潜   熱

(潜んでいる熱、それが潜熱?)


潜熱について

今、ビーカの中に氷と水をいれ、ビーカー内の水の温度を0度とします。そして、そのビーカーを下から熱しても、温度が0度から上昇しません。ただ、氷が融けていくだけです。そして、しばらくすると、温度が上昇していきます

「熱容量と比熱」で取り上げた加えられた熱エネルギーに比例して温度が上昇するという原則があてはまらないのです。

Q=C儺

(Q:熱量、C:熱容量、儺:温度変化)


では、熱エネルギーはどこにいってしまったのでしょうか? そうです!この熱エネルギーは、氷を融かすために使われたのです。この時の熱エネルギーを融解熱といいます。そして、融解熱とは固体1gを融解するのに必要な熱量と定義されます。

そして、同様のことが、水(液体)が水蒸気(気体)になるときも見られます。この時の熱エネルギーを気化熱といいます。そして、気化熱とは1gの液体を同温度の気体に変えるのに必要な熱量と定義されます。 これら、融解熱や気化熱をあわせて、潜熱と呼びます。つまり、潜熱とは、固定、液体、気体と変化するときに吸収・放出する熱エネルギーのことです。

潜熱発見の歴史

この潜熱は、ジョセフ・ブラックが発見しました。 ブラックは、グラスコー大学のカレンのもとで勉強していました。カレンは、18℃の水と0度の氷を混ぜれば、水と氷の中間の温度になると考えていました。それなのに、温度計は0℃付近で停滞していたのです。カレンは、温度と熱の区別をはっきりと理解していなかたったので、熱を加えれば必ず温度が上昇すると信じていました。 これに対し、ブラックは高温の鉄を巨大な氷の塊に接触させました。そうすると、氷も、氷が融けた水も鉄も0℃となり熱平衡となることを確かめました。そして、鉄がもっていた熱は氷を融かすために使われたことをつきとめ、これを潜熱と呼びました。

付属資料(水の状態変化のグラフ、融点・融解熱などの一覧表)
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参考文献
大塚徳勝著:「そこが知りたい物理学」共立出版(株) 1999年
小暮陽三著:「ゼロから学ぶ熱力学」 講談社  2001年
川村 清著:「基礎物理学シリーズ 熱学」(株)東京教学社 1997年