 8:34(急行)
| 8:55(急行)
| 8:58 (区間準急)
| 12:01(区間準急)
| 12:18(急行)
|
「河内国分」駅 (急行から区間準急へ乗り換え)
| 8:52(区間準急)
| 9:11(区間準急)
| ↓
| ↓
| 12:35(区間準急)
|
「大阪教育大前」駅
| 8:54
| 9:13
| 9:29
| 12:37
| 12:37 |
[その他]
- 当日学会会場には冷房設備が整っております。
- 大阪教育大学正門より、上りエスカレーターをご利用いただけます。
- お車でお越しの際は、大学会館横の駐車場へお停めください。キャンパス地図
- 当日、昼食は生協食堂がご利用になれます。
- 当日、懇親会に参加される方は事務局へお知らせください。
- 出張依頼書がご入用の方は、事務局へお知らせください。折り返し郵送させていただきます。
- 本学会に関するお問い合わせは、事務局までお願い申し上げます。