第38回大阪教育大学国語教育学会
2002年11月30日
於大阪教育大学柏原キャンパス
三回生 | 李智恵 臼田曜子 辰巳陽子 橋本崇 山内良子 吉村沙千 |
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院 生 | 尾崎恵美 |
教 官 | 野浪正隆 |
共同研究を始めるに当たって、去年の共同研究に引き続き中学校の教科書に関して分析することにした。詩という学習材はある程度幅広く自由な解釈ができると考えられるので、想像力を豊かにする「学習材」としての役割を果たすことができると考えた。そこで、中学校教科書の中で「詩」という学習材に的を絞って、分析していくことにした。
詩という学習材を読むうちに学習者は、話者の心理に共感し、同化していく。自分の状態と重ね合わせたり、話者に入り込んだりすることで、詩は学習者のものとなっていくと予想される。主に、心理を見ていくことで学習者、特に中学生に影響を与えるであろう教科書はどのような構成になっているかを調べていこうと考えた。
わたしたちが中学生のとき学んだ教科書を挙げると、東京書籍・光村図書・三省堂の三社が出てきた。そこで、今回の研究に当たっては東京書籍・光村図書・三省堂の三社に絞り、分析していくことにした。
下の表には会社・学年・作品名・作者・全教材数に占める詩教材の割合を載せている。
その横には、教科書掲載の詩とそれ以外の学習材の割合を棒グラフで示した。詩以外の学習材には、物語文・説明文・古文・漢文・短歌や俳句が含まれている。三社の中でも光村図書では詩の割合がわずかに多いことがわかる。
学年 | 作品名 | 作者 | 全教材数に占める 詩教材の割合 | |
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東京書籍 | 1年 | 春に | 谷川俊太郎 | 2/21 |
風景 | 山村暮鳥 | |||
2年 | 椰子の実 | 島崎藤村 | 2/25 | |
わたしが一番きれいだったとき | 茨木のり子 | |||
3年 | 永久欠番 | 中島みゆき | 4/27 | |
レモン哀歌 | 高村光太郎 | |||
月夜の浜辺 | 中原中也 | |||
生命は | 吉野弘 | |||
光村図書 | 1年 | 描きたい | 折原みと | 3/16 |
たんぽぽ | 川崎洋 | |||
ある日ある時 | 黒田三郎 | |||
2年 | 春よ、来い | 松任谷由美 | 2/19 | |
春に | 谷川俊太郎 | |||
3年 | あけがたには | 藤井貞和 | 4/19 | |
お辞儀するひと | 安西均 | |||
世界は一冊の本 | 長田弘 | |||
私を束ねないで | 新川和江 | |||
三省堂 | 1年 | 朝のリレー | 谷川俊太郎 | 2/16 |
ウソ | 川崎洋 | |||
2年 | 未知へ | 木村信子 | 3/34 | |
わたしが一番きれいだったとき | 茨木のり子 | |||
ジーンズ | 高橋順子 | |||
3年 | 峠 | 真壁仁 | 4/47 | |
仮繃帯所にて | 峠三吉 | |||
初恋 | 島崎藤村 | |||
たんぽぽ | 星野富弘 |
表現技法・内容・心理・その他に分けて分析した。その他には、「視点」「要求」「呼びかけ(要求以外)」が含まれている。
表現技法では詩を構成する上で、使われている形式や技法に着目し、分析した。
形式は
ア.口語詩・文語詩
イ.自由詩・定型詩・散文詩
ウ.総文字数
エ.行数
オ.連数
の五種類を、表現技法は
カ.反復(表現)
キ.反復(形式)
ク.倒置法
ケ.体言止め
コ.直喩
サ.隠喩
シ.擬人法
ス.対句
の八種類をあげた。
内容では次のことに着目した。
ア.表現対象
イ.連の分析(連ごとの内容と構成)
ウ.内容表現の分類
エ.主題
オ.主題の分類
その次に、詩の中にある心理に着目し、
これらの項目の詳しい分析方法を例を出して説明する。
東京書籍1年・光村図書2年の教科書に掲載されている、谷川俊太郎の「春に」の分析を例示する。
春に 谷川俊太郎
この気もちはなんだろう
目に見えないエネルギーの流れが
大地からあしのうらを伝わって
ぼくの腹へ胸へそうしてのどへ
声にならないさけびとなってこみあげる
この気もちはなんだろう
枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく
よろこびだ しかしかなしみでもある
いらだちだ しかもやすらぎがある
あこがれだ そしていかりがかくれている
心のダムにせきとめられ
よどみ渦まきせめぎあい
いまあふれようとする
この気もちはなんだろう
あの空のあの青に手をひたしたい
まだ会ったことのないすべての人と
会ってみたい話してみたい
あしたとあさってが一度にくるといい
ぼくはもどかしい
地平線のかなたヘと歩きつづけたい
そのくせこの草の上でじっとしていたい
大声でだれかを呼びたい
そのくせひとりで黙っていたい
この気もちはなんだろう
題名 | 会社名 | 作者 | 学年 ・ 学習時期 | 形式 | 総文字数 | 行数 | 連数 | 視点 | 時間経過 | 反復(表現) | 反復(形式) | 倒置法 | 体言止め | 直喩 | 隠喩 | 擬人法 | 対句 | 要求 | 呼びかけ(要求以外) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
春に | 東京書籍 | 谷川俊太郎 | 1年 ・ p8 | 口語自由詩 | 330 | 24 | 1 | 一人称限定視点 | × | ○ | × | × | × | × | ○ | × | ○ | × | × |
よろこびだ しかしかなしみでもあるの3行が対句。
いらだちだ しかもやすらぎがある
あこがれだ そしていかりがかくれている
わたしを束ねないでなどを要求と判断した。
……
わたしを止めないで
……
題名 | 学年 | 表現対象 | 連の分析 | 内容表現の分類 | 主題 | 主題の分類 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
連の内容 | 連の構成 | ||||||
春に | 1年 | 話者(ぼく)の気持ち | 春になり、話者は大地や空や自分を取り囲んでいる自然からいきいきとした生命力を感じ、また話者自身も強い活力で満たされている。 | 連が終わりに向かうに連れて、話者が感じているエネルギーがどのようなものかがより具体的になっている。 | 独り言型 | さまざまな気持ちが心の中で激しく動いたこととその時の心の様子 直接的 | 自己心情型 |
純銀もざいく
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
題名 | 学年 | 心理 | 心理状態の分析 | 心理状態 | 心理変化の契機 | 主題 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
心理を読み取れる表現 | 読み取れる心理状態 | ||||||
春に | 1年 | ○ (直接・間接) | L1.6.14.24この気持ちはなんだろう(直接) | いろいろな感情が混ざり合っている状態。 | + ・ − | × | さまざまな気持ちが心の中で激しく動いたこととその時の心の様子 直接的
|
L7.枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく(間接) | 周りのものから刺激を受けている状態。 | ||||||
L8.よろこびだ しかしかなしみでもある(直接) L9.いらだちだ しかもやすらぎがある(直接) L10.あこがれだ そしていかりがかくれている(直接) | 心が良い状態と悪い状態が混ざり合っている。 | ||||||
L15.あの空のあの青に手をひたしたい(直接) L16.17.まだ会ったことのないすべての人と会ってみたい話してみたい(直接) L18.あしたとあさってが一度にくるといい(直接) | 「〜したい」という話者の積極的な欲求なので、前向きな気持ちを感じるとともに、できない事を求める気持ちが混ざり合っている。 | ||||||
L19.ぼくはもどかしい(直接) L20.地平線のかなたへと歩きつづけたい(直接) L21.そのくせこの草の上でじっとしていたい(直接) L22.大声でだれかを呼びたい(直接) L23.そのくせ一人で黙っていたい(直接) | 積極的な欲求と消極的な欲求が描かれているが、全体的には前向きな印象を受ける。 |
会社名 | 作者 | 学年・学習時期 | 形式 | 総文字数 | 行数 | 連数 | 視点 | 時間経過 | 反復(表現) | 反復(形式) | 倒置法 | 体言止め | 直喩 | 隠喩 | 擬人法 | 対句 | 要求 | 呼びかけ(要求以外) | |
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春に | 東京書籍 | 谷川俊太郎 | 1年・p8 | 口語自由詩 | 330 | 24 | 1(3) | 一人称限定視点 | × | ○ | × | × | × | × | ○ | × | ○ | × | × |
風景 | 東京書籍 | 山村暮鳥 | 1年・p206 | 口語自由詩 | 244 | 27 | 3 | 客観視点 | × | ○ | ○ | × | ○ | × | × | × | × | × | × |
椰子の実 | 東京書籍 | 島崎藤村 | 2年・p8 | 文語定型詩 | 129 | 14 | 7 | 一人称限定視点 | ○ | × | × | × | ○ | × | × | ○ | ○ | × | × |
わたしが一番きれいだったとき | 東京書籍 | 茨木のり子 | 2年・p196 | 口語自由詩 | 454 | 32 | 8 | 一人称限定視点 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ | × | ○ |
永久欠番 | 東京書籍 | 中島みゆき | 3年・p8 | 口語自由詩 | 345 | 27 | 4 | 一人称限定視点 | × | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ | × | × | × | × |
レモン哀歌 | 東京書籍 | 高村光太郎 | 3年・p196 | 口語自由詩 | 263 | 18 | 1(4) | 一人称限定視点 | ○ | × | × | ○ | × | ○ | ○ | × | × | × | × |
月夜の浜辺 | 東京書籍 | 中原中也 | 3年・p198 | 口語自由詩 | 210 | 17 | 6 | 一人称限定視点 | ○ | ○ | ○ | × | × | × | × | × | ○ | × | ○ |
生命は | 東京書籍 | 吉野弘 | 3年・p200 | 口語自由詩 | 284 | 33 | 5 | 一人称限定視点 | × | × | × | × | ○ | × | ○ | × | ○ | × | ○ |
描きたい | 光村図書 | 折原みと | 1年・p18 | 口語自由詩 | 69 | 6 | 2 | 一人称限定視点 | ○ | ○ | ○ | × | × | × | × | × | ○ | × | × |
たんぽぽ | 光村図書 | 川崎洋 | 1年・p19 | 口語自由詩 | 64 | 9 | 1 | 一人称限定視点 | ○ | × | ○ | × | ○ | × | × | ○ | × | × | ○ |
ある日ある時 | 光村図書 | 黒田三郎 | 1年・p198 | 口語自由詩 | 110 | 9 | 1 | 一人称限定視点 | × | × | × | × | × | ○ | × | ○ | × | × | ○ |
春よ、来い | 光村図書 | 松任谷由美 | 2年・p18 | 口語自由詩 | 292 | 23 | 7 | 一人称限定視点 | × | ○ | ○ | × | × | ○ | ○ | × | ○ | × | × |
春に | 光村図書 | 谷川俊太郎 | 2年・p22 | 口語自由詩 | 330 | 19 | 1(3) | 一人称限定視点 | × | ○ | × | × | × | × | ○ | × | ○ | × | ○ |
あけがたには | 光村図書 | 藤井貞和 | 3年・p14 | 口語自由詩 | 279 | 20 | 1 | 一人称限定視点 | ○ | × | ○ | × | ○ | × | × | × | × | × | × |
お辞儀するひと | 光村図書 | 安西均 | 3年・p179 | 口語自由詩 | 349 | 22 | 2 | 一人称限定視点 | ○ | × | × | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × | × | × |
世界は一冊の本 | 光村図書 | 長田弘 | 3年・p248 | 口語自由詩 | 454 | 33 | 10 | 一人称限定視点 | × | ○ | ○ | × | ○ | × | ○ | ○ | × | × | ○ |
私を束ねないで | 光村図書 | 新川和江 | 3年・p252 | 口語自由詩 | 400 | 34 | 5 | 一人称限定視点 | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × | ○ | × |
朝のリレー | 三省堂 | 谷川俊太郎 | 1年・p1 | 口語自由詩 | 211 | 17 | 2 | 一人称限定視点 | × | × | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × | × | × | × |
ウソ | 三省堂 | 川崎洋 | 1年・p148 | 口語自由詩 | 207 | 22 | 5 | 一人称限定視点 | × | × | × | ○ | ○ | ○ | × | × | × | × | × |
未知へ | 三省堂 | 木村信子 | 2年・p1 | 口語自由詩 | 134 | 12 | 3 | 一人称限定視点 | × | ○ | ○ | × | × | × | ○ | × | × | × | × |
わたしが一番きれいだったとき | 三省堂 | 茨木のり子 | 2年・p58 | 口語自由詩 | 453 | 32 | 8 | 一人称限定視点 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ | × | × |
ジーンズ | 三省堂 | 高橋順子 | 2年・p134 | 口語自由詩 | 169 | 14 | 1 | 一人称限定視点 | × | × | × | ○ | × | × | × | ○ | × | × | × |
峠 | 三省堂 | 真壁仁 | 3年・p1 | 口語自由詩 | 316 | 24 | 1 | 客観視点 | × | × | × | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × |
仮繃帯所にて | 三省堂 | 峠三吉 | 3年・p48 | 口語自由詩 | 520 | 37 | 7 | 一人称限定視点 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × | × | ○ |
初恋 | 三省堂 | 島崎藤村 | 3年・p134 | 文語定型詩 | 161 | 16 | 4 | 一人称限定視点 | ○ | × | × | × | × | × | ○ | × | × | × | × |
たんぽぽ | 三省堂 | 星野富弘 | 3年・資料編p62 | 口語自由詩 | 102 | 10 | 1(4) | 一人称限定視点 | × | × | × | × | ○ | × | × | ○ | × | × | × |
東京書籍 | |||||||
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題名 | 学年 | 表現対象 | 連の分析 | 内容表現の分類 | 主題 | 主題の分類 | |
連の内容 | 連の構成 | ||||||
春に | 1年 | 話者(ぼく)の気持ち | 1連:春になり、話者は大地や空や自分を取り囲んでいる自然からいきいきとした生命力を感じ、また話者自身も強い活力で満たされている。 | 連が終わりに向かうに連れて、話者が感じているエネルギーがどのようなものかがより具体的になっている。 | 独り言型 | ・さまざまな気持ちが心の中で激しく動いたこととその時の心の様子 【直接的】 | 自己心情型 |
風景 | 1年 | 菜の花 | 1連:菜の花と麦笛の音 2連:菜の花とひばりの鳴き声 3連:菜の花と昼の月 | なし | 情景描写型 | ・「いちめんのなのはな」の風景とその中に溶け込んでいるもの 【直接的】 | 情景型 |
椰子の実 | 2年 | 椰子の実、浮寝の旅をする自分の境遇 | 1連:椰子の実が流れてきたこと 2連:流れてきた椰子の実を見て感じたこと 3連:流れてきた椰子の実がついていた旧の木について 4連:独り身の旅をしている自分 5連:流れてきた椰子の実を見て感じたあてもなくさすらうことへの不安、悲しみ 6連:日が沈むのを見て涙する自分 7連:いつかは故郷に帰りたいという主人公の想い | 1連:椰子の実が流れてきたという出来事 ↓ 2連:椰子の実への問いかけ ↓ 3連:椰子の実から想像したこと ↓ 4連:自分への転換 ↓ 5・6連:一人身の旅に対する不安と故郷への想いを並列し、強調している ↓ 7連:自分の意思の確認と決意 | 独り言型 | ・椰子の実に自分を重ねて感じた旅への不安と故郷を懐かしむ気持ち 【直接的】 | 自己心情型 |
わたしが一番きれいだったとき | 2年 | 戦中・戦後の街や人の様子と自分の心境 | 1連:戦争によって街が壊されたこと 2連:戦争によって沢山の人が死んだこと 3連:男の人たちは贈り物を捧げるどころではなかったこと 4連:働いてばかりいたこと 5連:日本が戦争で負けたこと 6連:外国の文化に触れられるようになったこと 7連:さびしかったこと 8連:さびしい想いをした分長生きすることに決めたこと | 1〜6連:私が一番きれいだった時の私の状況と行動 ↓ 7連:過去における心理 ↓ 8連:当時の未来への希望 | 独り言型 | ・人生で一番輝く時期に敗戦前後の最悪の状況を経験しながらも、生きていこうとする女性の決意 【直接的】 | 戦争型 |
永久欠番 | 3年 | 人間の死 | 1連:人はみな必ず死ぬものであり、誰かが死んだ後も時間は止まることなく流れていること 2連:死ぬと生きていていたことが帳消しになるようで悲しい 3連:人の存在や思い出のはかなさ 4連:忘れられてしまっても人は宇宙の中では代わりのいない存在であること | 1連:世の中の決まり、あり方 ↓ 2連:作者の気持ちが入っている ↓ 3連:具体的な出来事が入っている ↓ 4連:作者の思い 1連から3連はだんだん具体的になっている。 | メッセージ型 | 時間が経つにつれて人に忘れ去られてしまっても、人はかけがえのない存在であること 【直接的】 | 人生再認識型 |
レモン哀歌 | 3年 | 智恵子 | 1連:レモンが死ぬ間際の智恵子の意識を正常にした事と、智恵子を弔いながら生きる私 | 智恵子の死に行く様子 ↓ 今の私の姿 1連の中にも時間の経過が見られる。 | ストーリー型 | ・智恵子の死に際と彼女への愛 【間接的】 | 恋愛型 |
月夜の浜辺 | 3年 | 1つのボタン | 1連:ボタンが落ちていたこと 2連:何気なくボタンを拾ったこと 3連:ボタンが落ちていたこと 4連:ボタンを拾ったこと 5連:ボタンが指先と心に沁みたこと 6連:ボタンが捨てられないこと | 1連:ボタンが落ちていた事実 ↓ 2連:それに対して感じたこと(自分に対する疑問も含む) ↓ 3連:ボタンが落ちていた事実 ↓ 4連:ボタンに対する自分の行動 ↓ 5連:ボタンへの共感 ↓ 6連:ボタンに対する気持ちの表れ | 独り言型 | ・月夜の浜辺を歩いていた僕が感じた、落ちていたボタンへの共感 【直接的】 | 自己心情型 |
生命は | 3年 | 生命という視点から見た世界の構成 | 1連:生命を繋ぐためには他者が必要なこと 2連:重要な存在である他者との間柄がゆるやかなことへの疑問 3連:目の前の光景 4連:自分自身も欠如を満たす他者だったであろうこと 5連:私たちも欠如を満たす存在かもしれないこと | 1連:欠如のある生命 ↓ 2連:欠如を満たすことに気づかなくても許される世界 ↓ 3連:欠如を満たしあう様子 ↓ 4連:欠如を満たす自分 ↓ 5連:欠如を満たす他者 | メッセージ型 | ・私たちを含めた生命は、お互いに気づかなくても支えあいながら生きていること 【直接的】 | 人生再認識型 |
光村図書 | |||||||
題名 | 学年 | 表現対象 | 連の分析 | 内容表現の分類 | 主題 | 主題の分類 | |
連の内容 | 連の構成 | ||||||
描きたい | 1年 | 自分の気持ち | 1連:自分の感情を絵で表したがっている 2連:自分の気持ちを人に伝えるために絵で表したがっている | 1連:話者の具体的な気持ち ↓ 2連:気持ちを伝えたいという思い | 独り言型 | ・人と自分のよい気持ちを分かち合いたい 【直接的】 | 自己心情型 |
たんぽぽ | 1年 | たんぽぽ | 1連:たんぽぽが飛んでいくのを見てたんぽぽにいろんな名前をつけて呼んでいる | なし | 独り言型 | ・一人一人の個性を認め、大切にしよう 【間接的】 | 人生指針型 |
ある日ある時 | 1年 | 喜びのひと時 | 1連:秋の空や空高く噴き上げる噴水をみることで喜ぶ日がないだろうか ―そういうものに感動するくらいの心の余裕があなたにあるかを問いかけている | キレイな情景と物悲しい情景を見たときの気持ちの並列 | メッセージ型 | ・ものごとを良く見られるような気持ちの余裕を持とう 【直接的】 | 人生指針型 |
春よ、来い | 2年 | 春 | 1連:沈丁花を見ている(昔を思い出し始める) 2連:春(思い出)が迎えにくる 3連:現在、君はいないけれど、目を閉じれば君を思い出すことができる 4連:好きだった人を今も待っている 5連:私が待っていることはいつか相手にも伝わるでしょう 6連:迷う時には君との思い出が私をささえてくれる 7連:君を思いながら一人で歩き出す 8連:現在、君はいないけれど、目を閉じれば君を思い出すことができる 9連:迷う時には君との思い出が私をささえてくれる | 君と別れた悲しみを乗り越えて一人で生きていこうという気持ちの変化 | ストーリー型 | ・君との思い出を胸に春のように暖かく幸せに満ちた時に向かって進んでいく 【間接的】 | 恋愛型 |
春に | 2年 | 春 | 1連:春になり、話者は大地や空や自分を取り囲んでいる自然からいきいきとした生命力を感じ、また話者自身も強い活力で満たされている | 連が終わりに向かうに連れて、話者が感じているエネルギーがどのようなものかがより具体的になっている | 独り言型 | さまざまな気持ちが心の中で激しく動いたこととその時の心の様子 【直接的】 | 自己心情型 |
あけがたには | 3年 | 日本語 | 1連:夜汽車の中で助詞を変えた車内放送を聞いた作者の想い | 状況 ↓ 車内放送 ↓ 作者の想い | 独り言型 | ・適切な日本語を使うのは難しい 【直接的】 | 言語考察型 |
お辞儀する人 | 3年 | お辞儀にこめられた思い | 1連:中国残留孤児の劉桂琴さんが、中国へ戻る時の様子 2連:祖国日本にお辞儀せずにはいられないという劉桂琴さんの気持ちを感じた時の、作者の想い | 1連:劉さんがお辞儀している写真と日本での様子を載せた新聞記事→ 2連:それに対する作者の想い | ストーリー型 | ・劉さんのお辞儀する姿から祖国日本への想いが伝わり、やりきれない ・劉さんの行動に対する敬意 【直接的】 | 戦争・人生型 |
世界は一冊の本 | 3年 | 世界 | 1連:本を読もうという呼びかけ 2連:本の例(自然) 3連:本の例(植物) 4連:本の例(世界) 5連:本の例(外国) 6連:本の例(街) 7連:本の例(外国にあるもの) 8連:本の例(人間) 9連:本の例(権威をもたない尊厳) 10連:生きることは考えることである 11連:本を読もうという呼びかけ | 1連:本を読もうという呼びかけ ↓ 2〜9連:書かれた文字以外の「本」の例 ↓ 10連:様々な事象に目をむけ考えることが生きるということである ↓ 11連:本を読もうという呼びかけ | メッセージ型 | ・世の中のすべては本のようなものであるので、世界の様々な事象に目をむけ、自分でよくものを考え、よりよく生きよう 【直接的】 | 人生指針型 |
わたしを束ねないで | 3年 | わたし | 1連:わたしを束ねないでほしい 2連:わたしを止めないでほしい 3連:わたしを注がないでほしい 4連:わたしを名付けないでほしい 5連:わたしを区切らないでほしい | 1〜5連:自由に生きたいという願い | メッセージ型 | ・世間が決める枠組みに束縛されずに、主体的に、ありのままに、自由に生きたい 【直接的】 | 自己心情型 |
三省堂 | |||||||
題名 | 学年 | 表現対象 | 連の分析 | 内容表現の分類 | 主題 | 主題の分類 | |
連の内容 | 連の構成 | ||||||
朝のリレー | 1年 | 朝 | 1連:地球上の様々な地点での 時と朝の様子 2連:朝をリレーする事で人と人つながっている | 1連:具体的な様子 ↓ 2連:抽象的 | メッセージ型 | ・地球上に住んでいる人と人はみんなつながっているのだということ 【間接的】 | 人生再認識型 |
ウソ | 1年 | ウソとホント | 1連:詩に引き込ませるための導入部分 2.3連:逆説的な言葉遊び 4連:ウソとホントが混沌としている状態 5連:本当に信じられるものは非常に少ないということ | 1〜3連:断定 ↓ 4連:混沌 ↓ 5連:混沌とした状態の中で最低限信じられる事 | 独り言型 | ・信じられるものが少ないことへの淋しさと信じられるものへの安心感 【間接的】 | 自己心情型 |
未知へ | 2年 | わたし自身 | 1連:ありったけわたしが響いている 2連:あふれるほど響いている 3連:おもてへこだまして響いている | 1連→2連→3連と少しずつ表現を変え、響いている規模を大きくすることで、未知へ向かっている様子が強くなっている | 独り言型 | ・新しい世界への期待とこれから成長していこうとするわたし 【間接的】 | 自己心情型 |
わたしが一番きれい だったとき | 2年 | 戦争と私 | 1連:戦争によって街が壊されたこと 2連:戦争によって沢山の人が死んだこと 3連:男の人たちは贈り物を捧げるどころではなかったこと 4連:働いてばかりいたこと 5連:日本が戦争で負けたこと 6連:外国の文化に触れられるようになったこと 7連:さびしかったこと 8連:さびしい想いをした分長生きすることに決めたこと | 1〜6連:私が一番きれいだった時の私の状況と行動 ↓ 7連:過去における心理 ↓ 8連:当時の未来への希望 | 独り言型 | ・人生で一番輝く時期に敗戦前後の最悪の状況を経験しながらも、生きていこうとする女性の決意 【直接的】 | 戦争型 |
ジーンズ | 2年 | ジーンズ | 1連:洗って干されたジーンズの様子やそれに詰まった思い出によって、少しずつ元気になっていく主人公の様子 | ジーンズを干したこと ↓ ジーンズに詰まった思い出 ↓ だんだん元気になっていく主人公の気持ち | 独り言型 | ・小さなきっかけによる心境の変化、愛用品に詰まった思い出 【間接的】 | 自己心情型 |
峠 | 3年 | 峠 | 1連:人生の決別のときを峠に上りついたときに例えている | 峠に上り詰めた人々が置かれる状況 ↓ 峠に立ったときの気持ち ↓ 決別という宿命 ↓ その宿命を受け入れるための準備 | メッセージ型 | ・峠と人生を重ね合わせ、人生で決定を下す時は悲しいものであるが、未来へ進む明るいものでもある。あせらず、過去を振り返ったりして落ち着いて決めるのがよいということ 【間接的】 | 人生指針型 |
仮繃帯所にて | 3年 | 原爆 | 1.2.3連:原爆の被害にあった女学生たちの様子 4連:原爆への怒り 5.6連:女学生たちの思いを想像して感じる原爆の悲惨さ | 1.2.3連を並列させて書くことによって原爆の悲惨さをより印象付けている ↓ 4.5.6連が作者の気持ち | メッセージ型 | ・原爆の悲惨さ 【直接的】 | 戦争型 |
初恋 | 3年 | 初恋 | 1連:まだ少女だった初恋相手の女との出会い 2連:女に対して恋をしたとき 3連:女との恋愛を楽しんでいる情景 4連:女と一緒にいて二人の恋愛時代を思い出している。もしくは女と別れて悲しんでる情景 | 1連:出会い ↓ 2連:恋愛 ↓ 3連:結婚 ↓ 4連:その後 時間経過がある | ストーリー型 | ・初恋の楽しさ(と、その別れの悲しさ) 【間接的】 | 恋愛型 |
たんぽぽ | 3年 | たんぽぽ | たんぽぽが飛んでいく様子を見て人間であろうとたんぽぽであろうと必要なものはただひとつであるという思い | たんぽぽが飛ぶ様子 ↓ 人間との共通性の発見 | 独り言型 | ・生きるものにとって本当に必要なもには一つ(命)である 【間接的】 | 人生再認識型 |
東京書籍 | |||||||
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題名 | 学年 | 心理 | 心理状態の分析 | 心理状態 | 心理変化 | 主題 | |
心理を読み取れる表現 | 読み取れる心理状態 | ||||||
春に | 1年 | ○ (直接・間接) | L1.6.14.24この気持ちはなんだろう (直接) ↓ L7.枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく (間接) L8.よろこびだ しかしかなしみでもある ↓ L9.いらだちだ しかもやすらぎがある (直接) L10.あこがれだ そしていかりがかくれている (直接) ↓ L15.あの空のあの青に手をひたしたい (直接) L16.17.まだ会ったことのないすべての人と 会ってみたい話してみたい (直接) L18.あしたとあさってが一度にくるといい (直接) ↓ L19.ぼくはもどかしい (直接) L20.地平線のかなたへと歩きつづけたい (直接) L21.そのくせこの草の上でじっとしていたい (直接) L22.大声でだれかを呼びたい (直接) L23.そのくせ一人で黙っていたい (直接) | いろいろな感情が混ざり合っている状態 ↓ 周りのものから刺激を受けている状態 ↓ 心が良い状態と悪い状態が混ざり合っている ↓ 「〜したい」という話者の積極的な欲求なので、前向きな気持ちを感じるとともに、できない事を求める気持ちが混ざり合っている ↓ 積極的な欲求と消極的な欲求が描かれているが、全体的には前向きな印象を受ける | +・− | × | ・さまざまな気持ちが心の中で激しく動いたこととその時の心の様子 【直接的】 |
風景 | 1年 | × | なし | なし | × | × | ・「いちめんのなのはな」の風景とその中に溶け込んでいるもの 【直接的】 |
椰子の実 | 2年 | ○ (直接・間接) | L4.汝はそも波に幾月 (間接) L8.ぞ (間接) ↓ L10.新たなり流離の憂 (直接) ↓ L12.激り落つ異郷の涙 (間接) ↓ L13.思ひやる八重の潮々 (間接) L14.いづれの日にか国に帰らん (直接) | 椰子の実に対する親近感 ↓ もの悲しさ、不安 ↓ 故郷への恋しさ ↓ 故郷への恋しさ、故郷に帰りたいという意思 | − | × | ・椰子の実に自分を重ねて感じた旅への不安と故郷を懐かしむ気持ち 【直接的】 |
わたしが一番きれいだったとき | 2年 | ○ (直接・間接) | L3.とんでもないところから (間接) L4.〜なんかが (間接) ↓ L8.〜してしまった (間接) L10.捧げてはくれなかった (間接) ↓ L14.からっぽで (直接) L15.かたくなで (直接) ↓ L19.そんな馬鹿なことってあるものか (直接) ↓ L20.まくり、卑屈な、のし歩いた (間接) ↓ L23.くらくらしながら (間接) L24.甘い、むさぼった (間接) ↓ L26.ふしあわせ (直接) L27.とんちんかん (直接) L28.めっぽうさびしかった (直接) ↓ L29.だから決めた (直接) ↓ L32.ね (間接) | 驚き、信じられない気持ち ↓ がっかりするような気持ち ↓ 放心状態 ↓ 怒り、憎しみ、失望 ↓ 怒り、憎しみ ↓ 解放感 ↓ いろいろな感情が混ざり合っていた状態、さびしい ↓ 前向き、過去の自分がした決意、はいあがっていこうとする思い ↓ 明るさ | −→+ | ○ | ・人生で一番輝く時期に敗戦前後の最悪の状況を経験しながらも、生きていこうとする女性の決意 【直接的】 |
永久欠番 | 3年 | ○ (直接・間接) | L10.生きていたことが帳消しになるかと思えば淋しい (直接) ↓ L13.かけがえのないものなどいないと (間接) ↓ L20.21.だれか思い出すだろうか ここに生きてた私を (間接) ↓ L25.27.人は永久欠番 (間接) | 淋しさ ↓ 世の中の無情さ ↓ あきらめ、淋しさ ↓ 希望や安心感を持とうとする気持ち | −→0 | × | ・時間が経つにつれて人に忘れ去られてしまっても、人はかけがえのない存在であること 【直接的】 |
レモン哀歌 | 3年 | ○ (直接・間接) | L2.かなしく白くあかるい (間接) ↓ L8.青く澄んだ眼 (間接) ↓ L9.私の手を握るあなたの力の健康さよ (間接) ↓ L16.あなたの機関は (間接) ↓ L18.すずしく光るレモンを今日も置こう (直接) | 死に対する複雑な気持ち ↓ 智恵子に対する愛情 ↓ 驚き、喜び ↓ 死を受け入れる気持ち ↓ 智恵子への愛情、智恵子を弔う気持ち | -→0 | ○ | ・智恵子の死に際と彼女への愛 【間接的】 |
月夜の浜辺 | 3年 | ○ (直接) | L5.なぜだかそれを捨てるには忍びず (直接) ↓ L11.L12月に向つてそれは抛れず 浪に向つてそれは抛れず (直接) ↓ L14. L15.月夜の晩に、拾つたボタンは 指先に沁み、心に沁みた。 (直接) ↓ L16 .L17.月夜の晩に、拾ったボタンは どうしてそれが捨てられようか? (直接) | 自分の気持ちに対する疑問 ↓ より強くなった捨てられないという意思 ↓ 孤独なボタンの境遇への共感 ↓ いや、捨てることは出来ないという自分の行動への納得 | - | × | ・月夜の浜辺を歩いていた僕が感じた、落ちていたボタンへの共感 【直接的】 |
生命は | 3年 | ○ (直接) | L23. L24. L25.そのように 世界が緩やかに構成されているのは なぜ? (直接) | ゆるやかな世界のしくみへの感嘆 | + | × | ・私たちを含めた生命は、お互いに気づかなくても支えあいながら生きていること 【直接的】
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光村図書 | |||||||
題名 | 学年 | 心理 | 心理状態の分析 | 心理状態 | 心理変化 | 主題 | |
心理を読み取れる表現 | 読み取れる心理状態 | ||||||
描きたい | 1年 | 〇 (直接) | L1.2.3.4描きたい (直接) ↓ L5.伝えたい (直接) ↓ L6.描きたい (直接) | 描きたいという強い思い 2連→共有して分かち合おうという気持ち | + | × | ・人と自分のよい気持ちを分かち合いたい 【直接的】
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たんぽぽ | 1年 | 〇 (直接・間接) | L4.ひとつひとみんな名前があるんだ。 (間接) L9.川に落ちるな (直接) | 一人一人を大切にしたいという気持ち | + | × | ・一人一人の個性を認め、大切にしよう 【間接的】 |
ある日ある時 | 1年 | 〇 (直接・間接) | L1.美しい (間接) L2.3.何かしらいいことがありそうな気のする (直接) ↓ L6.むなしく (間接) L7.わびしく (間接) L7.8.一枚の落ち葉さえ何かしら喜びに踊っているように見える (間接) | 日常の中にあるありふれた美しい情景を見て嬉しくなる気持ち ↓ むなしくわびしいものをみてでさえ気分が高まる | + | × | ・ものごとを良く見られるような気持ちの余裕を持とう 【直接的】 |
春よ、来い | 2年 | 〇 (直接・間接) | L7.遠き春 (間接) ↓ L7.瞼閉じればそこに (間接) L8.なつかしき声 (直接) ↓ L10.待っています (間接) L12.ずっとずっと待っています (間接) ↓ L14.きっと (直接) ↓ L15.まだ見ぬ春 (間接) | 昔の幸せだったときと今の状況の心理的な距離 ↓ 昔を思い出している ↓ ずっと君を思っている ↓ 不安の中での希望 ↓ 未来への希望 | + | × | ・君との思い出を胸に春のように暖かく幸せに満ちた時に向かって進んでいく 【間接的】 |
春に | 2年 | 〇 (直接・間接) | L1.6.14.24この気持ちはなんだろう (直接) ↓ L6.枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく (間接) ↓ L7.よろこびだ しかしかなしみでもある (直接) L8.いらだちだ しかもやすらぎがある (直接) L9.あこがれだ そしていかりがかくれている (直接) ↓ L15.あの空のあの青に手をひたしたい (直接) L16.17.まだ会ったことのないすべての人と 会ってみたい話してみたい (直接) L18.あしたとあさってが一度にくるといい (直接) ↓ L19.ぼくはもどかしい (直接) L20.地平線のかなたへと歩きつづけたい (直接) L21.そのくせこの草の上でじっとしていたい (直接) L22.大声でだれかを呼びたい (直接) L23.そのくせ一人で黙っていたい (直接) | いろいろな感情が混ざり合っている状態 ↓ 周りのものから刺激を受けている状態 ↓ 心が良い状態と悪い状態が混ざり合っている ↓ 「〜したい」という話者の積極的な欲求なので、前向きな気持ちを感じるとともに、できない事を求める気持ちが混ざり合っている ↓ 積極的な欲求と消極的な欲求が描かれているが、全体的には前向きな印象を受ける | +・− | × | ・さまざまな気持ちが心の中で激しく動いたこととその時の心の様子 【直接的】 |
あけがたには | 3年 | 〇 (直接) | L16.日本語を苦しんでいる (直接) L17.日本語で苦しんでいる (直接) L18.日本語が、苦しんでいる (直接) | 助詞を変えることで作者も読者も日本語に苦しむ事になる | 0 | × | ・適切な日本語を使うのは難しい 【直接的】 |
お辞儀する人 | 3年 | 〇 (直接・間接) | L7.推定(なんと悲しい文字だらう)四十四歳 (直接) ↓ L16.美しく、哀しいお辞儀の姿 (間接) L18.思はず胸のうちで、この姿に会釈を返す (間接) L19.このひとが戻っていく国の言葉で〈再見〉と言ひたい気がする (直接) | 自分の出生についてよくわからない劉さんの悲しい身の上 ↓ 劉さんの行動に対する敬意と劉さんの境遇へのやりきれなさ | - | × | ・劉さんのお辞儀する姿から祖国日本への想いが伝わり、やりきれない ・劉さんの行動に対する敬意 【直接的】 |
世界は一冊の本 | 3年 | 〇 (直接) | L29.生きるというとは、考えることができるということだ (直接) | 考えることが大切だという主張 | + | × | ・世の中のすべては本のようなものであるので、世界の様々な事象に目をむけ、自分でよくものを考え、よりよく生きよう 【直接的】 |
わたしを束ねないで | 3年 | 〇 (直接) | L1.わたしを束ねないで (直接) L4.束ねないでください (直接) ↓ L7.わたしを止めないで (直接) L11.止めないでください (直接) ↓ L13.わたしを注がないで (直接) L17.注がないでください (直接) ↓ L19.わたしを名付けないで (直接) ↓ L25.わたしを区切らないで (直接) | あらせいとうや葱のように1つに束ねられず、金の稲穂のように広大な大地に自由にいたいという気持ち ↓ 標本箱の昆虫や絵葉書のように1か所に止められず、大きな空を羽ばたいていたいという気持ち ↓ 牛乳や酒のようにそとからの影響を受けやすい小さな存在ではなく、海のように限りなく満ち溢れる力を持つ大きな存在でいたいという気持ち ↓ 「娘」「妻」「母」と名付けられたり、その役目を押し付けられたりせず、風のように自由にいきたいという気持ち ↓ ,や.や段落、手紙のように区切られず、川のようにはてしなく進んで行きたいという気持ち | 0 | × | ・世間が決める枠組みに束縛されずに、主体的に、ありのままに、自由に生きたい 【直接的】
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三省堂 | |||||||
題名 | 学年 | 心理 | 心理状態の分析 | 心理状態 | 心理変化 | 主題 | |
心理を読み取れる表現 | 読み取れる心理状態 | ||||||
朝のリレー | 1年 | ○ (間接) | 〈登場人物の心理を表す表現〉 L6.ほほえみながら (間接) L8.ウインクする (間接) ↓ 〈作者の心理を表す表現〉 L11.L17〜のだ (間接) L13.守る (間接) | 明るさ、陽気 ↓ 断定、強い意志、すがすがしさ、前向き | + | × | ・地球上に住んでいる人と人はみんなつながっているのだということ 【間接的】 |
ウソ | 1年 | ○ (間接) | L19.そっと (間接) ↓ L20.このあたたかさだけは L21.ウソではない と L22.自分でうなずくために (間接) | 大切に思う気持ち ↓ 安心感、信じられるものが少ないことへの淋しさ | + | × | ・信じられるものが少ないことへの淋しさと信じられるものへの安心感 【間接的】 |
未知へ | 2年 | ○ (直接) | L3.ありったけ (直接) ↓ L6.痛いほど (直接) L7.あふれるほど (直接) ↓ L11.胸をときめかせて (直接) | 自分の中での最大限の気持ち ↓ 自分の中の最大限を越えるような強い気持ち ↓ 未知のものへの期待とわくわくする気持ち | + | × | ・新しい世界への期待とこれから成長していこうとするわたし 【間接的】 |
わたしが一番きれい だったとき | 2年 | ○ (直接・間接) | L3.とんでもないところから (間接) L4.〜なんかが (間接) ↓ L8.〜してしまった (間接) L10.捧げてはくれなかった (間接) ↓ L14.からっぽで (直接) L15.かたくなで (直接) ↓ L19.そんな馬鹿なことってあるものか (直接) ↓ L20.まくり、卑屈な、のし歩いた (間接) ↓ L23.くらくらしながら (間接) L24.甘い、むさぼった (間接) ↓ L26.ふしあわせ (直接) L27.とんちんかん (直接) L28.めっぽうさびしかった (直接) ↓ L29.だから決めた (直接) ↓ L32.ね (間接) | 驚き、信じられない気持ち ↓ がっかりするような気持ち ↓ 放心状態 ↓ 怒り、憎しみ、失望 ↓ 怒り、憎しみ ↓ 解放感 ↓ いろいろな感情が混ざり合っていた状態、さびしい ↓ 前向き、過去の自分がした決意、はいあがっていこうとする思い ↓ 明るさ | -→+ | ○ | ・人生で一番輝く時期に敗戦前後の最悪の状況を経験しながらも、生きていこうとする女性の決意 【直接的】 |
ジーンズ | 2年 | ○ (直接・間接) | L2.いいな (直接) ↓ L3.歩いていってしまいそう (直接) L10.12.〜さ (間接) ↓ L14.きっと (直接) | 楽しい、わくわくするような気持ち ↓ 明るい、前向き ↓ 期待、希望 | + | × | ・小さなきっかけによる心境の変化、愛用品に詰まった思い出 【間接的】 |
峠 | 3年 | ○ (直接・間接) | L2.明るい憂愁 (間接) ↓ L12.なつかしく (直接) ↓ L13.たのしい (直接) L16.あまい (間接) | 未来に対する期待と過去との別れの淋しさ ↓ 過去を懐かしむ気持ち ↓ 未来への期待 | + | × | ・峠と人生を重ね合わせ、人生で決定を下す時は悲しいものであるが、未来へ進む明るいものでもある。あせらず、過去を振り返ったりして落ち着いて決めるのがよいということ 【間接的】
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仮繃帯所にて | 3年 | ○ (直接・間接) | 〈登場人物の心理状態を表す表現〉 L3.わめいても (間接) L4.もがこうにも (間接) ↓ L28.L33.L35.おもっている (間接) ↓ 〈作者の心理状態を表す表現〉 L10.ああ、愛らしい (直接) L12.思えよう (直接) ↓ L19.何故こんな目に遭わねばならぬのか (直接) L20.なぜこんなめにあわねばならぬのか (直接) L21.何の為に (直接) L22.なんのために (直接) ↓ L30.いま逢ったってたれがあなたとしりえよう (間接) L32.一瞬に垣根の花はちぎれいまは灰の跡さえわからない (間接) | 苦しみ、怒り ↓ 行き場のない気持ち ↓ 信じられない気持ち、なげき ↓ 行き所のない怒りや憎しみ、憤り ↓ 行き場のない気持ち | - | × | ・原爆の悲惨さ 【直接的】 |
初恋 | 3年 | ○ (直接・間接) | L4.花ある (間接) L5.やさしく白い (間接) ↓ L11.たのしき (直接) ↓ L16.こひしけれ (直接) | 君に対する好意 ↓ 恋愛の絶頂期にあるときの楽しさ ↓ 君に対する愛情 | +→? | ○ | ・初恋の楽しさ(と、その別れの悲しさ) 【間接的】 |
たんぽぽ | 3年 | ○ (直接) | L6.うれしくてならなかったよ (直接) ↓ L10.とべるような気がしたよ (直接) | うれしくてならない ↓ 未来への希望が開けたこと | + | × | ・生きるものにとって本当に必要なもには一つ(命)である 【間接的】 |
1年では、倒置法・隠喩・擬人法・対句などを使わない詩が多い。2年では、反復・隠喩・対句が極めて多く使われている。3年は、1、2年に比べ、詩の数・総文字数・行数が増えているのが特徴的である。特に隠喩は、直喩よりも解釈しにくいため、低学年では表れにくいが学年が上がるにつれて、その率が高くなっている。しかし、全体的には技法を段階的に学んでいるという傾向は見られなかった。
時間経過 | 反復(表現) | 反復(形式) | 倒置法 | 体言止め | 直喩 | 隠喩 | 擬人法 | 対句 | 要求 | 呼びかけ(要求以外) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1年 | 29% | 43% | 57% | 29% | 43% | 43% | 29% | 29% | 29% | 0% | 29% |
2年 | 43% | 71% | 57% | 43% | 43% | 43% | 71% | 29% | 71% | 0% | 29% |
3年 | 33% | 33% | 50% | 42% | 67% | 33% | 75% | 42% | 25% | 8% | 11% |
内容表現の分類…会社別では特に差はない。
学年別では、3年生はメッセージ型が多くなっている。メッセージ型の詩を主題の分類とともにあげる。
光村図書と三省堂は、+→+の状態になっている詩が大部分を占める。これは三社すべての詩の割合を見てもそれほど不思議なことではない。それに対して東京書籍は他の二社とは異なり、偏りなく分布している。また、東京書籍は「風景」のように心理的な表現が見られない詩が採られているなど、この三社の中では特徴的な分布になっているといえるだろう。特に−から始まる詩が多い。そのような詩は、学習者が詩の語り手の感情へと入り込みにくいために、学習者の興味をわきおこしにくい。
どの学年も+→+の状態になっている詩が多い。しかし3年では、様々な心理状態が幅広く分布しており、多様性が見られるようになる。その中でも1年と2年には全く見られなかった−→−の詩や−→0が目立つようになっている。これは、+の心理状態のみに終始するのではなく、あえて−の心理状態を学ぶことでより深く考えさせるような詩が中学校の最終学年である3年に多く採られているのではないかと考える。
三社ともに共通して見られる型として、
光村図書の場合は他の2社と違いがあって、人生指針型や自己心情型の主題の詩が全体の詩の60%以上を占めているが、三省堂や東京書籍の場合は自己心情型以外の詩は主題が均等にわかれている。
次に学年別では戦争型や恋愛型は1年では出てこないで、2年以降で登場する。3年になると様々な型の主題が取り上げられている。学年が上がるにつれて主題の内容が深く広くなっているのは、精神の成熟にあわせているからだと考えた。
まず、会社別に見てみる。東京書籍、光村図書では、共に直接的な主題を持つ詩が多い。しかし三省堂では、直接的な主題を持つ詩が2作品掲載されているのに対して、間接的な主題を持つ詩は7作品もある。三省堂掲載の、間接的な主題を持つ詩を挙げる。
ここで1、2年のそれぞれの詩教材の扱われ方について述べる。「朝のリレー」「未知へ」「峠」は、表表紙から数えて5、6頁にカラーで掲載されていて、導入の役割を果たしている。「ウソ」は、言葉遊び的な面を持っているユーモアあふれる詩で、学習者の興味を引きやすいといえる。「ジーンズ」は、現代的な詩で、題材や設定が学習者にとって身近なもので読みやすい。
特に1、2年の間接的な主題の詩は、「詩から学ぶ」要素よりも、むしろ「詩のおもしろさや作者の世界観に触れる」要素により重点を置いていると考えられる。
次に、学年別に見てみる。1、2年共に直接的、間接的な主題を持つ詩がほぼ同数あり、特徴は見られない。3年に着目すると、直接的な主題の方が多い。これらの詩を、先に示した「主題の分類」と共に挙げる。
1年から3年までのすべての詩を分析すると、学年が上がるごとに少しずつ詩の表現技法が増えていっているように見える。しかし、そのことを重点において詩教材を掲載しているようには思えない。
1年、2年では「詩から学ぶ」ことよりも「詩のおもしろさや作者の世界観に触れる」ことを重点に置いた詩を掲載していることや、3年になると詩の主題の分類が多様化していたり、主題の内容が深くなったりしていることから、精神的成熟度に応じた詩の選択を中心に掲載していると考えた。
今回の研究から、中学校の国語の教科書に採られている詩教材は、学習者の精神的成熟を促す役割を果たしていると考えることができる。
今回の研究では、現行の教科書の中で東京書籍、光村図書、三省堂の三社のみを対象に分析をした。
これからの研究を発展させる方向として、改訂以前の教科書に採られた詩教材と比較し、会社別の詩の傾向やその特徴を時代の流れとともに見ていくという通時的な研究と、小学校と高等学校の教科書に採られた詩教材とを合わせた比較を行って、学習者の言語運用能力を発達論的に見ていく研究とが考えられる。
大阪教育大学 国語教育講座 野浪正隆研究室 ↑ページTop ←戻る