小学校学習指導要領(平成29年告示)解説・理科編より、各学年の単元と学習内容、行う実験を表にまとめました。
3年
単元 | 学習内容 | 実験 | 関連事項 |
電気の通り道 | ・電気を通すつなぎ方と通さないつなぎ方がある。 ・電気を通す物と通さない物がある。 |
・乾電池と導線を使って豆電球を光らせる。 ・回路の途中に様々な物質をつなげて、豆電球が光るかどうか確かめる。 |
・回路のショート(乾電池の+とーを直接導線でつながない) ・ものづくり(スイッチ、テスターなど) |
磁石の性質 | ・磁石に引き付けられる物と引き付けられない物がある。また,磁石に近付けると磁石になる物がある。 ・磁石の異極は引き合い,同極は退け合う。 |
・鉄、アルミニウム、木など、磁石に引き付けられるものと引き付けられないものを確かめる。 ・釘や針などを磁石にくっつけて、砂鉄やクリップに近づけ、磁石になったことを確かめる。 ・2本の棒磁石を同極、異極どうしで近づけ、引力や斥力が働くことを確かめる。 ・磁石と砂鉄を使った実験、砂鉄集めなど ・おもちゃ作り(自動車や船など) |
・磁気カードについて |
風とゴムの力の働き | ・風の力は,物を動かすことができる。風の力の大きさを変えると,物が動く様子も変わる。 ・ゴムの力は,物を動かすことができる。また,ゴムの力の大きさを変えると,物が動く様子も変わる。 |
・風やゴムの力を利用したおもちゃ作り ・ゴムの伸びと車の進む距離の関係(比較) ・風の強さと車の進む距離の関係(比較) |
|
光と音の性質 | ・日光は直進し,集めたり反射させたりできる。 ・ 物に日光を当てると,物の明るさや暖かさが変わる。 ・ 物から音が出たり伝わったりするとき,物は震えている。また,音の大きさが変わるとき物の震え方が変わる。 |
・光を当てたときの明るさや暖かさの様子(かがみ、虫眼鏡による集光) ・音を出したときの伝わり方、震え方の様子(糸電話、太鼓、輪ゴムを使った手づくりの楽器など) |
・虫眼鏡の使い方の注意 |
物と重さ | ・物は,形が変わっても重さは変わらない。 ・物は,体積が同じでも重さは違うことがある。 |
・粘土などを小さく分けたり、形を変えたりして重さを比べる。 ・同じ体積の異なる物質(金属、木、プラスチックなど)の重さを量る。 |
・上皿天秤、電子天秤 ・重さ、体積の単位 |
身の回りの生物 | ・生物は,色,形,大きさなど,姿に違いがある。また,周辺の環境と関わって生きている。 ・昆虫の育ち方には一定の順序がある。また,成虫の体は頭,胸及び腹からできている。 ・植物の育ち方には一定の順序がある。また,その体は根,茎及び葉からできている。 |
・野外の生物の観察(比較、仲間分け) ・植物の栽培(成長の様子 ほうせんか、あさがお、ひまわり等) ・蝶の飼育 ・昆虫の観察(体の特徴) |
|
太陽と地面の様子 | ・日陰は太陽の光を遮るとでき,日陰の位置は太陽の位置の変化によって変わる。 ・地面は太陽によって暖められ,日なたと日陰では地面の暖かさや湿り気に違いがある。 |
・太陽の位置と影の位置の観察 ・日なたと日かげの地面の温度の体感による比較と温度測定 |
・方位磁針 ・放射温度計 ・JIS規格遮光板(太陽の観察用) |
4年
単元 | 学習内容 | 実験 | 関連事項 |
電流の働き | ・乾電池の数やつなぎ方を変えると,電流の大きさや向きが変わり,豆電球の明るさやモーターの回り方が変わる。 | ・2個の乾電池を直列、並列につなげて、豆電球の明るさやモーターの回る速さを、乾電池1個の場合と比較する。 ・簡易検流計を使って、電流の大きさ、向きとつなぎ方の関係を調べる。 |
・回路図の作成、回路図記号(乾電池,豆電球,モーター,スイッチ)。 ・簡易検流計を使って、電流の大きさ、向きとつなぎ方の関係を調べる。 ・発光ダイオード、電子オルゴール、極性。 |
「空気と水の性質」 | ・閉じ込めた空気を圧すと,体積は小さくなるが,圧し返す力は大きくなる。 ・閉じ込めた空気は圧し縮められるが,水は圧 し縮められない。 |
・体積と圧し返す力の関係について(空気と水の比較)。 | ・閉じ込められた空気の力を利用した身の回りの物質(タイヤ、ボール等) ・水鉄砲 ・ソーラーバルーン(日光で温められると上に上がるビニール袋)など |
「金属、水、空気と温度」(ものの温度と体積、物のあたたまり方、すがたを変える水) | ・ 金属,水及び空気は,温めたり冷やしたりすると,それらの体積が変わるが,その程度には違いがある。 ・金属は熱せられた部分から順に温まるが,水や空気は熱せられた部分が移動して全体が温まる。 ・水は,温度によって水蒸気や氷に変わる。また,水が氷になると体積が増える。 |
・あたためたときの体積変化 水、空気、金属の比較 ・熱の伝わり方 水、空気、金属の比較 ・水の三態変化 だいたい100℃で沸騰、沸騰すると水蒸気が発生(水蒸気の補集)、0℃で凍り始める、凍ると体積が増える、過冷却(寒剤) |
・グラフによる記録(加熱時間と水の温度) ・日常生活との関連(レールの継ぎ目、道路橋の伸縮装置、冷暖房装置の空気の循環など) |
「季節と生物」 | ・ 動物の活動は,暖かい季節,寒い季節などによって違いがある。 ・ 植物の成長は,暖かい季節,寒い季節などによって違いがある |
・野外の生物の観察 (季節ごとの観察記録) 季節による変化が明確な植物 身近で安全な動物 ・植物の栽培 (ひょうたん等、季節ごとの観察記録) |
・同地点で同一種の植物の定期的な観察 |
人の体のつくりと運動 | ・人の体には骨と筋肉がある。 ・人が体を動かすことができるのは,骨,筋肉の働きによる。 |
・自分の体の曲げられるところを調べる。 ・筋肉の観察 (重い手さげ袋を持ち、持つ前と筋肉の状態を比較するなど)。 |
・模型、映像の観察 ・安全に触ることができる飼育動物(哺乳類)の観察 |
月と星 | ・月は日によって形が変わって見え,1日のうちでも時刻によって位置が変わる。 ・ 空には,明るさや色の違う星がある。 ・星の集まりは,1日のうちでも時刻によって,並び方は変わらないが,位置が変わる。 |
・時間による星座の動きの観察 ・月の動きの観察 ・季節(夏、冬)の星座の観察 |
・映像教材 ・方角、方位磁針 ・星座早見板 ・プラネタリウム |
天気の様子 | ・天気によって1日の気温の変化の仕方に違いがある。 ・水は,水面や地面などから蒸発し,水蒸気になって空気中に含まれていく。また,空気中の水蒸気は,結露して再び水になって現れることがある。 |
・いろいろな天気の時の一日の気温の変化を測定する。 ・コップの水や地面の水の蒸発(結露)の観察 |
・百葉箱。定点、定時の継続観察。 ・グラフ(1日の温度変化) ・窓ガラスの内側の曇り |
「雨水の行方と地面の様子」 | ・水は,高い場所から低い場所へと流れて集まる。 ・水のしみ込み方は,土の粒の大きさによって違いがある。 |
・降雨時の校庭の様子の観察等。 ・粒の大きさの違う土をガラス容器に採取し、上から水を流してしみこみ方の違いを観察する等。 |
5年
単元 | 学習内容 | 実験 | 関連事項 |
電流が作る磁力 | ・ 電流の流れているコイルは,鉄心を磁化する働きがあり,電流の向きが変わると,電磁石の極も変わる。 ・電磁石の強さは,電流の大きさや導線の巻数によって変わる。 |
・コイルの巻き数、電流の大きさ、向きを変えて、電磁石の強さ(クリップ等を何個くっつけられるか)や向きがどう変わるか確かめる。 | ・科学館の利用(身の回りの道具と電磁石の利用) |
振り子の運動 | ・振り子が1往復する時間は,おもりの重さなどによっては変わらないが,振り子の長さによって変わる。 | ・おもりの重さ、糸の長さ、振れ幅を変えて(条件制御)1往復の時間を測定する。 | ・振り子の長さ=おもりの重心までの距離 ・振れ幅を大きくしない(30度以内) ・ストップウォッチ ・メトロノーム |
ものの溶け方 | ・ 物が水に溶けても,水と物とを合わせた重さは変わらない。 ・物が水に溶ける量には,限度がある。 ・ 物が水に溶ける量は水の温度や量,溶ける物によって違う。 また,この性質を利用して,溶けている物を取り出すことができる。 |
・水に溶かす前と溶かす前の質量を比較する。 ・ものが一定の水に溶ける量には限りがあり、温度とともに変化する。食塩とみょうばん(ホウ酸)の比較 ・溶けたものを取り出す(ろ過、再結晶、結晶の観察) |
・溶けるとは、均一になる、目に見えなくなる (コーヒーシュガーを水中に放置して溶かす) ・メスシリンダー、ろうと、ピペット、ガラス棒、電子天秤、ビーカー、匙、薬包紙、温度計 等々 |
植物の発芽・成長・結実 | ・植物は,種子の中の養分を基にして発芽する。 ・ 植物の発芽には,水,空気及び温度が関係している。 ・植物の成長には,日光や肥料などが関係している。 ・花にはおしべやめしべなどがあり,花粉がめしべの先に付くとめしべのもとが実になり,実の中に種子ができる。 |
・水、温度、空気と発芽の関係(条件統制による確認) ・植物の栽培(へちま、インゲン豆、大豆など) ・花のつくりの観察 ・受粉と結実の関係の確認(虫、風の役割) ・顕微鏡による花粉観察 ・葉、子葉、種子の養分の検出(ヨードでんぷん反応) |
|
動物の誕生 | ・ 魚には雌雄があり,生まれた卵は日がたつにつれて中の様子が変化してかえる。 ・ 人は,母体内で成長して生まれる。 |
・メダカの飼育と観察 ・メダカの雄雌の違いの観察 ・メダカの卵の顕微鏡観察 |
・ヒトの受精は取り扱わない ・資料の利用(胎児の成長) ・メダカの雄雌の違いの観察 ・メダカの卵の顕微鏡観察 |
流れる水の働きと土地の変化 | ・ 流れる水には,土地を侵食したり,石や土などを運搬したり堆積させたりする働きがある。 ・川の上流と下流によって,川原の石の大きさや形に違いがある ・雨の降り方によって,流れる水の速さや量は変わり,増水により土地の様子が大きく変化する場合がある。 |
・川のモデルに水を流す(室内、校庭) ・自然の川の観察 |
・豪雨による自然災害 |
6年
単元 | 学習内容 | 実験 | 関連事項 |
電気の利用 | ・電気は,つくりだしたり蓄えたりすることができる。 ・電気は,光,音,熱,運動などに変換することができる。 ・身の回りには,電気の性質や働きを利用した道具がある。 |
・手回し発電機を使ってコンデンサーに蓄電し、発光ダイオードや豆電球を光らせたり、プロペラモーターを回したり、電子オルゴールを鳴らす。手回し発電機の回す回数と豆電球の発光時間やプロペラの回り方との関係をたしかめる。 | ・プログラミング体験。(モーターの動きや発光ダイオード点灯の制御) ・ソーラーカー |
てこの規則性 | ・力を加える位置や力の大きさを変えると,てこを傾ける働きが変わり,てこがつり合うときにはそれらの間に規則性がある。 ・身の回りには,てこの規則性を利用した道具がある。 |
・力を加える位置や力の大きさを変えて、てこが釣り合う条件の規則性を調べる。 | ・てこの性質を利用した身の回りの道具 ペンチ、くぎ抜き、空き缶つぶし、トングなど ・天びんばかり(の制作) |
水溶液の性質 | ・水溶液には,酸性,アルカリ性及び中性のものがある。 ・水溶液には,気体が溶けているものがある。 ・水溶液には,金属を変化させるものがある。 |
・身の回りの水溶液の性質調べ ・二酸化炭素を水に溶かす ・リトマス紙による液性判定 ・金属(アルミニウム、鉄)を酸(アルカリ)に溶かし、金属が変化したことの確認。 |
・廃液処理 ・薬品の危険性と扱い方 ・実験器具の扱い方 |
「燃焼の仕組み」 | ・植物体が燃えるときには,空気中の酸素が使われて二酸化炭素ができる。 | ・ものの燃え方と空気(集気びん、石灰水、酸素、窒素、気体検知管、ろうそく、スチールウール) | ・ものが燃える現象を十分にみることができる場の提供 ・空気の構成成分(窒素、酸素 ほか) |
植物の養分と水の通り道 | ・植物の葉に日光が当たるとでんぷんができる。 ・根,茎及び葉には,水の通り道があり,根から吸い上げられた水は主に葉から蒸散により排出される。 |
・茎の断面の観察(虫眼鏡) ・植物(ホウセンカなど)の根を色水に浸して観察 ・蒸散による水分排出の確認 ・気孔の顕微鏡観察 ・植物の気体の出入り、でんぷんの生成の確認 |
映像、模型、資料の活用 顕微鏡の操作法 |
人の体のつくりと働き | ・体内に酸素が取り入れられ,体外に二酸化炭素などが出されている。 ・食べ物は,口,胃,腸などを通る間に消化,吸収され,吸収されなかった物は排出される。 ・血液は,心臓の働きで体内を巡り,養分,酸素及び二酸化炭素などを運んでいる。 ・体内には,生命活動を維持するための様々な臓器がある。 |
・唾液によるでんぷんの変化(ヨウ素でんぷん反応) ・呼気と吸気の成分の違いの確認(気体検知管) |
・魚の解剖 ・模型、映像、図書などの利用 |
生物と環境 | ・生物は,水及び空気を通して周囲の環境と関わって生きている。 ・生物の間には,食う食われるという関係がある。 ・人は,環境と関わり,工夫して生活している。 |
・プランクトンの観察 ・植物が酸素を出していることの確認 |
・映像、模型、図書など資料の活用 ・持続可能な社会の構築 |
月と太陽 | ・月の輝いている側に太陽がある。また,月の形の見え方は,太陽と月との位置関係によって変わる。 | ・夕方に見える付きの形と太陽の位置を、経日観察する。 ・月に見立てたボールと、太陽に見立てた電灯を使って、月の見え方を調べる。 (発泡スチロール球の半分を黒く塗り、見え方の違いを調べる) |
|
天気の変化 | ・天気の変化は,雲の量や動きと関係がある。 ・天気の変化は,映像などの気象情報を用いて予想できる。 |
・雲の観察(雲は西から東へ動く) ・気象情報や画像の利用 |
・気象衛星、アメダス ・台風、気象災害 ・天気はおよそ西から東へ動く |
6年「土地のつくりと変化」 | ・土地は,礫れき,砂,泥,火山灰などからできており,層をつくって広がっているものがある。また,層には化石が含まれているものがある。 ・地層は,流れる水の働きや火山の噴火によってできる。 ・土地は,火山の噴火や地震によって変化する。 |
・モデルに水を流して地層形成を観察 ・岩石標本の観察 ・化石の観察 ・火山灰の顕微鏡観察 ・野外観察、岩石の採取 |
・社会教育施設の利用(博物館、資料館) ・映像、図書などの資料の利用 ・過去に起こった災害は将来も起こりうる。 |