全般的に河川や湖沼にみられる種が優勢であり、淡水の影響を大きく受けた
海域であったと考えられる。
淡水種の他には海産沿岸生の Camphylodiscus taeniata
やCoscinodiscus subutilis,
潟性のNitzschia cocconeiformis
,Nit.granulataがみられる。
右表にA〜I各層準ごとに淡水・汽水・海水種の割合をパーセンテージ(%)で示した。
火山灰直下粘土層においては、下層から上層に移るにつれて淡水種は減少し
汽水・海水種は増加しており、次第に陸水の影響が弱くなった
ことが分かる。火山灰直上粘土A層においては下層同様Me
losira spp.Pinnularia spp.等の淡水種優勢で
琵琶湖固有のStephanodiscus carconens
isがみられることから湖水が流入していた可能性がある。
またA層における殻数の爆発的な増加について論じるには多面的な分
析が必要であるが、火山灰の降下により水環境が変化し赤潮、つまり珪藻の
大発生を招いたという可能性も考えられる。
|
層準 |
淡水種 (%) |
汽水種(%) |
海水種(%) |
A |
68 |
32 |
− |
B |
− |
− |
− |
C |
− |
− |
− |
D |
− |
− |
100 |
E |
− |
− |
− |
F |
85 |
7 |
7 |
G |
85 |
13 |
2 |
H |
92 |
7 |
1 |
I |
94 |
6 |
− |
|