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描写の練習 についての相互評価

作者 52420 得点 53

ふと地面に目を落とす。
色づいた葉が散らばり鮮やかだ。
通り過ぎる人の足にはブーツ。
秋が来た。

【評】一つの視点に絞って秋が来た様子を描写している点がおもしろいと感じました。描写は長い区間を説明するのではなく、一点を切り取って、その瞬間を鮮やかにことばで描くことだと思います。この作品では、地面に向けられた目に映る、秋を感じ取る一瞬を巧みに描いていると思います。(52408)

作者 52408 得点 72

くしゅん。
振り向けば、白Tシャツに紺色半ズボン姿の弟くん。
昼は暑いぐらいだったのに・・・とぼやいている。
秋が来た。

【評】昼と夜の温度差すごいですよね。文句を言いたくなる気持ち分かります。(62109)
【評】まず、「くしゅん」というくしゃみの音から始まっているのが、他の作品と比べて斬新で面白い。そして、「昼は暑いくらいだったのに・・・」とぼやく姿が、近頃の自分のぼやきと重なる部分があり、非常に共感が持てる。いまの自分の状況と重なる部分があるからこそ、この文章を読んでいて「秋だな」と感じられる。(62417)

作者 62101 得点 59

@朝、窓を開けると、澄んだ冷たい空気が部屋に流れ込む。
A日射しにはまだ熱があり、坂を上ると少し汗ばむ。
B徐々に冷たくなる風を感じながら、薄暗い中階段を下りる午後五時。
C嗚呼、秋がきた。

【評】朝起きたときに肌寒くなってきた感じや、寒いけれど坂を上ると少し汗をかく感じ、夕方になるとまた寒くなってきて、少し前までは明るかった時間なのに今は薄暗くなった秋の感じがとてもよくあらわされていると思う。ちょうど、今の秋、という季節をとらえているように思う。(62108)

作者 62102 得点 72

空を見上げれば雲は遠くなり、
夕焼けは熟れたりんごのよう。
赤を泳ぐカラスの声は肌寒さにしみいって、
私の心を家路へと急がせる。
秋が来た。

【評】わかりやすい比喩で情景がよりはっきりうかんだ。(62107)
【評】62417さんの、扇風機に「さようなら」を言い、こたつに「こんにちは」と言う。部屋がぐぐっと狭くなる。夕暮れ時、スーパーからの帰りの袋が、重くなる。袋の中には、夜食の為のさんま、モンブラン、「甘栗むいちゃいました」私のお腹のまわりや、ほっぺのあたりも、重くなる。冬への準備を始めたんだ。秋が来た。の作品もいいなと思いましたが、描写なのかなぁと思い、印象に残った62102さんの作品をベスト作品に選びました。この作品ではまず、夕焼けを「熟れたりんご」、真っ赤な空を「赤」としており、そのままその言葉を使うよりも印象深く、想像しやすかったです。大学からの帰り道、空を見上げているところがうまく描写されていると思いました。(54207)

作者 62110 得点 78

体育の後には必ずと言っていいほどお世話になっていた
あの四角い自動販売機。
汗だくになりながら見上げたあの黄色い日差しも
今では高い空の上のほうでオレンジ色に揺らいでいる。
冷たい風を首筋に感じて、身震いするのもご愛敬。
赤く頬を染め直した自販機に
今度はHOTでも頼んでみようかな。
あぁ、世界はまるで茶色におうどに白に黒。
とうとうこの日が、秋が来た。

【評】体育の後の自販機の姿は鮮明に思い浮かんだ。なのでふきだしてしまった。(62432)
【評】あの自販機が鮮明にうかんでくる。そして体育のあとでもホットが飲みたくなる気持ちもわかる。少しふきだしてしまった。(62432)
【評】何気ない日常を描写しているが、言い回しが面白く、よかった。(61506)

作者 62103 得点 73

どんぐりを踏みつける音があちこちで聞こえるようになった。
子供のころはよくつまようじを刺して“どんぐりコマ”を作って友達と競ったりした。懐かしい思い出だ。
ぱち。またどんぐりを踏みつける音。
秋が来たんだな〜

【評】(62477)
【評】ただ思い出を語るだけでなく、ぱち。という音が入って、またあの頃のようなどんぐりに気づくというところがいいと思いました。(64210)
【評】季節を感じる時にはよく懐かしい思い出を思い出す。そのことが表されていてよかったと思う。(52439)

作者 62104 得点 50

教室に入ると、後ろから声をかけられた。
昨日は半そでだった彼が、今日は長袖を着ている。
秋が来た。

【評】僕はこんな変化に気付かないので、自分とは違った秋の感じが日常生活の中から描かれてて親近感が沸く作品だと思った。(62457)

作者 62105 得点 56

朝、窓から入ってくる風が冷たくなった。
目に付く木々の葉が色づいている。
人々が纏う色も落ち着いた色へと移り変わっていく。
秋が、来た。

【評】夏から秋へと季節が移ろう様子を葉の色の変化で表しているので、秋を実感している今が強調されている。(61509)

作者 62106 得点 53

見上げれば、沿道の木々の葉が、ほんのり赤く色づいていた。
そういえば、風もすっかり乾いて、肌寒くもなったように思う。
なんでもないようなことに、ふと季節を感じた。
・・・秋が来た。

【評】心の描写になってる部分もあるけれど、「秋」というのが感じるには微妙な季節でなんとなく「秋かな〜」と感じる季節。それが伝わってくる描写だった。最後の「秋が来た」という文にスムーズにつながっていて良かった。(62487)

作者 62107 得点 116

ふと見上げると葉っぱが赤く染まっていた。
遠くの夕日も以前より真っ赤に染まっていた。
横を向くとあいつの頬もほんのり赤く染まっていた。
嗚呼、秋が来た。

【評】(62437)
【評】(62459)
【評】 ”赤色”に秋を見出したそれぞれの描写がよかったです。ひとつの色から秋を感じさせるという表現の仕方が新鮮で面白いと思いました。(62455)
【評】横を向くとあいつの頬もほんのり赤く染まっていた。の部分がうまく前後と結びついていていい。(62447)
【評】赤がうまく使われている様に感じました。(62474)
【評】(52443)

作者 62108 得点 38

家の玄関に植えている木の葉が赤く色づいてきた。
学校からの帰り道、いつもと同じ時間なのに暗くなるのが早くなった。
どこかの家から秋刀魚を焼くにおいがする。
秋がきた。


作者 52471 得点 51

道行く人は、みな厚着だ。
顔を上げれば、道端の木の葉が赤く染まっている。
さらに見上げれば、空にはいっぱいの鱗雲。
秋が来たんだ。


【評】だんだんと上に上がっていく視点に、流れがあってよかったと思います。分かりやすいです。(62475)

作者 54207 得点 59

朝、大学の道路で落ち葉を踏んで、ぱりっと音がした。
はらはらと茶色い葉っぱが地面に落ちた。
どこからか、焼きいものいいにおい。
・・・秋が来た。

【評】すべての文が瞬間を捕らえていて描写としてよいと思いました。また、一文目の「ぱりっ」という擬音語で聴覚に、二文目の落ち葉の「茶色」で視覚に、三文目の焼き芋の「におい」で嗅覚に訴えて、バランスが取れていると思いました。(52434)

作者 46306 得点 39

外へ出た。
まっくらだ。
スッと寒くなった。
秋が来た。


作者 61507 得点 49

スーパーに買い物に行った
秋の味覚コーナーが設けられていた
さんまが大売出しされていた
秋がきた

【評】シンプルで、情景を想像しやすくてよかった。さんまという食欲を誘うものが秋をよくあらわしている。(62406)

作者 62406 得点 51

木からどんぐり落ちた。
落ちたどんぐり子どもが拾った。
どんぐり拾った子どもの頭にどんぐりもひとつ。
秋がきた。


作者 62417 得点 61

扇風機に「さようなら」を言い、こたつに「こんにちは」と言う。部屋がぐぐっと狭くなる。
夕暮れ時、スーパーからの帰りの袋が、重くなる。袋の中には、夜食の為のさんま、モンブラン、「甘栗むいちゃいました」
私のお腹のまわりや、ほっぺのあたりも、重くなる。冬への準備を始めたんだ。
秋が来た。


【評】まるで冬眠に入る動物かのように表現されいて面白い。しかも、人間には冬眠は必要ないわけだから、ただ単に、おいしい秋の味覚をお腹いっぱい食べるのを正当化しているような感じがして、それもまた面白かった。(42464)

作者 62426 得点 52

朝家を出る時、見上げた空は白んでいた。
電車に乗ると本格的に輝きはじめた太陽が目に飛び込んできて、まぶしくて僅かに目を細めた。
そしてふと、日の出が遅くなったことに気づく。
夏は終わり。
秋が来た。

【評】自分も同じような情景で秋を感じました。すごくイメージしやすかったです。夏の終わりを感じたとき、それはすでに秋なんだなと思いました。(61507)

作者 62427 得点 47

朝、自動昇降階段の付近で、蛙は白い腹部を衆目に晒していた。
昼、突風が髪をまきあげて過ぎ去っていった。
涼しい。
アキガ、キタ。

【評】多くの人が空や太陽、冷たさを題材にするのに対して、蛙の白い腹部や突風といった材料を用いて秋を表現した感性が、とても面白いと思いました。(62110)

作者 62428 得点 62

たわわに実った黄金色の豊作の恵み
食卓に並ぶ白く艶やかに光る新しいそれ
そのうまさに我等は大地に感謝する
秋が来た

【評】秋と言えば、食欲の秋ということを、自然と感じることが出来ました(52477)
【評】 これは新米のことを詩っていると思える。 新米という言葉を使わず与えられる喜びを表している。第一文では、重く稲穂の穂が垂れている事を描写しているし、第二文で新米が美味しそうなご飯になり艶やかな色を発し脇役でなく主として食卓に上っている様を描写している。第三文には描写的表現はないが感謝を直線的に表している大胆な良い文であると思う。 秋がきた…という事実にも感謝という思い入れがありそうだ。(62479)

作者 62437 得点 72

地面の緑が、いつの間にか、穏やかな茶色に変わった。
鰯雲の空から日差しが眩しく、吹く風は心地よく冷たい。
暑いね、と言ったら、寒いよ、とあの人が笑った。
秋がきました。

【評】人によって暑いと感じたり寒いと感じたりする季節柄をうまく表現しているように思います。会話をしている二人を想像すると可愛らしくて優しい気持ちになれます。(52420)
【評】1,2文目は景色などについて述べているのに、3文目で急に転換されているのが面白いと思った。また、「あの人」という言葉で、人物を固定しないのもいい。(52413)

作者 62445 得点 49

オレンジ色に染まった町を見ながらバイクに乗って家に向かう。
上着の上から感じる風は冷たくて心地いい。
つぶれた柿をよけて走る。
秋が来た。


作者 64210 得点 43

空は茜色に染まって
袖の中をすーっと風が吹き抜けた
歩くとカシャカシャと足元から音がした
秋が来た


作者 62457 得点 40

夜通し遊び、朝の帰り道は肌寒く辺りは真っ暗。グランドには久々に照明の明かりがついた。何となく季節の移ろいを感じる。秋が来た。


作者 64213 得点 49

見上げた先には雲一つない、澄みきった青空。
ふと草むらに目をやると、赤とんぼが止まっていた。
草むらを通り抜ける風がひんやりと感じられた。
もう秋なんだなぁ。


作者 62467 得点 42

肌にあたった少し冷たい風
赤く染まったきれいな秋空
食べ物に手がのびた
嗚呼、秋が来た


作者 62475 得点 51

@ 夜、部屋で机に向かっていると、音が聞こえた。
A その鈴を鳴らすような音は、鈴虫たちの鳴き声だった。
B きれいな鳴き声に包まれながら、私はまた机に向かった。
C 秋がきたのだ。

【評】鈴虫の泣き声が今にもきこえそうなくらいきれいに伝わってきた。(62472)

作者 62476 得点 58

夜になんとなく空を見てみる。
いっぱい星が見えるな。
あ、オリオン座や。
もうすぐ冬かぁ。
ってことは今秋やん。

【評】秋に直接関係するものではなく、せまってきた冬を感じることで秋を表そうとしているところが面白いと思いました。(62426)

作者 62477 得点 51

ツヤツヤの新米が食卓に並ぶ。
夕食にも、ホカホカの秋刀魚がよく出るようになってきた
夕方、「やきいも〜、やきいも〜」という屋台の呼び声が聞こえるようになってきた
秋がきた

【評】視覚や聴覚を用いた描写で、具体的に想像できるので気に入りました。新米、秋刀魚、焼き芋など秋を思わせる食べ物が並んでいるため、食欲の秋だなあと感じました。(52471)

作者 25101 得点 41

夕日が照りつけるキャンパスの裏道いっぱいに、熟した銀杏が散らばっている。
その道を、顔をしかめながら足早に歩く三人のクラスメイトは、誰もが吹き付ける風に身を縮める。
先頭を歩く、カツミが転んだ。
秋が来た。


作者 62479 得点 46

キャンパスを歩いていると、紅葉した落ち葉がブーツの足もとに散らばっている。
駅へと急ぐ帰り道、頬に感じる清々しい風はひんやりとして、人を足早にさせる。
見上げると、夕焼けに照らされた雲がうすく広がっている。
秋が来た。


作者 42486 得点 51

仕事を終えて外に出ると少し肌寒い。
赤とんぼの群れが飛び回っている。
空を見上げれば一面のうろこ雲。
もう秋だな。
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