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小学校4年生向け説明文の創作 2017年度版

 2017年度の国語学講義では小学校の国語の物語文教材・説明文教材の構造を分析しています。同時にその構造を使って教材を創作しています。
 4年生の説明文教材ができたので、公開します。

目次
えんぴつとボールペン白取 希望
高木 秀
バリアフリー高田 陽介
「調理の仕方」田上 小帆里
ホッキョクグマ寺井 美樹
野口 慎太朗
向山 春華
野球のグローブ上田 大貴
写真と動画生越 真理
改訂版『すずめ』加茂 千尋
SNS ソーシャルネットワークサービス高窪 祐太
コンビニ西村 聡太朗

えんぴつとボールペン    白取 希望


 学校の授業の風景です。先生が黒板にかいたことを、こどもたちがノートに書き写しています。黒いペンを使って表をつくっています。つづいてみんなでグループになり、意見交換が始まりました。子どもたちは友だちの意見を聞きながら、一生懸命にメモを取っています。はじめの場面の時に使われていたのが、ボールペンです。次の場面で使われていたのがえんぴつです。ボールペンとえんぴつではどんな違いがあるのでしょう。

 ボールペンで書いた表を見てみましょう。定規できれいにまっすぐ引かれた線のなかは、えんぴつでかきこまれています。間違ったと気づいた子が消ゴムで消しました。中の数字は消えましたが、きれいに書けた表は、消えずに残るのです。
 しかし、このときなかまでボールペンで書いていたらどうでしょう、消すことができず、間違いを直すことができません。

 話し合いのノートを見てみましょう。こどもたちが、人の話を聞きながら、縦横無尽にメモを書いています。途中で間違ったら、消して、また続きを書いています。えんぴつで書くと、何度でも書き直しができます。しかし、えんぴつは消えてほしくないのに消えてしまうこともあります。
 このように、えんぴつとボールペンには、できることと、できないことがあるのです。そのため、学校ではふつう、えんぴつとボールペンを用意して、いろいろな活動で使い分けます。
 また、今ではえんぴつとボールペンのいいところを取り入れたものも売られています。ボールペンとして書いても消せるもの、一定の時間はえんぴつのように消すことができるがそのあとはボールペンのように消えなくなるもの、などがあります。しかし、このように新しい技術によって発明された両方の長所を持ち合わせた道具も、役所など公式な場所では使えないこともあります。

 このように、人間は書いたものを残したい時と、さまざまに書き換えたりしたいときとでボールペンとえんぴつとを使い分けているのです。

薬    高木 秀

 みなさんは薬をどのような時に使っていますか。薬には様々な種類があり使われる場面も様々です。薬は種類によってどんな人が使うのか。またどのような効果があるのでしょうか。

 薬の入った箱を見てみましょう。色々な薬がありますね。

 かぜ薬について考えてみましょう。かぜ薬は主に熱やせき、鼻水の出ている人が使います。かぜ薬を飲み始めて二、三日すると熱は下がり、せきや鼻水も出なくなります。
 次にきず薬について考えてみましょう。きず薬は転んで手や足を擦りむいた人が使います。きず薬には殺きん効果があり、きず口についているばい菌をなくしてくれます。これにより、きずが悪化することもありません。そして、きずが早く治ります。
 最後に注しゃ剤について考えてみましょう。注しゃ剤は主にインフルエンザなどの予防せっしゅを受けに来た人に使われます。インフルエンザの予防せっしゅの場合、注しゃ剤を打つことで体の中にインフルエンザ菌の抗体を作ります。抗体を作ることで体のめんえき力を高めインフルエンザ菌が体内に入ってきても負けないのでインフルエンザにかかりにくくなります。
 このように、薬は人のしょう状にあわせて種類が様々あり、また効果も様々であると言えるでしょう。

バリアフリー    高田 陽介

 みなさんは暮らしの中で、音を鳴らすことのできる信号機や、車いすに対応したエレベーターなどに遭遇したことはありませんか。これらはバリアフリーと呼ばれ、人々の暮らしをよくしてくれるためのものです。では、バリアフリーとはどういうものか考えてみましよう。
 バリアフリーとは「社会的弱者のために物理的、心理的な障がいを取り除くことです。」では、それは本当に役立っているのでしょうか。
私たちの身の回りを見渡してみましょう。バリアフリーの代表例には点字ブロックがあります。これは目の見えない人のために設置されているもので、これがあるおかげで目の見えない人たちも健常者と同じように情報を得ることができます。ほかにはスロープも足の悪くて階段を上れない人にとっては貴重なバリアフリーです。
 しかし、このように一見人々の役に立っていると思われているバリアフリーですが、思わぬところでほかの人にとってはバリアになっていることがあります。
 点字ブロックは簡単に言えば凸凹を作ってそれを探ることで目の見えない人たちが情報を得るものです。けれど、その点字ブロックの仕組みが足の悪い人たちにとってはバリアになっているのです。地面に置いてある点字をイメージしてみてください。あのように地面に凸凹ができてしまうと、足の悪い人にとっては通常よりも歩きにくい環境になってしまうのです。
 同じようにスロープは一見階段を上るのがきつい人にとっては貴重なバリアフリーですが、傾斜がきつすぎて車いすの人にとっては非常に上りにくいスロープが世の中にはたくさんあります。
 このようにバリアフリーといってもまだまだ問題点があります。私たちは障がい者にとっても健常者にとっても住みやすいような環境づくりを心がけなければなりません。こういった問題点を放置せず、一つずつ改善していくことにこそ本当に住みやすい環境が作り出せるのではないでしょうか。

「調理の仕方」    田上 小帆里


 みなさんはゆで卵や卵焼きを食べたことはありますか? ゆで卵は、卵を水の中に入れて熱を通す「ゆでる」という調理法で調理したものです。一方、卵焼きは、卵に直接火を通して「焼く」という調理法で調理したものです。このように、食材の調理法には、様々なものがあります。今回は特に、その中でも水を使って熱を通す「ゆでる・煮る」という方法と、直接食材に火を通す「焼く」という方法に注目してみましょう。これらは一体どのような調理法なのでしょうか。

 では、「ゆでる・煮る」といった水を使った調理法について見てみましょう。これらの調理法は、調味料で味付けをし煮れば、中まで味を染みこませることができます。また、「蒸す」という方法は、水溶性のビタミンなどを多く含む野菜の栄養素を閉じ込めることができる調理法です。しかし、これらの水を使った調理法は、調理に時間がかかるうえに、温度の調節や時間の調節が難しいです。食材が型崩れを起こすこともあります。卵を例に見てみましょう。ゆで卵は、殻をつけたまま水に入れて熱を通すので、栄養素が外に逃げにくいです。しかし、半熟にするには火加減とゆでる時間の調節が大変困難です。

 次に、「焼く」という水を使わず直接食材に熱を通す調理法について見てみましょう。この調理法は、食材の型崩れが起こりにくく、食材の触感が良くなる調理法です。肉や魚など、熱に強い栄養素を多く含む食材の調理法に適しています。また、調理にかかる時間が短縮できます。しかし、火の通りにくい根菜などの食材をこの方法で調理しようとすると、表面が焦げたりや、食材に柔らかい感触を求めている場合などは得られないことがあります。卵を例に見ると、卵焼きは比較的短時間で調理できますが、焦げてしまったり、ゆで卵よりは栄養素が外に逃げてしまったりします。

 このように、「ゆでる・煮る」や「焼く」といった調理法は、それぞれ適する食材と適さない食材があります。だから私たちは、きちんと栄養素を摂取できるように、食べる食材に応じてそれぞれ合った調理法を行うことが大切なのです。

ホッキョクグマ    寺井 美樹

 北極といえば、ホッキョクグマが氷の上に住んでいるイメージがあります。
 今ホッキョクグマは、22000匹が地球上で暮らしています。
 私もテレビで見ていて、分厚い氷の上にたくさんのホッキョクグマが暮らしていると感じていました。

 それが近年、小さな氷の島を移動するホッキョクグマをテレビでもよく見るようになりました。
 いま地球上では温暖化が進んでいます。
 その結果、北極の氷もたくさん解けているのです。
 北極の氷が溶けることにより、ホッキョクグマの住む場所が減っているのです。

 住む場所が減るとホッキョクグマが狩りをする場所も限られてしまいました。
 もともとホッキョクグマのいる北極には氷があふれ、たくさんのホッキョクグマが、氷の上の広い範囲から狩りをしていました。
それが温暖化の影響で、住む場所も狩りができる場所も減少してしまっているのです。

 ホッキョクグマ数の減少の原因の一つは、人間が北極に探検隊をたくさん送り込んだことも考えられます。
 人間が氷の上で生活するようになり、ホッキョクグマが人間のいないところに逃げているのです。
 どちらの原因も人間の活動が作り出しています。それによって自然が変化しているのです。ホッキョクグマの変化は私たちが実際に見ることはできませんが、テレビや新聞を通してみることができます。
 人間活動が大きな変化を起こしているのです。

村    野口 慎太朗

 みなさんは「村」を知っていますか。社会の時間で聞いたことがある人が多いと思います。それでは、質問を変えましょう。みなさんは「村」に行ったことがありますか。田舎のおばあちゃんの家があるなどで行ったことがある人がいるかもしれません。しかし、ほとんどの人は行ったことがないのではないでしょうか。昔はあった「村」は今、姿を消していく一方です。何が原因で消えて行っているのでしょうか。
 まず、一つ目の原因として少子高齢社会が挙げられます。「村」という名前がつけられるのは地方に多く、若い人たちは進学や就職で都会に出て行きます。すると、お年寄りの人たちだけがその「村」に残ります。すると徐々に人口が減っていき、やがてそこに住む人がいなくなります。そうなると「廃村」と呼ばれ、「村」は消えてしまうことになります。
 もう一つの原因は、市町村合併です。いくつかの「村」や「町」をくっつけて、新しく大きな「市」を作ることをいいます。先ほど言った少子高齢社会やその街のお金の問題などを解消するために、合併を行うのでデメリットばかりではありません。しかし、今まで「〇〇村」と名乗っていた「村」は、「△△市〇〇町」となるのが一般的で、「村」の名前が残るのは滅多にありません。こうして「村」は消えていくのです。
 このような理由があり、「村」は消えていっているのです。将来のことを考えると、今後「村」はもっと消えていくでしょう。それはある程度仕方のないことかもしれません。しかし、ただ黙って消えていくのを見ていていいのでしょうか。その地域の文化を資料で残すなど、我々にできることは意外とあるかもしれません。

星    向山 春華


 みなさんは最近、夜空を見上げたことはありますか? 夜空には星がキラキラと輝いている、そんなイメージがあるのではないでしょうか。私は小さいときには、夜になるとお母さんと一緒に星の観察をしていたこともありました。しかし、最近、夜空を見上げてもあまりはっきりと星を見ることができません。
 どうして星は見えにくくなってしまったのでしょう?

 ひとつの理由として空気の汚染というものが考えられます。車や工場など、人間が生活の中で出しているガスや煙が、空気を濁してしまい、空をかすませているのです。
 それ以外に大きな原因があります。それは、ネオンなどの光です。今、私たちの周りにはコンビニや街灯・看板など夜でも強い光をはなつものが多くあります。夜はまっくらではなくなったのです。星の光は、私たち人間が作った人工的な光によって見えにくくなっているのです。

 私たち人間の作り出した様々なものが夜空の星にも少なからず影響しているのです。

野球のグローブ    上田 大貴

 野球には様々な道具が使われています。バットやボール、そして守備につく人全員が持っているグローブがあります。そのグローブはポジションごとにより守りやすいように生み出されたもので、それぞれ特徴があります。

 たとえば、ピッチャーはランナーからボールの握りが見えないように、ウェブのところが覆われている形になっています。ウェブとは、グローブの網の部分のことです。
 そしてキャッチャーやファーストは捕ることに比重がかけられた大きく分厚い形です。 それ以外の内野手は、小さく浅い形のグローブを使います。ランナーをアウトにするために、捕ってからの早さが求められているからです。
 それに対して外野手は捕球の安定性や、守備範囲が広いことから、比較的長く深いグローブを使います。

 このように、ポジションによって求められることが違うため、グローブも様々な形へと変化を遂げてきたのです。
 野球を知らない人にとっては、同じように見えるグローブですが、それぞれ形に特徴があり、全く性質異なるものです。プロ野球などを見る際、選手が使うグローブに注目して見るのも面白いかもしれません。

写真と動画    生越 真理


 私達は時間を戻すことはできません。ただ、ある方法を使うことで時間を切り取り保存することはできます。その方法にには、写真と動画があります。写真は、静止画の形で一瞬を記録するものです。動画は、ある程度の時間を音声と共に記録するものです。

 写真は現像をすることで気軽に人に配ることができます。また、鑑賞に機械を使わないので、いつでも見たい時に見ることができるという利点があります。しかし、写真で記録できるのは、ある一瞬の景色だけです。長い時間を記録することはできませんし、その時話していた内容も記録することはできません。
 それに対して動画は、一定の時間を残すことができます。また動きや音声も同時に記録できるので、思い出をより当時に近い形で残せます。しかし、動画は写真に比べて大きなデータであるため、たくさん保存することが困難です。また、鑑賞の際にはパソコンやテレビなどの機械が必要になる場合があります。

 最近は、スマートフォンの普及により、写真も動画もスマートフォンで撮ったり見たりできるようになりました。両者の使い分けが気軽にできるようになった今だからこそ、どちらの方法をとればよりよく思い出を残すことができるのかを考えて、写真と動画を使い分けてみてください。

改訂版『すずめ』    加茂 千尋

 人間の身近にいる鳥として有名なのはすずめでしょう。昔話にも登場するほど、わたしたちの生活になじみ深い鳥です。見たことはありますね。今、日本には1800万羽ほどのすずめがいることが、わかっています。ですがこの数は50年前に比べて10分の1ともいわれています。どうしてこんなに数が減っているのでしょうか。

 すずめは、人里を好む鳥です。雑食の鳥ですが、主に米のもみを食べます。ですから農家の人たちにとってはめいわくかもしれません。しかし春には害虫を食べたり、雑草の種を食べたりするので、もちつもたれずの関係を築いてきました。
 ところが、近年稲の収穫にはコンバインが使われ、もみが落ちることが少なくなりました。また、田んぼの数がそもそも減っていることも餌不足の原因です。
 他にすみかの問題もあります。昔は木造住宅のすきまや瓦屋根に巣を作っていましたが、マンションやコンクリート製の住宅が増えたことで、巣をつくる環境が少なくなっているのです。

 ほかにも地球温暖化の影響や伝染病など、さまざまな原因が推測されていますが、何にせよ人里を好む鳥が人里から消えたことは、環境の変化があったことにちがいありません。人間の生活の変化が人里を変え、人里の変化がすずめの生活を変化させているのです。

SNS ソーシャルネットワークサービス    高窪 祐太

 今や私たちの生活の一部となっているSNSには、さまざまな投稿があります。お昼ごはんを載せたり、友達と遊んだ様子を載せたりされています。
 載せ方にも、写真で載せる場合とムービーで載せる場合があります。それぞれどのような違いがあるでしょうか。

 写真の場合、投稿した人が一番伝えたい場面が一目でわかるという点があります。また写真は静止画なので、より細かなところまで見ることができます。
 しかし、静止画であるがゆえに時間軸のある多くの情報が伝えにくいという問題があります。また、動きのあるものを伝えることには向いていません。
 それに対して、ムービーはどうでしょう。ムービーは、多くの情報をより臨場感をもって伝えることができます。その場の空気を味わうことができるのです。
 ですが、動画であるがゆえに風景などを撮るときには、ムービーだとぶれてしまって細かなところまで見ることができないことがあります。

 このように、写真とムービーにはそれぞれ利点と弱点があります。それを考慮してインターネットニュースでも、写真を使うときとムービーを使うときがあります。
 SNSにせよインターネットニュースにせよ、自分が伝えたい内容に応じて写真とムービーは使い分けられているのです。

コンビニ    西村 聡太朗

 何か食べたいと思ったとき、あなたはどこで買い物をしますか。コンビニに買いに行く人もいれば、スーパーに買い物に行く人もいると思います。コンビニとスーパーはどう違うのでしょうか。

 コンビニと呼ばれている店の正式名称は、コンビニエンスストアといいます。「便利な店」という意味です。その名前の通り、コンビニは24時間あいていて、色んなところにあります。売っている品物もパンやおにぎり、お菓子、ジュースなどの飲食物だけではありません。生活で使う、ティッシュペーパーやマスクや、シャツや靴下まで売っています。しかし、定価で売っていることがほとんどです。24時間人が働いていて、品数が充実している代わりに、値下げをすることがあまりないです。賞味期限や消費期限が近付いても、値下げをして売るのではなく、定価のまま売ります。売れ残ったものは捨ててしまいます。
 スーパーと呼ばれている店の正式名称は、スーパーマーケットといいます。「伝統的な市場というものを超えた店」という意味があります。スーパーにはコンビニよりも多くの飲食物があります。特に、生鮮食品、生の肉や魚や野菜などはコンビニよりも多くのものがあります。コンビニと同じように、生活で使うティッシュペーパーやマスクなども売っていることがあります。コンビニよりも売っているものの種類や量が多いです。賞味期限などがあるものは、売れ残りそうになると値下げなどをします。捨ててしまう量を減らすためです。
 しかし、コンビニのように24時間あいている店ばかりではありません。深夜は閉まっていることがあります。また、いろいろなところにあるわけではないです。駅やマンションの近くのように人の多く集まる場所や、郊外に1つあるだけであることが多いです。

 このように、スーパーとコンビニにはいろいろな特徴があります。まだ、ここでは見つけられていないこともあると思います。どんな特徴があるのか、自分の目的にあっているのかということを考えて、買い物をしてみましょう。
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