5-4.年齢

【学年ー年齢】

 年齢
学年幼→少幼か少少→青青→中
13113010251
20016020024
32005000213
40307100500
50006010210
60104121000
 年齢[%]
学年幼→少幼か少少→青青→中
118%6%6%18%0%6%0%12%29%6%
20%0%7%40%0%13%0%0%13%27%
315%0%0%38%0%0%0%15%8%23%
40%19%0%44%6%0%0%31%0%0%
50%0%0%60%0%10%0%20%10%0%
60%11%0%44%11%22%11%0%0%0%



・1年生老年が29%を占めている。ついで、幼年〜少年が合わせて48%を占め、この3種で77%を占めている。全ての年齢層がみられる。
・2年生幼年〜少年が47%を占め、ついで不明が27%を占めている。また青年と老年が13%ずつと同じ割合を示している。
・3年生少年が38%を占め、ついで不明が23%を占めている。また中年と幼年が15%ずつと同じ割合を示している。3年生までは不明や幼年、老年が高い割合を示している。
・4年生少年が44%を占め、ついで中年が31%を占めている。年齢変化が見られる。
・5年生少年が60%を占め、6学年中最も高い割合を示している。青年と老年の割合が10%ずつと同じ割合を示している。
・6年生少年〜青年が44%を占め、少年と同じ割合を示している。青年が22%と6学年中最も高い割合を示している。

【出版社・学年ー年齢】

 年齢
出版社・学年幼→少幼か少少→青青→中
光村10102000121
光村20001010002
光村32000000011
光村40102000100
光村50003000010
光村60002100000
教出11010010120
教出20011000012
教出30003000101
教出40103000400
教出50002000100
教出60101010000
東書12001000010
東書20004010010
東書30002000101
東書40102100000
東書50001010100
東書60001011000
 年齢[%]
出版社・学年幼→少幼か少少→青青→中
光村10%14%0%29%0%0%0%14%29%14%
光村20%0%0%25%0%25%0%0%0%50%
光村350%0%0%0%0%0%0%0%25%25%
光村40%25%0%50%0%0%0%25%0%0%
光村50%0%0%75%0%0%0%0%25%0%
光村60%0%0%67%33%0%0%0%0%0%
教出117%0%17%0%0%17%0%17%33%0%
教出20%0%20%20%0%0%0%0%20%40%
教出30%0%0%60%0%0%0%20%0%20%
教出40%13%0%38%0%0%0%50%0%0%
教出50%0%0%67%0%0%0%33%0%0%
教出60%33%0%33%0%33%0%0%0%0%
東書150%0%0%25%0%0%0%0%25%0%
東書20%0%0%67%0%17%0%0%17%0%
東書30%0%0%50%0%0%0%25%0%25%
東書40%25%0%50%25%0%0%0%0%0%
東書50%0%0%33%0%33%0%33%0%0%
東書60%0%0%33%0%33%33%0%0%0%



●光村図書少年が38%を占め、不明と老年が15%ずつで、同じ割合を示している。幼年・幼年→少年・中年がそれぞれ8%ずつを占めている。また、少年→青年・青年が4%ずつ占めている。
・低学年1年生では少年と老年が29%ずつと同じ割合を示し、幼年→少年・中年・不明とやや幅広い年齢層が見られる。
2年生では不明が50%を占め、残りは少年・青年が25%と同じ割合を示している。
・中学年3年生では幼年が50%を占め、老年と不明が25%ずつと同じ割合を示している。
4年生では少年が50%を占め、幼年→少年と中年が25%ずつと同じ割合を示している。
・高学年高学年になると少年・老年、あるいは少年・少年→青年の2パターンのみになる。
5年生では少年が75%を占める
6年生では67%と高い割合を示している。
●教育出版少年が33%を占め、中年が23%を占めている。ついで老年・不明が10%ずつと同じ割合を示している。幼年→少年・幼年か少年・青年は7%を占め、幼年は3%を占める。
・低学年1年生では、老年が33%を占め、幼年・少年・幼年→少年・青年・中年が17%ずつと同じ割合を示している。
2年生では不明が40%を占め、幼年か少年・少年・老年が20%ずつと同じ割合を示している。
・中学年3年生では、少年が60%に増加し、残りは中年と不明が20%と同じ割合を示している。
4年生では中年が50%を占め、ついで少年が38%、幼年→少年が13%を占めている。
・高学年5年生では少年が67%、中年が33%を占め、二分されている。
6年生では、幼年・少年・青年が33%ずつで、同じ割合を示している。
●東京書籍少年が46%を占め、青年は13%を占めている。ついで幼年・中年・老年が8%ずつと同じ割合を示している。幼→少・少→青・青→中・不明がそれぞれ4%を占めている。他2社と比べると、1つの学年で多様な年齢の主人公が出てこない。この会社だけ、幼年→少年・少年→青年といった、主人公が作中で年齢的に成長する作品が見られる。
・低学年1年生では幼年が50%を占め、ついで少年・老年となっている。
2年生では少年が67%を占め、最も高い割合を示している。残りは青年・中年が17%ずつを占めている。
・中学年3年生・4年生ともに少年が50%を占める。
3年生ではそれ以外に中年と不明が25%ずつを占めている。
4年では幼年→少年・少年→青年が25%ずつを占めている。
・高学年5年生では、少年・青年・中年が33%と同じ割合を示している。
6年生では、5年生と同様に少年・青年が33%を占めている。しかし、中年の作品は登場せず、青→中が33%を占めている。

【考察】

 学年×年齢の百分率表か年齢の項目ごとに比較してみると、全体的に「少年」が占める割合が高くなっていることがわかる。しかし、1年生に注目してみると「少年」が18%であるのに対し、「幼年」が18%、「老年」が29%を占め、他の学年が占め「幼年」や「老年」の割合と比べてみても、高い値をしめしている。2年生についても「老年」を主人公とする作品が見られることから、低学年には「老年」や「少年」を主人公とした作品が多く見られるといえる。 「老年」は、昔話の主人公に用いられやすい年齢であり、「幼年」は読者である児童の年齢に近い。また、学習指導要領低学年の「内容の取り扱い」という項目に、「昔話や童話の読み聞かせをきくこと」とあることからも、「老年」や「幼年」が主人公に多く見られたという結果は、言語活動の入門期にある低学年の児童にとって親しみやすい文章を扱うことで、読書意欲をたかめるきっかけとしているのではないかと私たちは考えた。
 また、「幼年→少年」や、「少年→青年」、といった年齢が変化する作品は4年生から多く見られた。これは、学習指導要領中学年の「内容」という項目に、「場面の移り変わりや情景を、叙述をもとに想像しながら読むこと」とあることと関わりかあるのではないけと私たちは考えた。 年齢が変化すると判断した作品には、主人公の年齢を示したり、時間の経過を示したりする叙述が作品中に複数見られる。 例えば「一つの花」(光村・教出4年生)で説明すると、この作品では、冒頭に「これがゆみこのはっきり覚えた、最初の言葉でした。」とある。この一文から、「ゆみ子」はほとんど言葉を知らない「幼年」の女の子であることが判断できる。 そして、作品後半の一文に、「それから、十年の年月がすぎました。」とあることから、作品前半に流れていた時間から十年の年月が経過し、主人公の年齢も十歳増えていると判断することができる。 このように、年齢が変化する作品には、場面や状況の移り変わりを想像する根拠となる叙述が、複数みられることから、学習指導要領にある目標と結び付けることができると考えた。
 学年・出版社×年齢の百分率表によると、3つの出版社すべてにおいて、「少年」の占める割合が高いことから、読者である児童と同年代の主人公を設定することによって、読者が作品に同化しやすく、且つのめりこみやすいようにしているのではないかと私たちは考えた。


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