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のなみの俳句 2003

電子俳句 より

2003/02/15終鈴の受験生の頬の白さかな
2003/02/16外れ玉の闇に猫の目光りたり
2003/02/17土はねて躍り上がるやハサミムシ
2003/02/18早朝のプラットホーム出汁香る
2003/02/19凶の意味考えている寒烏
2003/02/20灯を写す寒の川面に鷺眠る
2003/02/21遠山をけものの如き雲の影
2003/02/22鳥鍋や三寒四温の寒の夜
2003/02/23いかなごの釘煮の香り路地に満つ
2003/02/24眉の濃き店員インドカレー店
2003/02/25雲切れて受験の下見の親子連れ
2003/02/26丑三のテレビの軋み二月尽
2003/02/27春近き大教猫のあくびかな
2003/02/28スキーより帰りし吾子の頬赤し
2003/03/01枯椿撃たれたボスの高笑い
2003/03/02つやつやと春雨流す幹の肌
2003/03/03ぼんやりと緑が浮かぶ柳かな
2003/03/04断水や六甲山に雲かかる
2003/03/05腹黒い甘さ隠すや桜餅
2003/03/06編隊の練習続く鴨の群
2003/03/07三年の婚期の遅れ雛仕舞う
2003/03/08室内に干したるシャツの等間隔
2003/03/09春の雪積善の家に余慶あり
2003/03/10シラバスのアイデア浮かぶ仕舞風呂
2003/03/11作れない日もままあるさ寒戻り
2003/03/12散り散りに車窓をよぎる終い雪
2003/03/13残月や後期試験は終わりけり
2003/03/14冬越しの蕾に緑現れて
2003/03/15前足を揃えて餌をねだる猫
2003/03/16花を待つ六甲山は霧の中
2003/03/17ブランコが少し動いた雨の午後
2003/03/18窓少し開けている夜春間近
2003/03/19公園の子らの歓声暮遅し
2003/03/20ベランダの手すりの隅の鳩の糞
2003/03/21野良猫に餌撒く人や開戦日
2003/03/22春の陽や足指の間に湿りあり
2003/03/23沈丁花合否会議の五分前
2003/03/24卒業式追いかけてくるピアノの音
2003/03/25わくわくの合格発表山朧
2003/03/26前髪を上げてにっこり卒業式
2003/03/27猫の恋皿に余りし柿の種
2003/03/28まだ咲かぬ桜並木の紅さかな
2003/03/29顔洗う手に受ける水暖かし
2003/03/30春の月ハムスターの耳爛れおり
2003/03/31咲き揃う辛夷の白さ牧師館
2003/04/01ハムスターの命の値段山笑う
2003/04/02豆腐屋の如き早起き四月馬鹿
2003/04/03あれとこれ負の相関なり雪柳
2003/04/04TFL惜しむ心の人の数
2003/04/05川沿いの桜描く人並びいて
2003/04/06夕暮れに散りたる花のほの白し
2003/04/07老木も若木もともに花の宴
2003/04/08紙風船しぼんでおりぬ雨の部屋
2003/04/09吾子の弾く大円舞曲春の雨
2003/04/10大きめの制服中学一年生
2003/04/11保護者らの拍手の長さ離任式
2003/04/12安売りの苺の香り『羅生門』
2003/04/13『山月記』大教猫のねだり声
2003/04/14しがみつく花ちらほらと投票日
2003/04/15黒猫に桜吹雪が残りけり
2003/04/16白墨の粉の香りや新学期
2003/04/17出勤の人々の目に花筏
2003/04/18ぼんやりと開く弁当豆ご飯
2003/04/19バーベキュー新入生らの熱気満つ
2003/04/20散り落ちた花びら叩くにわか雨
2003/04/21新入生リンゴの花のほの赤き
2003/04/22ほの紅き都踊りのヨーイヤナァ
2003/04/23それなりの中継ぎ投手花水木
2003/04/24大雨にどうするつもり雀の巣
2003/04/25夜霧よ今夜の夜景は芦屋だけ
2003/04/26山若葉車椅子こぐ人の数
2003/04/27昼下がり人の声せぬ躑躅園
2003/04/28焼酎をホッピーで割る春の宵
2003/04/29もぞもぞと何か動ける夏近し
2003/04/30柏餅光を返す白き肌
2003/05/01飛び出した白桃赤のサツキかな
2003/05/02電柱の烏こっそり鵜を見てる
2003/05/03快晴や白煙上げる煙突群
2003/05/04すぐそこに傾いている飛行船
2003/05/05風光る空中静止フリスビー
2003/05/06ほの紅くふくらみかけた林檎かな
2003/05/07帰路遙かきらと光りぬ夜の雨
2003/05/08卒論を流してええんか夏浅し
2003/05/09キャンパスをそろそろと行く子猫かな
2003/05/10子の熱が水羊羹を溶かしおり
2003/05/11雨粒の波紋をくぐる燕かな
2003/05/12薄暗き雨の図書館人疎ら
2003/05/13風光る着眼点はありやなしや
2003/05/14真摯な目オフィスアワーに光りたり
2003/05/15横風に吹き飛ばされたるサクランボ
2003/05/16ハムスター右足伸ばして死んでおり
2003/05/17夏浅し百マス計算繰り返す
2003/05/18雨雲をカッターナイフで分断す
2003/05/19老人の手のしわ林檎の袋かけ
2003/05/20見飽きてもなおそこにある夜景かな
2003/05/21若桜茂る青葉の重さかな
2003/05/22桐の花薄紫に俯いて
2003/05/23黒猫の兄弟の目みな薄緑
2003/05/24すはま団子八つ橋おたべ五色豆
2003/05/25半袖と半ズボンにて本を読む
2003/05/26麦の秋実習生の顔の汗
2003/05/27降り続く冷たき雨や五月尽
2003/05/28門番に挨拶をする子猫かな
2003/05/29子鼠が回す車の止まりがち
2003/05/30帰路遙かシグマリオン3手に持って
2003/05/31子鼠を持って尿さる五月尽
2003/06/01子の熱はやけに素直にさせおりぬ
2003/06/02山帽子それはそれでの花ならん
2003/06/03青空に腕挙げてみる衣替え
2003/06/04我が儘を少しずつ出す微熱の子
2003/06/05山の樹の音で知らるる夏の風
2003/06/06着布団を替えて広がる夏の夢
2003/06/07泡光る氷を入れた麦茶かな
2003/06/08緑陰から出発進行新幹線
2003/06/09広島の市電を写す何枚も
2003/06/10旅の後ほっとしたまま日が暮れぬ
2003/06/11折り畳み開いて閉じて雨の街
2003/06/12紫陽花や実習生の手の動き
2003/06/13刃向かいし大きな蜂を踏み潰す
2003/06/14入梅やタバコの煙低く伸び
2003/06/15初めてのお使いにある健気かな
2003/06/16入梅や今日で娘は14歳
2003/06/17子鼠の瞳に写る蛍光灯
2003/06/18木の香り小雨とともに振る夜道
2003/06/19積み上げし必勝達磨の目の白さ
2003/06/20台風や子猫の胸のアドレナリン
2003/06/21紫陽花はずるいよ色を変えている
2003/06/22傘さして俯いている梅雨の街
2003/06/23木漏れ日は地中の蝉の夢の中
2003/06/24雨の町江戸の町並み浮かびけり
2003/06/25つま先を2センチあげて歩く梅雨
2003/06/26子猫らがキャットフードを嗅いでいる
2003/06/27いろいろに迷惑をかけ死んでいく
2003/06/28帰り道猫をかまいて遅れけり
2003/06/29プール開き光の中を昇る泡
2003/06/30高層の明かりいくつか夏の夜
2003/07/01子の寝相蛙の如し風涼し
2003/07/02蔦の面壁から5センチ浮いている
2003/07/03それぞれの場所で見ている遠花火
2003/07/04ゆるゆると自転車をこぐ濡れ鼠
2003/07/05曇天に吸い込まれていくコンチキチン
2003/07/06それなりの勢いで飛ぶ水たまり
2003/07/07湯気の中卵カステラ降りしきる
2003/07/08夜店の灯映して鈍き虫の甲
2003/07/09帰路僅か頭を柳に撫でられる
2003/07/10楼上の風鐸夕陽の中華店
2003/07/11幾度も花丸見せる夏の宵
2003/07/12母と娘と雲指さして立葵
2003/07/13梅雨晴れや位牌を抱いた地鎮祭
2003/07/14句ができぬ理由は雨のせいにする
2003/07/15ベランダの蝉を雨中に投げてやる
2003/07/16足下に腹ぺこ子猫が鳴いており
2003/07/17丸虫の前でビーダマとまりけり
2003/07/18マネキンのつるつる顔のサングラス
2003/07/19終業式子等の手にあり夏の雲
2003/07/20祇園祭ラップ混じりの巫女の舞
2003/07/21山の上で高校生達を待っていた
2003/07/22焼酎とグレープフルーツと炭酸と
2003/07/23バターの香鶴橋駅に満ちており
2003/07/24雨を知る道を行く傘見下ろして
2003/07/25重なりてノイズの如き蝉の声
2003/07/26轟音のヘリコプターの腹の赤
2003/07/27漁師町の盆踊り歌やや静か
2003/07/28しがみついてここにいるぞと蝉が鳴く
2003/07/29子どもらがそこここで振る捕虫網
2003/07/30黒犬のごとき雨雲近づきぬ
2003/07/31傘持たぬ天気予報を疑いて
2003/08/01午後一の会議に広がる欠伸の輪
2003/08/02公開講座俳句で遊ぶ夏の朝
2003/08/03落ち蝉の羽根バタバタで終わりけり
2003/08/04ざわめくは俯角八十度の花火かな
2003/08/05糖尿病と言われて見上げる入道雲
2003/08/06入道雲卒業生に熱気あり
2003/08/07三匹でしの字ヌの字のミミズかな
2003/08/08台風にミッキーマウス手を振って
2003/08/09あどけなきアウシュビッツか蝉の籠
2003/08/10台風に椰子の木八本撓められ
2003/08/11蝉の声何もしない日過ぎていく
2003/08/12クーラー代ほとんどかからぬ冷夏かな
2003/08/13電子メール使わぬ人に葉書書く
2003/08/14工作の宿題スーパー万華鏡
2003/08/15タクシーが行き航跡はすぐ消えた
2003/08/16停電や地面につける掌
2003/08/17宿題の山崩していく残暑かな
2003/08/18漣が止んでイモリの五六匹
2003/08/19晴天や枯紫陽花の影深く
2003/08/20袋かけぬ林檎の赤さ重さかな
2003/08/21葉の上にアカシヤの豆膨らみぬ
2003/08/22炎天を見上げることなく歩きけり
2003/08/23水球に世を写しおり苔の花
2003/08/24食卓に三日続きの南瓜かな
2003/08/25氷解けた上澄みを飲む冷コーヒー
2003/08/26ロウソクは危ないからね地蔵盆
2003/08/27落ち蝉の時折緩く羽根動く
2003/08/28落ち蝉の腹を露わに鳴きいたり
2003/08/29初サンマ骨だけにして自慢する
2003/08/30恋終えた飛び込み台の赤とんぼ
2003/08/31雷鳴や残り一日夏休み
2003/09/01公園の花壇に並ぶ蝉の墓
2003/09/02子供らが早く出ていく休暇明け
2003/09/03無花果を裂く病室の白さかな
2003/09/04和歌山の町の灯揺れて秋の海
2003/09/05椎の実の触れなば落ちん風情かな
2003/09/06浅き川持ちあげている鯔の群
2003/09/07ミーンミンミンと八回鳴いて一休み
2003/09/08クーラーの部屋の奥まで西日射す
2003/09/09月を見てPDAに俳句書く
2003/09/10雷が光るラピュタの如き雲
2003/09/11蛇の子を押さえつけてる猫の脚
2003/09/12秋冷や窓から入る東風
2003/09/13秋時雨通勤列車が追い越して
2003/09/14千円の松茸ご飯を嗅いでいる
2003/09/15東南の空に赤星遠ざかり
2003/09/16赤星のヒットで阪神優勝し
2003/09/17初秋や線路の上の揚羽蝶
2003/09/18天高し倒立練習続きたる
2003/09/19鯵刺しがあと三メートルで銛に成り
2003/09/20猫の眼の俯きがちや秋の暮れ
2003/09/21秋雨や冷たきズボン脱ぎにけり
2003/09/22掛布団やはり脱いでる秋浅し
2003/09/23水割りは少し寒いぞ秋浅し
2003/09/24赤とんぼもう秋なのかと首傾げ
2003/09/25煽られて枝がへの字に秋柳
2003/09/26キャンパスの踏まれず伸びた草の数
2003/09/27返却日過ぎている本天高し
2003/09/28三度目でできた人間ピラミッド
2003/09/2920ドル惜しんで負けたモノポリー
2003/09/30雲間より六甲に差す陽九月尽
2003/10/01簡単に仕事済ませて秋日和
2003/10/02鴨川の床は仕舞いて秋の風
2003/10/03排気ガスと混じっていても木犀香
2003/10/04甘えずに虫追いかけよヤマの猫
2003/10/05秋の風平たき街を迷いけり
2003/10/06実をもがれ日に炙られて林檎咲く
2003/10/07太陽のライトアップや羊雲
2003/10/08秋深し川面をすべる鷺の白
2003/10/09鵜が羽を陽にあてている秋の川
2003/10/10帰路遙かかき餅食べよ猫どもよ
2003/10/11土日だけベランダにある虫の声
2003/10/12時代小説のページめくりて秋ふける
2003/10/13鯔の子の黒き塊覗く鷺
2003/10/14来年のどんぐり小さく枝にあり
2003/10/15木犀の花を集めた右手の香
2003/10/16暖かい雲を吐き出す昼休み
2003/10/17秋風やトスしたコイン芝の上
2003/10/18小鼠が行方不明の秋の夜
2003/10/19やわらかな跳躍猫が逃げていく
2003/10/20翳り来るサンシュユの実の赤さかな
2003/10/21夕暮れの街を一掃き秋の風
2003/10/22虫の声明るき校舎とりまいて
2003/10/23白鷺はZの形で狙いおり
2003/10/24共食いで残りし蟋蟀声は無く
2003/10/25空白の記憶の如し秋の雲
2003/10/26留鳥の二羽の航跡重なりて
2003/10/27伸びていく太きミミズや草むしり
2003/10/28重なりて秋の日浴びる亀の池
2003/10/29静かさや研究棟の午後十時
2003/10/30青空へ燃焼紅葉の並木道
2003/10/31小鼠の揃えた手の甲薄桃色
2003/11/01秋の暮れスパイダソリティアきりもなし
2003/11/02手を止めて四時間目の空秋の色
2003/11/03半袖でペダルを漕ぐや天高し
2003/11/04黒猫の伸びする形秋深し
2003/11/05院生の休学手続き秋薄暮
2003/11/06長会議終わりて虫のすだきおり
2003/11/07ドアチャイム押す鼻先をおでんの香
2003/11/08リコーダ−の音揃いおり「アマリリス」
2003/11/09小春日や松葉相撲の切りがなく
2003/11/10幼稚園の鯉悠々と投票日
2003/11/11木の葉髪上目遣いで確かめる
2003/11/12七五三下され物の紙風船
2003/11/13日を浴びる日光写真を待つ間
2003/11/14黒猫の瞳が光る椅子の下
2003/11/15ラッパ吹きイヌマキの実の膨れ面
2003/11/16秋風や焼肉店を含みおり
2003/11/17散歩する角角に光る実南天
2003/11/18勇気持ち本日をもち炬燵出す
2003/11/19塩豆の賞味期限や秋の風
2003/11/20胸像は秋の陽浴びて無風なり
2003/11/21秋の雨受験生等は顔挙げて
2003/11/22長会議結論は出ず雨上がる
2003/11/23猫の子がゴミ箱にいる秋の風
2003/11/24先を行く猫の裸足や秋の風
2003/11/25図書館の窓を斜めに秋の雨
2003/11/26雨の午後じっくりじっくり大根炊く
2003/11/27買ってきた賀状の束や秋更けて
2003/11/28我が影を追いかけてくる小竜巻
2003/11/29老夫婦公孫樹の黄色を見上げおり
2003/11/30ひんやりと蒟蒻結ぶ雨の午後
2003/12/01喉荒れは自業自得でコート出す
2003/12/02自転車で通勤している師走かな
2003/12/03買ってきた年賀葉書の白さかな
2003/12/04秋風が微熱の額を通り抜け
2003/12/05裸木の立ち並びたる無風かな
2003/12/06短日の窓辺に風を聞きおりぬ
2003/12/07レジ袋見つけて集まる秋の猫
2003/12/08寒風や野良猫道で丸くなる
2003/12/09冬電車瞼で受ける日の光
2003/12/10寒風やチェーンの緩んだ音させて
2003/12/11胡麻団子杏仁豆腐宴果て
2003/12/12図書館で子どもの声が遠ざかる
2003/12/13冬空をA棟が切る垂直に
2003/12/14冬の夜のともは塩豆怒り豆
2003/12/15イヤホンのジャズに合わせて冬景色
2003/12/16適当に選べど温(ぬく)き新コート
2003/12/17生姜なきあんかけ豆腐妻若し
2003/12/18終バスの灯り遙かな冬の道
2003/12/19先端の小さな擬宝珠花水木
2003/12/20木枯らしやマギー司郎は黄の背広
2003/12/21師走の駅号外持つ客続々と
2003/12/22BB弾枯葉の陰で光りおり
2003/12/23冬の夜虚実皮膜の推薦状
2003/12/24太股が変速の重さ覚えおり
2003/12/25受けるごと机におきぬ仏掌柑
2003/12/26野良猫の見上げる瞳冬休み
2003/12/27花金のパソコン売り場の人の数
2003/12/28本煙草塩豆ブランデー冬籠もり
2003/12/29年の暮れすべてのレジが音立てて
2003/12/30鴎舞う夙川河口が暮れていく
2003/12/31また一つ窓の灯消えた年の暮れ
舅から頂く柔き鏡餅
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