大阪教育大学 教員養成課程 理科教育講座

有機化学研究室(種田研究室)

種田研究室で取り組んでいること


○有機分子を合成しよう!
 有機化学者の強みは、何といっても新しい分子を自分で創り出せるということです。 この世でまだこの研究室にしか存在しない、月並みな言い方をすれば「オンリーワンの分子」を手にすることができるということです。
 有機化合物を合成するための設備は、手元にあるものを駆使してそこそこに整えてあります。あとは、アイディアと努力です。 合成した化合物の物性評価は、いろいろな方々の助けをお借りしています。
 なお、本学は教育大学です。高校の化学部顧問の先生で、実験室で有機合成を行うためのセッティングを行いたいという方は、ご相談いただければお手伝いできるかもしれません。


○光によって機能を発現する有機分子の合成
 色が変わる反応というものは、見ていて飽きないものです。小学校で学ぶBTB溶液の色の変化など、印象強く覚えている方も多いのではないでしょうか。 例えば、BTB溶液やフェノールフタレイン溶液の色調を変化させているのは、水溶液のpHであり、中和滴定では酸性あるいは塩基性の水溶液を滴下していくことで、色が変化していますね。
 ところが、外部から薬品を加えなくても、色が変わることが世の中にはあるのです。当研究室では、外部刺激として「」を用いています。



上のgif画像は、とある化合物の溶液に光を当てた時の様子です。 実際は100秒程度かかる変化を早送りでGIF画像にしてあるので、少し見えにくいと思います。 光を当てる前後のものを、静止画で見てみましょう。、

黄色の溶液が、橙色に変化していますね。 このように、視覚に訴えかける変化はわかりやすく、印象に残りやすいものです。 そして、機能性色素としての応用も、いろいろと考えることができます。
 色調の変化以外にも、受け取った光のエネルギーを変換して、別のエネルギー(色)の光として放出する発光など、有機化合物が光によって発現できる機能は様々です。 当研究室ではそのような、光に応答して機能を発現する新規有機化合物の合成に取り組んでいます。

○光により色調が変化する材料を用いた教材開発
 光を当てるだけで、劇的に色調が変化する例をお見せしましたが、視覚に訴える変化は強く印象に残りやすく、これを教材に利用しない手はありません。 現在、いくつかの教材を開発中です。発表し終えたら、ここで紹介したいと思っております。(本学学生の方は、学内から研究概要を見ることができます。)
 教材の開発の一部は、本学の教育イノベーションデザインセンター・科学×教育デザイン部門の安積典子先生と共同して行っております。

○小中学生向け化学実験の開発
 本学では毎年、お盆前後に子と親の楽しいかがく教室」、「中学生のための楽しいかがく教室というものを実施しております(令和2年度は、コロナウィルス感染症の影響で開催中止となりました)。 それぞれ小学校高学年、および中学生を対象として、本学で実験を行ってもらう行事なのですが、研究室所属の3回生がその指導を行っています。 実験内容を学生が考えて、予備実験を重ね、指導書を作成しています。その中で、家庭でもできる実験や、小学校・中学校の実験室でやってみると面白い実験などの開発に着手しています。
 内容に興味を持たれた教員の方がおられましたら、実験実践年報を電子書籍として発行しておりますので、ご覧ください(閲覧にはパスワードが必要となります、詳細はこちらをご覧ください)。