小学校2年生向け説明文の創作 2017年度版
2017年度の国語学講義では小学校の国語の物語文教材・説明文教材の構造を分析しています。同時にその構造を使って教材を創作しています。
2年生の説明文教材ができたので、公開します。
お笑い 上田 大貴
日本には昔からお笑いという文化があります。
そして現代のお笑いの中で最も人気があるのが漫才です。
漫才は、ボケとツッコミがいて成り立つものです。ボケとツッコミがどのように関係し、漫才を完成させているのか考えてみましょう。
まず、ボケについてです。ボケは話題の中で、面白いことを言ったり、明らかな間違いや勘違いなどを織り込んで笑いを誘う役割があります。
一方、そのボケの間違いを指摘し、笑いどころを観客に提示する役割を担うのがツッコミです。
ボケだけ、ツッコミだけで笑いを生み出すのはとても難しいことです。
ボケに対してツッコミが今のはどこがどのように面白いのかを観客にわかりやすく提示することで初めて笑いが生まれるのです。
これが日本でピン芸人よりも漫才師のほうが根強い人気を誇っている理由でしょう。
お笑いは、日本が世界に誇るべき文化の一つです。
これから先も面白いお笑いがみられることを願っています。
『アルミ缶の一生』 生越 真理
お店や自動販売機では、アルミ缶に入った飲み物が売られています。
アルミ缶はどのようにしてできたのでしょうか。
そして、捨てた後はどこへ行くのでしょうか。
飲み終わって捨てられた空き缶は、まず再生工場に送られます。その途中で、アルミ缶と鉄でできたスチール缶に分けられます。
再生工場につくと、大量に集められたアルミ缶は機械で潰されてしまいます。この時、潰されて四角の形になったものをアルミ缶プレスと呼ばれます。
その後、アルミ缶プレスはそのまま高温で溶かされます。アルミ缶プレスは溶けるとアルミニウムになります。アルミニウムとは金属の種類の一つで、アルミ缶の原料です。つまり、アルミニウムからできたアルミ缶が再びアルミニウムに戻るのです。
最後に、アルミ缶からできたアルミニウムは、工場の製造ラインに運ばれます。そこで、アルミニウムは筒状にくりぬかれ、表面に色をつけられていきます。そのすべての工程を経て、アルミニウムはアルミ缶に生まれ変わるのです。
新しく作られたアルミ缶は、飲み物を作る工場に運ばれ、中身を詰められたあと出荷されます。そしてまた、お店や自動販売機で売られていくのです。
わたり鳥 加茂 千尋
日本には多くの野鳥がいますが、その多くはわたり鳥です。夏に日本にくるわたり鳥を「夏鳥」、冬に日本にくるわたり鳥を「冬鳥」といいます。冬鳥にはマガモ、コガモ、オナガガモなどのカモ類がいます。カモのくらしをみてみましょう。
カモたちは夏の間はシベリアですごし、さむい冬になると日本や東南アジアにやってきます。寒いシベリアの冬は、氷のせかいでエサをとることができなくなるからです。そして、シベリアが温かくなる夏になると、またとんで帰っていきます。とぶときは、太陽や星の位置、空からみる地形や磁場(地球のもつ電気の力)をかんじてもくてきちをきめていることがわかっています。
シベリアに帰ると、カモは家族をふやします。カモは10歳くらいになると決めたつがい(けっこんするパートナーのことです)と一生つれそいます。ほかの鳥に比べてなかがよいといわれています。
野生ではだいたい20歳くらいまで生きることができます。
カモのほかにも、身近な鳥がどのようなくらしをしているのかしらべてみましょう。
かぶとむしが大きくなるまで 西村 聡太朗
かぶとむしは、世界中にすむ昆虫てす。
あの8センチメートルほどの体に大きな力を秘めた昆虫はどこで生まれ、どのようにして大きくなったのでしょう。
夏の終わりごろから、大人のかぶとむしは、木の周りにあつまります。
そして、卵を産むために樹液などのえさをおなかいっぱい食べます。
やがて、おなかがいっぱいになると、オスを探して交尾をします。
そして、30個ほど卵を産んだ後、メスのかぶとむしは死んでしまいます。
秋になると、卵からちいさなかぶとむしの子どもがでてきます。
その子どもたちは春になるまで3リットルもの腐葉土をたべます。
そして、2回の脱皮をしたあと、さなぎになります。
さなぎの状態で1か月ほど過ごすと、大人のかぶとむしになります。
大人になったかぶとむしたちは大空に羽ばたきます。
そして、また樹液をおなかいっぱい食べて、卵を産みます。
沖縄の海 辻川 友唯・平崎 宏美
エメラルドグリーンにかがやく沖縄の海は、わたしたちの大切なざい産です。世界にほこれる美しい海には数百種のサンゴがすみ、色あざやかな熱帯魚がむれをなして泳いでいます。では、海の生き物たちはどのような環境で生きているのでしょうか。
沖縄の海は、び生物やプランクトンなどの小さな生きものたちが少ないため、すきとおっていて、海面から底の方まで見わたせるほどです。また、そのすきとおった海の色は、コバルトブルーとよばれるきれいな色だともいわれます。ここで、海に生きるサンゴしょうを見てましょう。沖縄の島々は、たくさんのサンゴしょうに取り囲まれています。サンゴしょうは、波やしおの流れから海岸を守るだけでなく、多くの海の生物たちのすみかにもなっています。サンゴはサンゴ虫という小さな動物(=腔腸動物:こうちょうどうぶつ)が集まったものです。そしてマンタやクジラをはじめとする、たくさんの海の生物が、「黒潮(くろしお)」と呼ばれる流れにつつまれながら、日本列島を目指してたえず流れています。
沖縄の海には、たくさんの美しい生き物が住んでいます。ですが今日、その美しさは環境はかいによって消えようとしているのです。このかがやく海をまもるために、今、私たちひとりひとりが「海の命」をたいせつに思い、これ以上環境をこわさないよう意識することが求められています。
ペンギンのヒナと親鳥 高窪 祐太
ペンギンは、南半球にすむ海鳥てす。
あのかわいらしい海鳥はどのようにして生まれ、どのようにして成長するのでしょう。
ペンギンの卵は、孵るまでずっと親鳥に暖められています。
その役目をするのは、基本的にはお父さんペンギンです。
お母さんペンギンは、食料を探すために海へ出ているのです。
この約3か月の間、お父さんペンギンはずっと卵を守り続けているのです。
ヒナのときにも、ペンギンは常に親鳥のそばにいて守ってもらっています。
やがて、ヒナだけで集団をつくることで、少しずつ社会にでていきます。
こうして成鳥になったペンギンの生存率は9割以上とも言われています。
ペンギンは親鳥の愛情によって、厳しい環境でも成長することができるのです。
犬と人 高田 陽介
人のくらしと犬のくらしは深いかかわりがあります。かい主とかい犬というかんけいの中で、お互いたすけ合って生きています。では、人と犬は一体どのようにたすけあって生きているのでしょうか。
人は犬をさんぽにつれていってあげます。ふだん小屋にこもっている犬にとってさんぽの時間はきちょうな運動の時間です。
犬はとても鼻のよい生き物です。なんと人の100万倍いじょうを鼻がよいのです。その鼻のよさを使って人とのくらしのなかでたくさんのにおいをかぎわけたりしてくれます。
人は犬を家族のように感じます。犬は子どもと遊んでくれたり、一人のさびしさをまぎらわせたりしてくれます。人は犬といっしょにすごすことで、さびしくなくなることがあるのです。
犬はあつさによわい生き物です。犬の体おんは38°くらいあります。なので犬は冷たいところや寒いところがすきです。
でも、冬の寒い日にはしっかりあたためてあげないと、犬だってかぜをひいてしまいます。
犬は人のくらしをたくさんたすけてくれます。しかし、人も犬にエサを与えたり、犬の生活をたすけています。人と犬はきってもきれないようなつながりがあるのです。おたがいがたすけあうことで、犬と人がともにくらしやすいようなかんきょうを作っているのです。
ツバメ 藤原 亮太
ツバメは暖かい地方を求めて、住む場所を移動する渡り鳥です。あの20センチメートルほどの渡り鳥は、どこで生まれ、どのようにして大きくなったのでしょう。
春から夏にかけて、ツバメは群れで日本へやってきます。ツバメたちは人家の軒先や、人間が住む環境に巣を作り、そこでメスが産卵を行います。産んだ卵はオスとメスが交互にあたため、約13日で孵化します。
孵化したヒナはその後、巣の中で20日〜24日間生活します。その間、エサとして親ツバメが捕ってきてくれた、ハチ、ハエ、トンボ、アブなどの生きた昆虫を、直接口に与えてもらいます。
巣立ちの日が近くなると、空を飛ぶために必要な、羽ばたきの練習を繰り返すようになります。無事に巣立った後は、もうヒナが巣に戻ることはなくなり、電線などに止まりながら生活するようになります。さらに巣立ちから二週間ほどすると一人でエサを取れるようになり、共に巣立った仲間たちと生活していきます。
夏の終わりを迎え始めると、ツバメたちは南の暖かい地方を目指して、日本を旅立ちます。生まれた場所から最初の旅を終えて、目的地へと到着出来たとき、ツバメは平均的な大人の仲間入りを果たすのです。
そして、次に年の夏になると、南の地方から、自分が生まれた日本へとかえってくるのです。
クジャク 白取 希望
どうぶつえんやこうえんにいくと、めだつみどりいろの羽をしたとりがいます。
おすのくじゃくです。
おすのくじゃくのはねはなんのためにあり、どのように変化するのでしょうか。
三月から七月のあいだ、くじゃくのおすは、みどりの大きなはねをひろげます。
おすのはねを、かざりばねといいます。おすからめすへのしんごうです。
おすはめすをみつけると、かざりばねを広げて、ぶるぶるふるわせます。
そしてめすとけっこんします。
めすはあなをほってつくられたすに、三個から八個のたまごをうみます。
めすがたまごをうむじきがおわると、おすのはねは、ぬけていきます。
はねがぬけてしまったおすは、はねをひろげようとしなくなります。
そのまま、三か月のあいだすごします。
十月になると、またはねがはえはじめます。
はえはじめて三か月後、ようやくはねがはえそろいます。
そして、おすはまた、めすにむけてはねをひろげるのです。
どうぶつえんやこうえんではねをひろげているくじゃくのおすも、このようにしてすごしているのです。
カエルになるまで 向山 春華
カエルは田んぼなどの水辺にすむ生き物です。
一体、カエルはどのようにして、私たちが知っている姿になるのでしょう?
田んぼに水が張られる時期になると、親のカエルは一斉に卵を産みます。
カエルの卵は水の深さが、深すぎても浅すぎても孵化することが出来ないので、親カエルは卵がきちんとかえる場所を選んでいます。
卵からかえると、オタマジャクシと呼ばれるカエルの赤ちゃんは自分の口と歯で食べ物を食べ始めます。体は円く、手や足はありません。その代り固いしっぽを持っています。
立派なオタマジャクシになって、上手に水の中を泳げるようになってくると、後ろあしが生えてきます。後ろ脚が出てくると、少しずつしっぽは短くなっていきます。
後ろあしがはえてしばらくすると。今度は前あしがはえてきます。
オタマジャクシの前あしは、自分の皮をつきやぶるようにしてはえてきます。
そして同時に、このころから、陸でも生きていけるように肺の機能が作られていきます。
手と足ができると、オタマジャクシのしっぽがなくなります。
しっぽが完全になくなるころには、オタマジャクシの肺の機能が完成し、陸上でも生きられるようになります。
それまで水の中で暮らしていたオタマジャクシが、陸でも生きられるようになると、オタマジャクシはカエルとして生き始めるのです。
野原 寺井 美樹
野原には、たくさんの花と昆虫たちが暮らしています。互いに役に立つようにかかわりあって暮らしている者がいます。
かわいらしいお花があります。菜の花です。菜の花には甘い蜜があります。
そのみつを吸いに来るのはミツバチです。
ミツバチはいろんな花の蜜を吸って栄養を蓄え、巣に持って帰ります。
花の中心部分には、たくさんの花粉が付いています。ミツバチが蜜を吸っている間に、ミツバチに花粉をつけます。
ミツバチはいろんな花に飛び回って蜜を吸うので、ミツバチについた花粉が、ほかの花につき、花同士の受粉ができます。
花は、土から養分を得ています。土が、栄養をたくさん持っています。
ミツバチの糞は、土の栄養になります。
このように、野原の中で、互いに生き物たちが、さまざまにかかわり合って暮らしています。
植物と動物と人 乾 美咲
私たちが住んでいる世界には、たくさんの植物や人や動物がすんでいます。
それらの中には、たがいに、やくに立つようにかかわり合って、くらしているものがいます。
どんな植物や人や動物が、どんなかかわり合いをしているのでしょうか。
身の回りを見渡してみましょう。
ペットの犬の散歩をしている人がいますね。
犬も人も楽しそうです。
犬は散歩に行くことで、家にいるだけでは経験できない色々な経験ができます。
そうすることで五感が刺激され、そうすることで脳の働きが活性化されるので、認知症予防にも役立ちます。
人も、ペットの散歩に行くことで、運動不足の解消にもつながります。
その運動不足の解消が生活習慣病の予防にもつながるのです。
こうして、人とペットは共に生きることで、たがいの将来を守り合っているのです。
みなさんの過ごしている世界には、きれいな花もあります。
その花はやってくるミツバチに、彼らにとっての食料であるみつを与えます。
それに対して、ミツバチはその花にある花粉をもち、べつの花のめしべに受粉させます。
そうすることで、花は自分の子孫を残すことが出来ます。
このように、私たちが住んでいる世界では、たくさんの生きものたちが、さまざまにかかわり合ってくらしています。
アリとアブラムシ 高木 秀
自然にはたくさんの生き物がいます。
それらの中には、たがいに、やくに立つようにかかわり合って、くらしているものがいます。
どんな生きものたちが、どんなかかわり合いをしているのでしょうか。
草むらの中をのぞいてみましょう。
アブラムシがバラの花にくっついていますね。
アブラムシはバラなどの枝について、みつをすいます。
そのすったみつはおしりから出るしるに変わってアリにあたえられます。
アリはアブラムシからエサをもらっています。
しかし、アリはアブラムシに対して何かお礼をしているのでしょうか。
実は、アリがエサをもらっている間、アブラムシをてきからまもっているのです。
テントウムシはアブラムシをエサにしています。
しかし、テントウムシがアブラムシを食べようとする時、アリがテントウムシをこうげきします。
このように、アリとアブラムシは互いに助け合って生きています。
ほかにもしぜんの中にはかかわり合っているいきものがたくさんいます。
1日の過ごし方 野口 慎太朗
野球せん手は、とてもいそがしいお仕事です。
どんな1日をすごしているのでしょうか。
夜に試合があるせん手の1日を見てみましょう。
まず、朝は10時くらいに起きます。
前の日も試合で、寝るのがおそいので起きるのも少しおそくなります。
起きると、朝ごはんを食べたりして過ごします。
昼になると、だいたい12時くらいに家を出て球場に向かいます。
試合は夜でも、試合の前に練習があるので少し早めに出ます。
球場に着くと、取材を受けたり練習をしたりして試合に備えます。
夜になると、いよいよ試合です.18時に始まりますが終わる時間は日によって違います。
試合が終わると、家に帰ります.明日も試合です.0時や1時にねて疲れをとります。
セミの一生 前薗 栞
セミは夏の虫です。
夏になると木にとまり、力いっぱい鳴いているあのセミはどのようにして育つのでしょうか。
セミの卵はわずか2ミリほど。
夏の間に産みつけられた卵はそのまま冬をこえ、次の年の6月にふ化します。
ふ化した幼虫は土の中で脱皮を繰り返します。
その期間はなんと7年。
土の中での長い期間を経て、地上に出た幼虫は木の枝などで羽化し、成虫になります。
成虫になったセミの寿命はわずか1〜2週間。
セミは成虫の期間より、幼虫の期間がとても長いのです。
そうして短い成虫の期間に新たに卵を産み、子孫を残します。
サクラソウとハチ 井上 陽太
広いのはらの中ではいろんな生きものが暮らしています。それらの中には、たがいに、やくに立つようにかかわり合って、くらしているものがいます。
どんな生きものたちが、どんなかかわり合いをしているのでしょうか。のはらをのぞいてみましょう。
ここはサクラソウのはなばたけですね。サクラソウの花が風にゆれています。その花の周りをとぶ黄色い昆虫が目に入ります。ハチです。サクラソウは子孫を残すために受粉をしなければなりません。しかしサクラソウは自力で受粉をすることが出来ません。そこで活躍するのがハチです。ハチが花から花へ飛び回ることで、サクラソウは受粉することが出来るのです。しかしハチもただでこの仕事をしているのではありません。サクラソウからおいしい花のみつをもらっています。サクラソウとハチは互いに助け合って生きているのです。
このように、のはらでは生き物たちがさまざまにかかわりあって暮らしています。
アゲハチョウの一生 堀井 珠希
たとえば今、あなたの目の前に生まれたての子どもがいるとして、その子は平均してあと何年生きられるでしょうか。
その子が日本人の男の子なら80歳ぐらい、女の子は87歳ぐらいだそうです。
それに対し、私たちが春や秋に見るアゲハチョウが生きられるのはおおよそ50日と言われています。
人とくらべてあまりにも短すぎるアゲハチョウはどのように生きているのでしょうか。その一生をみていきましょう。
まず、アゲハチョウはあの美しいチョウの形になる前に幼虫として生活します。卵からかえった幼虫はたくさんの葉を食べて何度も何度も脱皮を繰り返します。
ここまでで生まれてから25日ほどたっています。
たくさん食べてたくさん脱皮した幼虫はやがてさなぎになります。さなぎとなった幼虫はその中でおおよそ12日間を過ごします。チョウになる準備です。
さなぎで十分な準備をした幼虫たちは、ようやっとチョウとなってさなぎから出てきます。このことを羽化といいます。
アゲハチョウは、その美しい羽をめいいっぱいに広げて、何回か開いたり閉じたりした後ふと大空へ飛んでいきます。
たくさんの期間を使って美しいチョウとなりましたが、羽化してから死ぬまでの寿命はたった2週間程度です。
チョウとなって死ぬまでの2週間の間にオスとメスが出会って、1mmぐらいの大きさの卵をうみます。この卵はまた幼虫となってチョウになる準備をしていきます。
こうして最後にアゲハチョウたちは次の世代へとバトンを渡し、死んでいきます。
花火のようにはかなく、しかしそれでいて力強く美しい生涯をおくったアゲハチョウはその一生を閉じるのです。