作品中の叙述から、主人公を取り巻く状況やその状況変化、それに伴う主人公の心理変化、視点などを分析した。項目ごとに分析したものを表にまとめている。この表をもとに、主人公と状況との関わり、主人公の心理の変化を捉えていく。
更に教科書会社に着目し、各会社ごとの傾向を探る。
分析の観点は、以下の通りである。
「ちいちゃんのかげおくり」・「おはじきの木」・「白いぼうし」が例として挙げられる。
光村図書一上の掲載作品である「くじらぐも」を例に説明していく。
この作品は一年二組の体育の時間に白い大きなくじらぐもが現れ、一年二組の子どもたちと先生を乗せて空を飛ぶという話である。
くじらが言葉を話し空を飛ぶという現実にはあり得ない出来事を描いていることから、物語世界の設定は非現実とした。
くじらぐもの背中に乗って青い空を飛びまわる叙述から、主題は空を飛ぶ楽しさとし、主題に繋がるきっかけは、くじらぐもに乗ることとした。
そしてその主題を導く登場人物である一年二組の子どもたちを主人公とし、小学一年生であることから年齢は少、性別は男女、性格はくじらに「おうい。」と声を掛けたり、くじらぐもに飛び乗ろうとする叙述から好奇心旺盛だとした。
また進んで雲に乗ろうと声を掛け、ジャンプして飛び乗ろうとする叙述から、出来事に対する態度を積極的とした。
はじめの状況は、普段通り学校で四限目の授業を受けている状況であり、0とした。
またはじめの状況での心理も、同様に0とした。
終わりの状況は、くじらぐもに乗って空を飛びまわった後、学校に戻り普段の生活に戻ってくるので0とした。
終わりの状況での心理は、くじらぐもに乗って空を飛びまわったことが楽しいとして+とした。
このような観点で私達は各作品を分析し、表にしたものを4.分析表に載せる。