知り合いの中学校国語科教員に「年間で何回作文を書かせている?」と尋ねたことがある。「三回ですね」という答えであった。
学期に1回では少ないかなぁと思うが、4クラスで160人の中学生の作文を読んで朱を入れると一人当たり5分として800分=13時間20分かかる。授業時間や生活指導やクラブの指導など以外の時間を使って行うのであるから、なかなか時間が取れなくて作文指導の機会が少なくなってしまうのは仕方がないかもしれない。
作文を書く機会が少ないと、現象把握力や思考力や文章表現力が十分に身につかないので、現状は中学生・高校生にとって不幸せな状態である。
解決策は、国語科教員が丁寧な作文指導をやめることである。13時間20分かかるから、年3回の機会をつくるので精一杯になるのであって、もっと少ない時間しかかからなければ、学期に3回・年に9回の機会を作ることだって可能である。丁寧でない作文指導はどのように可能であるのか。
丁寧でない作文指導をどう行ったのかを以下に述べる。
筆者は、国語学概論2という授業において「文章表現コンテスト」という名前で「丁寧でない作文指導」を行った。その1回分を示す。
以下実際の画面イメージや投稿作品・感想の一部を紹介する。
国語学概論概説の授業において文章表現力養成にための課外学習「本日のお題」を投稿する電子掲示板で作品を収集した。
普通のたんなる電子掲示板である。
作品募集期間 | 2007/10/30〜2007/11/09 |
投票期間 | 2007/11/13〜2007/11/25 |
作者の学籍番号 | 作品 | 描写完成度 描写高感度 得点合計 イチオシ感想(学籍番号) |
---|---|---|
41136 | 自動販売機のあったかいコーナーが増えた。 オレンジ色したキャップのお茶を買う。 右手と左手の間を何度もバトンパス。 暖かさが口から胃へゆっくりと落ちていくのがはっきり分かる。 「うまい」の代わりに漏れた「あぁー」は、 白くなって消えた。 自分の声の形を久しぶりに見た。 無意識の「そんな季節か」は見えなかった。 秋を感じた。 | 完成度= 66 好感度= 69 合計= 205 (52108) (72102) 『自分の声の形を久しぶりに見た。』お茶のあったかさと対照的な冷たい空気がよく感じられる素敵な表現だなと思った。 (72104) あったかいお茶の描写がリアルです。『右手と左手の間を何度もバトンパス。』が、いい。 (72424) 「自分の声の形」と言う独特の表現がすごく好きでした。 (72441) 温かいペットボトルを右手、左手にパスをしている風景が思い描けました。 (72442) 描写の仕方が面白くてよかった。 また、確かにこの状況は私も体験するので、共感しました。 (74213) 描写が上手で、すぐに想像できて、秋だなと一番感じる作品でした。 |
62439 | よく晴れた休日のお昼。 栗ご飯弁当を持って、近くの公園へ読書をしに出かけた。 秋の味覚を感じながら、ふと目をやると、夏には半そでだった子どもたちが、長袖を捲り上げて、走っている。 気づけば、日も落ちかけている。 | 完成度= 60 好感度= 57 合計= 137 (72420) 秋の情景がありありと浮かんでくる作品。作者の感性の豊かさを感じた。 (72432) 描写表現によって、周りの風景を頭の中で描きやすくなっており、十分に秋を感じさせるものだった。また、最後の表現は風情があり、好感を持てた。 |
62440 | 夏休みの間バイトが終わる18時半、まだ明るかった。今ではもう真っ暗だ。同じ時間に帰っているはずなのに・・・。肌寒さまで感じる。 寄り道せず、まっすぐ家に帰ることにしよう。 | 完成度= 41 好感度= 37 合計= 78 |
72101 | 稲穂が揺れているいつもの通学路。 稲刈りの季節だなと」感じる。 金色のじゅうたんがもうすぐなくなるんだな。 自転車で坂を滑り降りると、頬が冷たい。 | 完成度= 48 好感度= 45 合計= 103 (72438) 稲穂と金色のじゅうたんが良かったです。一番しんみり秋を感じられました。 |
72102 | 太陽の高度が低くなった。 駅へと向かう道、前より少し早まった夕暮れの中、 オレンジに染まる駅前。 | 完成度= 58 好感度= 63 合計= 151 (72109) この作品の情景が目に浮かび、ほっこりとした気持ちになった。シンプルでとてもよい作品だと思った。 (72452) この登場人物が「温かいスープ」をつくったことを伝えたい一心で寒さに負けず彼を迎えにいく、というけなげさがたまらなく好きです。こころがほっとします。 (74215) 長い影というのが、とても秋を感じさせていると思いました。 |
72104 | 風が吹いている。 思いがけない冷たさに私はうすく目をとじる。 目を開けて見上げるとまだ日の昇りきらない空が白くかすんで、こま切れになった雲が遠くに浮かんでいるのが見える。 駅までの道はこだかい丘のようになっていて、私は道いっぱいの落ち葉をブーツでざかざか言わせながらのぼる。 少し切れた息が口の先から白くなる。 「はーっ」 嬉しくなって、何度も白い息を吐き続ける。 | 完成度= 64 好感度= 66 合計= 160 (72419) 空の様子が描かれていて良かったです。白い息がでると秋を感じるというところに共感しました。 (72451) この作品の中で一番情景を想像できて、とても温かみを感じた。 (72487) 文章の情景が頭の中にすぐに浮かび上がってきました。表現の仕方が上手だなぁと思いました。 |
72108 | バイトの帰り道、信号が青に変わるまでの間、 橋の上から景色を見下ろす。 水面がキラキラ揺れている。 それと同時に、両岸を覆うベージュ色が目に入る。 ススキだ。 橋から見る風景が、いつも私に季節の訪れを知らせてくれる。 | 完成度= 52 好感度= 49 合計= 111 (72108) 吐く息の表現の仕方が素敵だと思いました。私には思いもつかない文章です! |
72110 | 朝、目が覚めてすぐ、冷たい空気に重い肩が震えた。 流れるように立った鳥肌で身をちぢこませて、急いで布団にもぐりこむ。 すごく暖かくて優しい夢がさっと広がり、春の陽気の下で日向ぼっこをしているような気持ちよさに包まれる。 「秋らしく冷え込んだものだ。冬なんて来なくてもいいのに」と口を尖らせてぶつぶつつぶやいた。 また目が覚めて、身軽な体を急ぎ起こして時計に視線を落とした。 ああ、今日も一限目は自主休講だ。 | 完成度= 54 好感度= 57 合計= 111 |
72401 | 朝、起きてカーテンを開ける。ついでに窓も開けると、外から冷気が一気に入り込む。その冷気で完全に目が覚める。そして、そこからその日一日の服装を考える。朝のこの肌寒さの中、薄手の服で原付に乗っていくのはきっときついだろう、しかし厚着していくと、昼間には暑さで苦しむことになるだろう。しかし・・・。そんな考えごとをしているとき、僕は秋を感じる。 | 完成度= 44 好感度= 42 合計= 86 |
72416 | 4限の授業が終わり外に出る。 辺りは薄暗く、頬にあたる風が冷たい。 もう半袖の人は見当たらない。 一人で階段を降りるとなんとなく寂しい。 暖かい飲み物でも買おうかと思った。 | 完成度= 54 好感度= 54 合計= 118 (72101) |
72419 | 自転車で学校へ向かう。 頬と指先が冷たくなった。 その時もう秋だと感じた。 確認するように、周りを見渡すと木々は赤く染まっていた。 | 完成度= 50 好感度= 43 合計= 93 |
72420 | 真っ赤な夕日に照らされた君のもとへ、駆け寄る僕。 君と並んで歩く帰り道、紅く色づく木の葉。 君は少し寒そうに、僕に微笑んでくれる。 僕の頬もまた、紅く色づく。 | 完成度= 53 好感度= 62 合計= 135 (72450) (74214) すごく綺麗な描写だと思いました。紅という言葉をうまく使っていて,その状況を想像してほほえましくなるような描写でした。 |
72424 | まだまだ白い息が出ないのに、見上げた夜空に見える月がとてもとっても澄んでいた。 | 完成度= 34 好感度= 45 合計= 89 (72474) シンプルだけど秋が伝わってきたのでこれが好き |
72429 | 4時間目が終わりグランドに向かった。 毎日毎日この道を通ってグランドに向かっている。 夏休みの間はただ歩いているだけで汗が流れた。 練習後のシャワーが最高に気持ちよかった。 でも最近は練習後のシャワーの後が肌寒く感じるようになった。 もうすぐ冬だ!!オフだ!!筋トレだ!! | 完成度= 38 好感度= 44 合計= 82 |
72431 | 冷たい風に肩をすくめてコンビニに入ると、温かそうな湯気が僕を誘う。足が自然とそちらに向かっていく。 あぁ、こんなにおいしいものだったんだな、コンビニのおでん。こんにちは、これからたくさんお世話になります。 | 完成度= 51 好感度= 51 合計= 112 (72431) うちにも秋になると柿が届きます。その光景と、あの甘い香りが頭に浮かんできて、思わず「秋だなぁ」と感じてしまいました。 |
72432 | ふと電車の窓から、流れる外の景色を眺めた。 その中にあった、赤くて優しい、丸い光に、私の目がどんどん吸い込まれていく。 いつも長く感じられる時間が、ほんの一瞬の出来事であったかのように、あっという間に過ぎていった。 夏には見られなかった夕日が、私の目を捕らえて離さなかったのだ。 | 完成度= 56 好感度= 58 合計= 114 |
72436 | 夕方犬の散歩をしていた。 周りはいつの間にか長そでの人であふれかえっている。 住宅街を歩いているとサンマの匂いがどこかの家庭から私の鼻に向かってくる。 私はそそくさと自宅へと走っていった。 | 完成度= 48 好感度= 47 合計= 95 |
72439 | 夕暮れ時、オレンジ色に染まっていく空。 さわさわ風に揺れる葉っぱもオレンジ色に染まっている。 そんな景色を見ながら、やっぱり明日はもう一枚何か着てこようって思うんだ。 | 完成度= 54 好感度= 47 合計= 111 (72444) 毎日夕方同じことを思うのでかなり「あるある」だった 最後の「思うんだ。」というところがどこかほっこりさせるような親近感がわいて何か良い印象を受けた。 |
72441 | 近鉄電車に乗っていた。 とんぼも一緒に乗っていた。 | 完成度= 43 好感度= 49 合計= 142 (72414) 短いのに何か感じるものがあります。語呂がすごく気に入りました。 (72434) トンボが擬人化されいているのがおもしろかったです。シンプルなので、読み手が勝手に色々想像してしまいます。トンボもどこかに遠出するのかなとか、最近のトンボは電車の利用を知ったのかなとか、想像しました。 (72436) シンプルで好き! (72470) 短いけれど、とても秋を感じました。 (72478) たった2文で他と比べて量は少ないけど、逆にそれがいいというか、いらない説明がはぶかれてすっきりしていました。電車とトンボという情報しかないけどその場の様子が想像できました。 |
72444 | 朝8時半。 私は大学の階段を駆け上がっていく。 すると左右の赤く彩られた木々の中の一枚の紅葉がひらひらと私の足元に落ちた。 | 完成度= 44 好感度= 42 合計= 96 (62440) この文章を読んでいて、自然と目の前で起こっているかのように光景が思い描け、そのふとした出来事に秋を実感させられました。飾らない言葉で表現されているところがイチオシの決め手です。 |
72450 | 歩いているとふと思う。 「寒いなぁ。あの人とくっついてたいなぁ・・」 とても人肌恋しくなってくる。 この瞬間「もう秋だなぁ」と感じる。 | 完成度= 40 好感度= 55 合計= 115 (72455) 「あの人とくっついていたいなぁ‥」というところにキュンとしました。人肌恋しくなる。。。ていうところにもとても共感できました。 (72485) 人肌が恋しくなるというのがすごく共感できたし、短いことでストレートに伝わった。 |
72451 | 駅に着くと急いで駅のホームへと駆ける。走りながらふとあることに気付いた。こんなに思いっきり走っているのに不思議と汗をかかない。まわりの人も長袖の人が多く、そういう僕も長袖だ。 ホームに着き電車がちょうどやってきた。電車とともにさわやかな、そして少し肌寒い風がやってきた。走る時にまくっていた袖をまたもとの長袖に戻す。風が、冷たい。 | 完成度= 55 好感度= 51 合計= 116 (72439) 半袖では寒くて、でも長袖だとたまに暑い。そんな微妙な感情をうまく描写している作品だと思います。 |
72452 | 焼き芋売りの車が右手の道路を走り去る。それと同時に左手の茂みの真っ赤な彼岸花が揺れた。彼は急に歩みを止め無邪気そうに首をすくめてみせる。私もつられて首をすくめてみせた。私と彼の視線が一瞬ぶつかり合う。私はなんだか気恥ずかしくてすぐに視線をそらした。私のほっぺが夕焼け色に染まる。彼のほっぺも夕焼け色に染まる。大空のうろこ雲も夕焼け色に染まる。 | 完成度= 60 好感度= 54 合計= 134 (62470) 限定描写がしっかりと取り入れられているうえに、文章全体のストーリーも描写表現を中心にして上手くまとまっていると思います。 (72401) 秋を感じさせるものが複数含まれていて、かつ物語性も持ち合わせている、良い作品だと思います。 |
72453 | 白いシャツが橙色に染まっていた。 目を上げると、大きな火の玉が彼方の山にぶつかっていた。 目線をそのまま下へ落とした。 照らされてもないのに、地面が暖色になっている。 そのときシャツを吹き抜けた風は、僕の肩を吊り上げた。 | 完成度= 59 好感度= 58 合計= 127 (72416) 描写ということを意識しているのが感じられたし、表現の仕方も上手だった。「肩を吊り上げた」という表現も新鮮だったし、色をうまく使って描写してあったから景色が浮かびやすかった。 |
72455 | ふんわりと紅葉が山道を彩っている。 少し窓をあけ、その空気を肌で感じながら、 車でゆっくり、ゆっくりと 曲がりくねったその道をくだってゆく。 道がひらけ、 ふと見上げると空がなんとなく高くなっていた。 | 完成度= 56 好感度= 50 合計= 116 (72459) 空が高くなっていた、の表現が新鮮でした。 |
72456 | 今から学校に行く。 少し前までは薄着で大丈夫だったのに、すっかり寒くなった。 よし、もう一枚着ていくか。 | 完成度= 39 好感度= 37 合計= 76 |
72459 | 暖かい陽を全身に浴びて、 大きく深呼吸してみた。 やわらかな光の下の空気は、 胸をキュンさせるほど冷たくて、 季節は赤が美しい季節になっていたんだね。 | 完成度= 46 好感度= 55 合計= 121 (72456) 直接秋とは言わずに「赤」という言葉で表現していることが印象に残った。 (74203) 「胸をキュンさせるほど冷たくて」という表現がとても面白くいいなぁと思った。まとまりがきれい。 |
72478 | いつもの並木道。友達と歩く大教の並木道。 ふと横を歩く友達の方に目をやると、真っ赤な夕焼けに照らされた、これまたきれいに赤く色を染めた葉っぱが一枚、その艶やかな黒髪を飾っていた。 | 完成度= 52 好感度= 51 合計= 113 (72406) 描写がキレイでした。 |
72485 | 家に帰るとダンボールいっぱいにつめられた柿が目に入る。 この季節になると毎年田舎から送られてくる。 家中が柿の甘い香りに包まれている。 秋がきたんだなあ。 | 完成度= 49 好感度= 52 合計= 111 (72466) 一番秋を感じると思った。わかりやすかった。 |
72487 | 毎日通る並木道 普段は気にもしないけど 今日だけ風が私を止めて 葉っぱの色づき教えてくれた 赤色、黄色、茶色たち これから迎える寒さのために あたたかい色をしているのかな | 完成度= 56 好感度= 60 合計= 136 (72429) テンポとかが良かったのでいいなぁと思いました。 (72433) 秋は急にしんみりとしてしまう季節だと思う。ふと、いつもは考えないようなことや、目にも留めないものにきずいたりする。そんな感覚が伝わってくる描写でとても心に残った。これからくる冬のために暖かい色をしているという表現がすごいと思う。 |
72488 | 午後六時、2人で小さなベンチに座った。 いつもより風が冷たく感じる。 僕はそっと彼女の手を握った。 …あたたかい。 紅葉さえ黒く染める秋の夕闇が、 赤くなった僕のほっぺたを隠してくれた。 そしてその夕闇は、僕らの距離を縮めてくれた。 | 完成度= 61 好感度= 61 合計= 142 (72110) 手と手が触れたときの温もりを感じられる、淡くて温かい作品だった。 (72453) 少し肌寒い季節の描写なのに、暖かな気持ちになりました。 |
74203 | 風が吹く。思わず体をちぢこませてる。 山を見る。山は色づき始めところどころ赤く染まっている。 さらに空を見上げると空はとても高く澄み渡っている。 大教大だからこそ気づかされる自然から感じる秋である。 | 完成度= 50 好感度= 47 合計= 97 |
74213 | 夏場は太陽の光で目が覚めたのに、 最近はカーテンを開けても薄暗く、朝だという感じがしない。 今まで涼しかった風も、今では冷たく感じられる。 でもその寒ささえも私には心地よい。 これから訪れる冬を待ちわびるこの時期が、 私はたまらなく好きだ。 | 完成度= 54 好感度= 53 合計= 117 (72407) 寒さを心地よく感じるというところに共感しました。 |
作者の学籍番号 | 作品 | 描写完成度 描写高感度 得点合計 |
---|---|---|
41136 | 自動販売機のあったかいコーナーが増えた。 オレンジ色したキャップのお茶を買う。 右手と左手の間を何度もバトンパス。 暖かさが口から胃へゆっくりと落ちていくのがはっきり分かる。 「うまい」の代わりに漏れた「あぁー」は、 白くなって消えた。 自分の声の形を久しぶりに見た。 無意識の「そんな季節か」は見えなかった。 秋を感じた。 | 完成度= 66 好感度= 69 合計= 205 (52108) (72102) 『自分の声の形を久しぶりに見た。』お茶のあったかさと対照的な冷たい空気がよく感じられる素敵な表現だなと思った。 (72104) あったかいお茶の描写がリアルです。『右手と左手の間を何度もバトンパス。』が、いい。 (72424) 「自分の声の形」と言う独特の表現がすごく好きでした。 (72441) 温かいペットボトルを右手、左手にパスをしている風景が思い描けました。 (72442) 描写の仕方が面白くてよかった。 また、確かにこの状況は私も体験するので、共感しました。 (74213) 描写が上手で、すぐに想像できて、秋だなと一番感じる作品でした。 |
72104 | 風が吹いている。 思いがけない冷たさに私はうすく目をとじる。 目を開けて見上げるとまだ日の昇りきらない空が白くかすんで、こま切れになった雲が遠くに浮かんでいるのが見える。 駅までの道はこだかい丘のようになっていて、私は道いっぱいの落ち葉をブーツでざかざか言わせながらのぼる。 少し切れた息が口の先から白くなる。 「はーっ」 嬉しくなって、何度も白い息を吐き続ける。 | 完成度= 64 好感度= 66 合計= 160 (72419) 空の様子が描かれていて良かったです。白い息がでると秋を感じるというところに共感しました。 (72451) この作品の中で一番情景を想像できて、とても温かみを感じた。 (72487) 文章の情景が頭の中にすぐに浮かび上がってきました。表現の仕方が上手だなぁと思いました。 |
72102 | 太陽の高度が低くなった。 駅へと向かう道、前より少し早まった夕暮れの中、 オレンジに染まる駅前。 | 完成度= 58 好感度= 63 合計= 151 (72109) この作品の情景が目に浮かび、ほっこりとした気持ちになった。シンプルでとてもよい作品だと思った。 (72452) この登場人物が「温かいスープ」をつくったことを伝えたい一心で寒さに負けず彼を迎えにいく、というけなげさがたまらなく好きです。こころがほっとします。 (74215) 長い影というのが、とても秋を感じさせていると思いました。 |
72441 | 近鉄電車に乗っていた。 とんぼも一緒に乗っていた。 | 完成度= 43 好感度= 49 合計= 142 (72414) 短いのに何か感じるものがあります。語呂がすごく気に入りました。 (72434) トンボが擬人化されいているのがおもしろかったです。シンプルなので、読み手が勝手に色々想像してしまいます。トンボもどこかに遠出するのかなとか、最近のトンボは電車の利用を知ったのかなとか、想像しました。 (72436) シンプルで好き! (72470) 短いけれど、とても秋を感じました。 (72478) たった2文で他と比べて量は少ないけど、逆にそれがいいというか、いらない説明がはぶかれてすっきりしていました。電車とトンボという情報しかないけどその場の様子が想像できました。 |
72488 | 午後六時、2人で小さなベンチに座った。 いつもより風が冷たく感じる。 僕はそっと彼女の手を握った。 …あたたかい。 紅葉さえ黒く染める秋の夕闇が、 赤くなった僕のほっぺたを隠してくれた。 そしてその夕闇は、僕らの距離を縮めてくれた。 | 完成度= 61 好感度= 61 合計= 142 (72110) 手と手が触れたときの温もりを感じられる、淡くて温かい作品だった。 (72453) 少し肌寒い季節の描写なのに、暖かな気持ちになりました。 |
62439 | よく晴れた休日のお昼。 栗ご飯弁当を持って、近くの公園へ読書をしに出かけた。 秋の味覚を感じながら、ふと目をやると、夏には半そでだった子どもたちが、長袖を捲り上げて、走っている。 気づけば、日も落ちかけている。 | 完成度= 60 好感度= 57 合計= 137 (72420) 秋の情景がありありと浮かんでくる作品。作者の感性の豊かさを感じた。 (72432) 描写表現によって、周りの風景を頭の中で描きやすくなっており、十分に秋を感じさせるものだった。また、最後の表現は風情があり、好感を持てた。 |
72487 | 毎日通る並木道 普段は気にもしないけど 今日だけ風が私を止めて 葉っぱの色づき教えてくれた 赤色、黄色、茶色たち これから迎える寒さのために あたたかい色をしているのかな | 完成度= 56 好感度= 60 合計= 136 (72429) テンポとかが良かったのでいいなぁと思いました。 (72433) 秋は急にしんみりとしてしまう季節だと思う。ふと、いつもは考えないようなことや、目にも留めないものにきずいたりする。そんな感覚が伝わってくる描写でとても心に残った。これからくる冬のために暖かい色をしているという表現がすごいと思う。 |
72420 | 真っ赤な夕日に照らされた君のもとへ、駆け寄る僕。 君と並んで歩く帰り道、紅く色づく木の葉。 君は少し寒そうに、僕に微笑んでくれる。 僕の頬もまた、紅く色づく。 | 完成度= 53 好感度= 62 合計= 135 (72450) (74214) すごく綺麗な描写だと思いました。紅という言葉をうまく使っていて,その状況を想像してほほえましくなるような描写でした。 |
72452 | 焼き芋売りの車が右手の道路を走り去る。それと同時に左手の茂みの真っ赤な彼岸花が揺れた。彼は急に歩みを止め無邪気そうに首をすくめてみせる。私もつられて首をすくめてみせた。私と彼の視線が一瞬ぶつかり合う。私はなんだか気恥ずかしくてすぐに視線をそらした。私のほっぺが夕焼け色に染まる。彼のほっぺも夕焼け色に染まる。大空のうろこ雲も夕焼け色に染まる。 | 完成度= 60 好感度= 54 合計= 134 (62470) 限定描写がしっかりと取り入れられているうえに、文章全体のストーリーも描写表現を中心にして上手くまとまっていると思います。 (72401) 秋を感じさせるものが複数含まれていて、かつ物語性も持ち合わせている、良い作品だと思います。 |
72453 | 白いシャツが橙色に染まっていた。 目を上げると、大きな火の玉が彼方の山にぶつかっていた。 目線をそのまま下へ落とした。 照らされてもないのに、地面が暖色になっている。 そのときシャツを吹き抜けた風は、僕の肩を吊り上げた。 | 完成度= 59 好感度= 58 合計= 127 (72416) 描写ということを意識しているのが感じられたし、表現の仕方も上手だった。「肩を吊り上げた」という表現も新鮮だったし、色をうまく使って描写してあったから景色が浮かびやすかった。 |
72459 | 暖かい陽を全身に浴びて、 大きく深呼吸してみた。 やわらかな光の下の空気は、 胸をキュンさせるほど冷たくて、 季節は赤が美しい季節になっていたんだね。 | 完成度= 46 好感度= 55 合計= 121 (72456) 直接秋とは言わずに「赤」という言葉で表現していることが印象に残った。 (74203) 「胸をキュンさせるほど冷たくて」という表現がとても面白くいいなぁと思った。まとまりがきれい。 |
72416 | 4限の授業が終わり外に出る。 辺りは薄暗く、頬にあたる風が冷たい。 もう半袖の人は見当たらない。 一人で階段を降りるとなんとなく寂しい。 暖かい飲み物でも買おうかと思った。 | 完成度= 54 好感度= 54 合計= 118 (72101) |
74213 | 夏場は太陽の光で目が覚めたのに、 最近はカーテンを開けても薄暗く、朝だという感じがしない。 今まで涼しかった風も、今では冷たく感じられる。 でもその寒ささえも私には心地よい。 これから訪れる冬を待ちわびるこの時期が、 私はたまらなく好きだ。 | 完成度= 54 好感度= 53 合計= 117 (72407) 寒さを心地よく感じるというところに共感しました。 |
72455 | ふんわりと紅葉が山道を彩っている。 少し窓をあけ、その空気を肌で感じながら、 車でゆっくり、ゆっくりと 曲がりくねったその道をくだってゆく。 道がひらけ、 ふと見上げると空がなんとなく高くなっていた。 | 完成度= 56 好感度= 50 合計= 116 (72459) 空が高くなっていた、の表現が新鮮でした。 |
72451 | 駅に着くと急いで駅のホームへと駆ける。走りながらふとあることに気付いた。こんなに思いっきり走っているのに不思議と汗をかかない。まわりの人も長袖の人が多く、そういう僕も長袖だ。 ホームに着き電車がちょうどやってきた。電車とともにさわやかな、そして少し肌寒い風がやってきた。走る時にまくっていた袖をまたもとの長袖に戻す。風が、冷たい。 | 完成度= 55 好感度= 51 合計= 116 (72439) 半袖では寒くて、でも長袖だとたまに暑い。そんな微妙な感情をうまく描写している作品だと思います。 |
72450 | 歩いているとふと思う。 「寒いなぁ。あの人とくっついてたいなぁ・・」 とても人肌恋しくなってくる。 この瞬間「もう秋だなぁ」と感じる。 | 完成度= 40 好感度= 55 合計= 115 (72455) 「あの人とくっついていたいなぁ‥」というところにキュンとしました。人肌恋しくなる。。。ていうところにもとても共感できました。 (72485) 人肌が恋しくなるというのがすごく共感できたし、短いことでストレートに伝わった。 |
72432 | ふと電車の窓から、流れる外の景色を眺めた。 その中にあった、赤くて優しい、丸い光に、私の目がどんどん吸い込まれていく。 いつも長く感じられる時間が、ほんの一瞬の出来事であったかのように、あっという間に過ぎていった。 夏には見られなかった夕日が、私の目を捕らえて離さなかったのだ。 | 完成度= 56 好感度= 58 合計= 114 |
72478 | いつもの並木道。友達と歩く大教の並木道。 ふと横を歩く友達の方に目をやると、真っ赤な夕焼けに照らされた、これまたきれいに赤く色を染めた葉っぱが一枚、その艶やかな黒髪を飾っていた。 | 完成度= 52 好感度= 51 合計= 113 (72406) 描写がキレイでした。 |
72431 | 冷たい風に肩をすくめてコンビニに入ると、温かそうな湯気が僕を誘う。足が自然とそちらに向かっていく。 あぁ、こんなにおいしいものだったんだな、コンビニのおでん。こんにちは、これからたくさんお世話になります。 | 完成度= 51 好感度= 51 合計= 112 (72431) うちにも秋になると柿が届きます。その光景と、あの甘い香りが頭に浮かんできて、思わず「秋だなぁ」と感じてしまいました。 |
72485 | 家に帰るとダンボールいっぱいにつめられた柿が目に入る。 この季節になると毎年田舎から送られてくる。 家中が柿の甘い香りに包まれている。 秋がきたんだなあ。 | 完成度= 49 好感度= 52 合計= 111 (72466) 一番秋を感じると思った。わかりやすかった。 |
72439 | 夕暮れ時、オレンジ色に染まっていく空。 さわさわ風に揺れる葉っぱもオレンジ色に染まっている。 そんな景色を見ながら、やっぱり明日はもう一枚何か着てこようって思うんだ。 | 完成度= 54 好感度= 47 合計= 111 (72444) 毎日夕方同じことを思うのでかなり「あるある」だった 最後の「思うんだ。」というところがどこかほっこりさせるような親近感がわいて何か良い印象を受けた。 |
72108 | バイトの帰り道、信号が青に変わるまでの間、 橋の上から景色を見下ろす。 水面がキラキラ揺れている。 それと同時に、両岸を覆うベージュ色が目に入る。 ススキだ。 橋から見る風景が、いつも私に季節の訪れを知らせてくれる。 | 完成度= 52 好感度= 49 合計= 111 (72108) 吐く息の表現の仕方が素敵だと思いました。私には思いもつかない文章です! |
72110 | 朝、目が覚めてすぐ、冷たい空気に重い肩が震えた。 流れるように立った鳥肌で身をちぢこませて、急いで布団にもぐりこむ。 すごく暖かくて優しい夢がさっと広がり、春の陽気の下で日向ぼっこをしているような気持ちよさに包まれる。 「秋らしく冷え込んだものだ。冬なんて来なくてもいいのに」と口を尖らせてぶつぶつつぶやいた。 また目が覚めて、身軽な体を急ぎ起こして時計に視線を落とした。 ああ、今日も一限目は自主休講だ。 | 完成度= 54 好感度= 57 合計= 111 |
72101 | 稲穂が揺れているいつもの通学路。 稲刈りの季節だなと」感じる。 金色のじゅうたんがもうすぐなくなるんだな。 自転車で坂を滑り降りると、頬が冷たい。 | 完成度= 48 好感度= 45 合計= 103 (72438) 稲穂と金色のじゅうたんが良かったです。一番しんみり秋を感じられました。 |
74203 | 風が吹く。思わず体をちぢこませてる。 山を見る。山は色づき始めところどころ赤く染まっている。 さらに空を見上げると空はとても高く澄み渡っている。 大教大だからこそ気づかされる自然から感じる秋である。 | 完成度= 50 好感度= 47 合計= 97 |
72444 | 朝8時半。 私は大学の階段を駆け上がっていく。 すると左右の赤く彩られた木々の中の一枚の紅葉がひらひらと私の足元に落ちた。 | 完成度= 44 好感度= 42 合計= 96 (62440) この文章を読んでいて、自然と目の前で起こっているかのように光景が思い描け、そのふとした出来事に秋を実感させられました。飾らない言葉で表現されているところがイチオシの決め手です。 |
72436 | 夕方犬の散歩をしていた。 周りはいつの間にか長そでの人であふれかえっている。 住宅街を歩いているとサンマの匂いがどこかの家庭から私の鼻に向かってくる。 私はそそくさと自宅へと走っていった。 | 完成度= 48 好感度= 47 合計= 95 |
72419 | 自転車で学校へ向かう。 頬と指先が冷たくなった。 その時もう秋だと感じた。 確認するように、周りを見渡すと木々は赤く染まっていた。 | 完成度= 50 好感度= 43 合計= 93 |
72424 | まだまだ白い息が出ないのに、見上げた夜空に見える月がとてもとっても澄んでいた。 | 完成度= 34 好感度= 45 合計= 89 (72474) シンプルだけど秋が伝わってきたのでこれが好き |
72401 | 朝、起きてカーテンを開ける。ついでに窓も開けると、外から冷気が一気に入り込む。その冷気で完全に目が覚める。そして、そこからその日一日の服装を考える。朝のこの肌寒さの中、薄手の服で原付に乗っていくのはきっときついだろう、しかし厚着していくと、昼間には暑さで苦しむことになるだろう。しかし・・・。そんな考えごとをしているとき、僕は秋を感じる。 | 完成度= 44 好感度= 42 合計= 86 |
72429 | 4時間目が終わりグランドに向かった。 毎日毎日この道を通ってグランドに向かっている。 夏休みの間はただ歩いているだけで汗が流れた。 練習後のシャワーが最高に気持ちよかった。 でも最近は練習後のシャワーの後が肌寒く感じるようになった。 もうすぐ冬だ!!オフだ!!筋トレだ!! | 完成度= 38 好感度= 44 合計= 82 |
62440 | 夏休みの間バイトが終わる18時半、まだ明るかった。今ではもう真っ暗だ。同じ時間に帰っているはずなのに・・・。肌寒さまで感じる。 寄り道せず、まっすぐ家に帰ることにしよう。 | 完成度= 41 好感度= 37 合計= 78 |
72456 | 今から学校に行く。 少し前までは薄着で大丈夫だったのに、すっかり寒くなった。 よし、もう一枚着ていくか。 | 完成度= 39 好感度= 37 合計= 76 |
「国語学概論・概説 受講者 レポート提出用 掲示板」で「秋が来たことを感じさせる描写コンクールの感想」で検索すると読める。
行頭は学籍番号である。
62470 どの作品もそれぞれが味のあるものであったと感じ、皆さんの表現の豊かさに本当に感心しました。その中でも得点の伸びている作品は限定描写を巧みに取り入れているのはもちろんのことながら、先生もおっしゃっていた恋愛などの要素をそこに組み込むことにより、作品にストーリー性を持たせているものが多いと感じました。つまり、作品を読んでいてそれに自分自身が共感できるものや感情移入できるようなものが上位にきているのではないかと思います。自分の作品は締切日の次の日に出してしまい評価の対象にはなっていませんが、今回のコンクールを通して、描写表現とはどのようなものなのかについての学習を深めることが出来ました。よって、これからは描写表現をしっかりいれつつも読み手を惹きつけれるような文章を書けるように努力していきたいと考えています。
72104
結果を見ていると、上位にきているものや私も読んでいて「いいなぁ」と思ったものは誰もが「あるある!」と頷ける事柄を丁寧に描いたものであったとおもいます。
そういう意味でリアリティがあるものは読む人に受け入れられ易かったのではないでしょうか。
野浪先生が仰っていた「恋愛の描写が入ると好感度があがる」という言葉も、恋愛感情というものが私たちにとって共感しやすいものだからだと考えれば納得できるような気がします。
72108 1位はやっぱり、という感じでした。
それぞれの作品に、その人らしさが出ていたので、読んでいて楽しかったです。同じ言葉でも、場面や時間帯、登場人物の設定によって、読む人に与える雰囲気がガラリと変わるものなのだと思いました。今回の評価でも、楽しくいろいろな発見ができてよかったです。
ただ、先生が授業中におっしゃっていたように、描写という点で評価に困った作品がいくつかありました。
72109 読み手が情景をイメージできるように書こうと思ったのだが,やはり簡単にはいかず苦労した。ほかの作品を評価することで自分では思いつかないような表現に触れられたのはとてもよかった。上位の作品になるほど,表現や語彙など人を引き付ける要素があるなぁと感じた。ただ,評価する際に恋愛模様を描いた作品に流されてしまったように思うのでそこは反省したい。
72401 上位になっていた作品はやっぱりいずれもよくできていた。自分が高評価をした作品もやはり上位にいた。反対に順位が下の方の作品は何か伝わってこなかったり、描写がうまくいっていなかったりしていた。自分の作品は少しシンプルすぎたみたいで、描写がいまひとつだったなと思った。
72405 それぞれが思い思いの秋の世界を持っていて読んでいて楽しかったです。
共感できるものが多く、いちおしを決めるのに時間がかかりました。
自分で書いてみると、普通に秋を言うことはできるけど、描写をして秋を"感じさせる"のはとても難しいと感じました。
72406 さすがに高得点の作品は先生が仰っていたとおり、
量が質を後押ししていた気がする。
量が多いものは自然と独自の世界観が生まれていてすごいなと思った。
次は期限に遅れないように早く出したいなと思った。
72408 先生がおっしゃっていた目に見える風景の描写の重要性をとても感じた。
あと、学生ならではの描写は私も含めて共感が得られやすいためか上位に食い込んでいると思った。
しかし、一番重要なのはやはりなんといっても表現力だと思った。
いい作品にたくさんふれて表現力を培っていこうと思う。
72429 描写というテーマで今回は作品を作ったが、自分の作った作品は描写になっていなかったので力のなさを実感する結果となった。
ほかの人の作品を見て互いに評価したがやはり国語の教師を目指しているだけあって表現力が豊なものが多かったように思う。
評価が高い描写のものには目に見えないものをいかに表現できるかというところで色々うまく表現していたものが多かった。
次回また機会があれば自分もうまく作品を作りたいと思う。
72434 みんなの文章が凝っていて驚いた。毎回みんなの文章力の高さに驚く。私は国語ができないので,自分が教師になったときに教えられないと思ってこの学科に入学したので,まだまだ勉強が足りないと実感させられる。
72438 ストレートな表現や、温かい言葉の入った作品が人気だなと思った。
うまい表現ができるようになりたいとおもった。
提出が少し遅れてコンクールに参加出来なくて残念だった。
72439 秋といわれて思いついたのが夕方の景色くらいだったので、ほかの人の描写を見てこんな見方もあるのかと驚かされることが多かったです。
常日頃から物事をいろいろな視点で見て、それをどう表現できるかということを考えていくことで表現力を身につけたいと思いました。
72441 自分の書いた作品が結構上位にあって正直嬉しかったです。
でも1位の人とか私より上位の人たちはやっぱり文章が長くて「量は質を保障する」というのは本当だなと思いました。表現のしかたもどれも個性的で素敵な作品ばかりだったので、自分もこれから文章を書く際には魅力的な表現を使いこなせるようになりたいと思います。
72444 自分の作品の得点が下位のほうで少しへこんだ。
やはりまだまだ描写について理解できていないのだろう。
上位の作品にいくにつれて共感できる上に描写をしっかりしていて実力の違いを感じた。
次回、こういった相互評価の機会があるかどうかわからないが、もっとしっかりと練って良い作品を作ろうと思う。
72450 やっぱり上位の作品はとても描写が上手だなと思いました。
読んでいるとその光景がうかんできました。
秋だなぁって感じさせられる作品がたくさんあって読んでいて面白かったです。
72453 みんながそれぞれに思い描いた風景を表現できていたと思います。いろんな目線があって、自分が思い浮かばないような作品がや表現があって読んでいて飽きなかったです。
いろんな作品があったのですが、自分が評価の基準にしたのは、どれだけ新しい表現で秋が描写されているかというところに基準を置きました。人それぞれいろんな秋の感じ方があるのだなと思いました。
72459 高位の作品はやはり完成度の得点が高いですね。
それと、みんなの共感をえやすい作品が高得点になっているように思えます。
面白かったのは、「とんぼも一緒に乗っていた」の作品が非常に好印象を受けていたことです。
(私も、イチオシ作品にしたものと最後まで甲乙つけがたかったです)
基本的には、文章の長さと品質は比例しているようですが、たまに例外的に良い作品があるのが興味深いです。
72466 どの作品も見事に秋を感じることができました。
自分では思いつかないような表現もあり大変参考になりました。
自分自身はコンテストに間に合わずみんなに批評してもらうことができなくて残念です・・・。
語基本形 | 頻度 | 品詞 | 累積頻度 | 累積率 |
---|---|---|---|---|
多い | 9 | 形容詞自立 | 9 | 0.090 |
うまい | 8 | 形容詞自立 | 17 | 0.170 |
やすい | 6 | 形容詞非自立 | 23 | 0.230 |
高い | 6 | 形容詞自立 | 29 | 0.290 |
短い | 6 | 形容詞自立 | 35 | 0.350 |
楽しい | 5 | 形容詞自立 | 40 | 0.400 |
いい | 4 | 形容詞自立 | 44 | 0.440 |
よい | 4 | 形容詞非自立 | 48 | 0.480 |
長い | 4 | 形容詞自立 | 52 | 0.520 |
難しい | 4 | 形容詞自立 | 56 | 0.560 |
良い | 4 | 形容詞自立 | 60 | 0.600 |
すごい | 3 | 形容詞自立 | 63 | 0.630 |
よい | 3 | 形容詞自立 | 66 | 0.660 |
嬉しい | 3 | 形容詞自立 | 69 | 0.690 |
面白い | 3 | 形容詞自立 | 72 | 0.720 |
ない | 2 | 形容詞自立 | 74 | 0.740 |
やすい | 2 | 形容詞自立 | 76 | 0.760 |
少ない | 2 | 形容詞自立 | 78 | 0.780 |
上手い | 2 | 形容詞自立 | 80 | 0.800 |
低い | 2 | 形容詞自立 | 82 | 0.820 |
白い | 2 | 形容詞自立 | 84 | 0.840 |
良い | 2 | 形容詞非自立 | 86 | 0.860 |
うれしい | 1 | 形容詞自立 | 87 | 0.870 |
がたい | 1 | 形容詞非自立 | 88 | 0.880 |
たのしい | 1 | 形容詞自立 | 89 | 0.890 |
っぽい | 1 | 形容詞接尾 | 90 | 0.900 |
印象深い | 1 | 形容詞自立 | 91 | 0.910 |
温かい | 1 | 形容詞自立 | 92 | 0.920 |
寒い | 1 | 形容詞自立 | 93 | 0.930 |
強い | 1 | 形容詞自立 | 94 | 0.940 |
興味深い | 1 | 形容詞自立 | 95 | 0.950 |
細かい | 1 | 形容詞自立 | 96 | 0.960 |
思いがけない | 1 | 形容詞自立 | 97 | 0.970 |
新しい | 1 | 形容詞自立 | 98 | 0.980 |
早い | 1 | 形容詞自立 | 99 | 0.990 |
乏しい | 1 | 形容詞自立 | 100 | 1.000 |
アンケートの回答項目が自由記述であるとき、それを客観的に要約することは難しい。便宜の方法として、主要品詞の代表語を示す。
表1は「秋が来たことを感じさせる描写コンクールの感想」32人分の自由記述の回答を品詞分解して品詞ごとの頻度を集計したものである。「回答者はどんな言葉を使って感想を書いたか」がわかる。
この表においても、どこまでを代表語であるとするかが難しい。便宜的に累積率80%以上を占める要素群で母集団を代表すると考え、同頻度語は代表語に含めるとすると「上手い」までを代表語とするのではなく、頻度2の「良い:形容詞非自立」までを代表語に含めることになる。
形容詞は対象への評価を表す場合があり、表1に上がった語にもそれが含まれている。「うまい・やすい・楽しい・いい・よい・難しい・良い・すごい・よい・嬉しい・面白い・上手い・良い」である。肯定的評価が大部分であり、否定的評価が「難しい」1語(頻度4)だけである。
形容詞の頻度から、「描写コンクール」へ肯定的評価を述べた感想が大部分であったことが分かる。
要約・代表語の狙いは、大量の文書の表現内容の傾向を素早くつかむところにある。形容詞で頻度率80%の語が22語であった。どうやら高頻度20位あたりまで(同頻度語を含む)の語が、代表語として使いやすそうである。(形容詞以外の品詞について、ここでは取り扱わない。)
ありか:http://www.mytools.net/cgitools/note4.html
特徴:webpageに設置方法が詳しく説明されているので、初心者にも使うことができる。ただし、スパム書き込みにやや弱い。(キーワードで弾くのみ)
ありか:http://cgikon.com/search/detail.php3?menu=5&cgi_id=308
特徴:これも、webpageに設置方法が詳しく説明されているので、初心者にも使うことができる。質問設定ファイルを工夫すると、自由なレイアウトが可能になる。ただし、使う文字コードがEucなので、戸惑うかもしれない。
電子掲示板を使って作品を投稿させるのには一長一短がある。
自分では作品イメージがつかめない場合に、誰かが投稿した作品を見ることは、助けになる。同時に、「コピーして適当に変更して……」という安易に流れるきっかけも作ってしまう。
誰でも見ることができる電子掲示板なので、緊張感がある。めったなものは書けないという努力目標を作ると同時に、書けないから諦めようというきっかけになる。
読者は「インターネット環境が充実していて、それなりの国語力をもった学生を相手にして、手抜きの作文教育をして、それを広めようという筆者は怪しからん奴だ」という感想を持つかもしれない。
確かに手抜きである。怠け者の筆者でも、この作文指導?ならば、3週間に1回の周期で行える自信がある。学習者が書いた作文が真っ赤になるほど「熱心に」朱を入れる作文指導を目指すから、辛くなって、作文指導の機会が少なくなってしまうのだと考えている。極端なことを言えば、書かせっぱなしでも、何らかの力はつくものだから、書かせないよりもましだと思う。
この報告で紹介した「インターネット環境を用いた作文指導」は書かせっぱなしより表現力は向上するだろう。何倍かの機会を持てるので、ひょっとしたら、真っ赤になるほど「熱心に」朱を入れる作文指導よりも表現力は向上するかもしれない。
パソコンを使った国語科の授業を構想するのは難しいと考えられている。漢字や文法についてのドリル形式のEラーニングは、それなりの効果があるだろう。しかし、パソコン・インターネットが持っている書き言葉の共有がしやすいという特長を国語科の授業で使わないのは、とてももったいないことである。
学校がパソコンルームを設置していたり、学習者の家庭がインターネット接続環境を整備していたりしているというのが現況である。国語教育にかかわる教員が少し手を広げて(失敗をすることを恐れないで)みれば、今まで金と手間と時間をかけなければ実現しなかった「書き言葉の共有」が手軽に実現する。「書き言葉の共有」の機会を今までより多く持つことによって文章表現能力が伸びることは間違いないのであるから、「書き言葉の共有」についての工夫を行っていきたい。
平成7年の3回生が「俳句」を共同研究の対象にするというので、それまで実作を行っていなかった筆者は、ニフティーサーブというパソコン通信のFPOEM MES#7「俳句フォーラム」という会員制掲示板に入会した。そこでは月に一回パソコン通信上で「句会」が行われていた。「バーチャル句会」と言っていた。
見ての通り、文章表現コンクールはこの「バーチャル句会」の真似である。しばらくの間係りの会員をしていた筆者は、当時自分や他の会員の俳句の表現力がぐんぐん伸びていくのを実感していた。
ただし、電子メールの投句や投票の文面を加工するのが手作業で、時間と手間がかかった。
現在は、インターネット上に電子掲示板やアンケートページを設置できるようになった。これならば電脳句会の時の手間はいらないから、回数や会員数が多くても大丈夫と思った。そして、学生の文章表現活動の場として試しにやってみたら、うまくいったのである。