平成20年度に改訂されました学習指導要領は、21年度から移行措置がはじまり、23年度には小学校での完全施行、24年度には中学校での完全施行となっています。本年度は、まさに新学習指導要領の移行の過渡期にあって、学校現場は新しい指導計画編成の只中に置かれています。周知のとおり、新学習指導要領では教科内容が改訂されて、小学校から中学校への見通しをもった指導がより求められるようになりました。また、学校経営面から見ても小中一貫校が再編・新設されている傾向をみると、これからの指導計画には小学校・中学校互いを見据える視点が必要不可欠と言えましょう。
従来、義務教育9年間の学力は、小学校6年間と中学校3年間に分けて考えられることが通常であり、小学校、中学校それぞれに完結した指導が多く行われる傾向にありました。しかし、今後は小学校と中学校を統合させた系統的な学力観を小学校・中学校両者の教員が共有し、9年間という長期スパンでの指導を行うことが望まれます。
もっとも、国語教育の現場においてはこのために必要な、小学校・中学校どの立場であっても共通に理解されているべき、学力の系統的な指標が漠然としているように思えてなりません。他の教科に指標の例の一部を見るならば、算数・数学科においては、小学校第一学年では1位数の加法・減法ができる、第二学年では2位数の加法・減法ができる、第三学年では3位数以上の加法・減法ができる・・・といったように学年ごとに具体的でしかも段階的な目標が示されています。これは無論、理系教科の特性ゆえのことであると言えますが、算数・数学科ほどに、具体的、あるいは限定的でなくとも、何か国語科においても系統的な指標を示す必要があると私たちは考えました。
もちろんこれまでの学習指導要領、新学習指導要領にも到達すべき「目標」は示されています。しかしながら、小学校の立場から中学校をどのように見据えるのか、中学校の立場から小学校をどのように見据えるのか、実践を介した、あるいは教材を通した視点からの、より実体を伴った確かな指標が、これからの国語科の小中連携指導の一助となるのではないでしょうか。
今大会では、本年度が新学習指導要領に見合った指導計画の再編成の過渡期であることを好機ととらえ、小学校・中学校の連携を見据えた国語科の学習指導について、国語科の学力の指標を捉えなおすという試みから、その可能性を探っていきたいと考えております。
そこで、このようなテーマに即した「課題研究発表」をしていただける方を募集しております。会員の皆様には奮ってご応募いただきますようお願い申し上げます。
あわせて「自由研究発表」をしていただける方も募集しております。本大会では、下記の
【時程】に示しました通り午前の部に「自由研究発表」の時間を設けております。日頃の会員の皆様の研究成果を発表していただける場としてご活用していただきたく思っております。こちらも奮ってご応募いただきますようお願い申しあげます。
会員の皆様の、多数のご参加をお待ち申し上げます。