5-5.心理変化

【学年ー心理変化】

 心理変化
学年+-+00---00++-00+-+0*
1000002010500
220100501600
300021205300
401104202231
500011210500
610011003300
 心理変化
学年+-+00---00++-00+-+0*
10%0%0%0%0%12%0%59%29%0%0%
213%0%7%0%0%33%0%7%40%0%0%
30%0%0%15%8%15%0%38%23%0%0%
40%6%6%0%25%13%0%13%13%19%6%
50%0%0%10%10%20%10%0%50%0%0%
611%0%0%11%11%0%0%33%33%0%0%



 私たちは主人公の心理を+、0、−に分類した後、心理変化をさらに4つに分類した。+−・+0・0−と、「はじめの心理」よりも「終わりの心理」が悪くなるものを暗転型、−−・00・++と、「はじめの心理」と「終わりの心理」が変化しないものを不変型、−0・0+・−+と、「はじめの心理」よりも「終わりの心理」が良くなるものを好転型、0±・0*を特殊型とした。
詳しくは3.研究方法のページをご覧ください。
・1年生全てが+で終わっていて、好転型が88%を占めている。
・2年生好転型が47%、不変型が33%、暗転型が20%を占めている。
・3年生好転型が62%、不変型は38%を占めている。また不変型のうち、−→−という心理が悪いままのものと+→+という良いままのものが15%ずつと同じ割合を示している。
・4年生不変型のうち−→−という悪いままのものはない。またこの学年では、0→±(ごんぎつね)や、0→*(世界一美しいぼくの村)という特殊なものがみられる。
・5年生好転型が60%を占めている。また好転型のうち−→+と最も大きく心理が好転しているものは50%を占めている。残りは不変型で、暗転型はみられない。不変型のうち−→−・0→0のものはそれぞれ10%を占め、+→+は20%を占めている。
・6年生好転型が67%を占め、不変型は22%を占めている。暗転型は+→−という最も大きく心理が暗転しているもの(川とノリオ)のみとなっている。

【出版社・学年ー心理変化】

心理変化
出版社・学年+-+00---00++-00+-+0*
光村100000105100
光村200000100300
光村300001102000
光村401000001110
光村500000100300
光村600001001100
教出100000102300
教出220000200100
教出300020002100
教出400104001110
教出500010100100
教出610010000100
東書100000003100
東書200100201200
東書300000101200
東書400000200011
東書500001010100
東書600000002100
心理変化
出版社・学年+-+00---00++-00+-+0*
光村10%0%0%0%0%14%0%71%14%0%0%
光村20%0%0%0%0%25%0%0%75%0%0%
光村30%0%0%0%25%25%0%50%0%0%0%
光村40%25%0%0%0%0%0%25%25%25%0%
光村50%0%0%0%0%25%0%0%75%0%0%
光村60%0%0%0%33%0%0%33%33%0%0%
教出10%0%0%0%0%17%0%33%50%0%0%
教出240%0%0%0%0%40%0%0%20%0%0%
教出30%0%0%40%0%0%0%40%20%0%0%
教出40%0%13%0%50%0%0%13%13%13%0%
教出50%0%0%33%0%33%0%0%33%0%0%
教出633%0%0%33%0%0%0%0%33%0%0%
東書10%0%0%0%0%0%0%75%25%0%0%
東書20%0%17%0%0%33%0%17%33%0%0%
東書30%0%0%0%0%25%0%25%50%0%0%
東書40%0%0%0%0%50%0%0%0%25%25%
東書50%0%0%0%33%0%33%0%33%0%0%
東書60%0%0%0%0%0%0%67%33%0%0%



●光村図書好転型が70%を占めている。また好転型のうち0→+、−→+それぞれが35%ずつと同じ割合を示している。不変型は23%、暗転型は4%を占めている。−の心理状態で終わっている作品は一つもみられない。
・低学年暗転型がみられず、心理が−の状態で終わるものもみられない。
1年生では0→+が71%と最も高い割合を示し、−→+・+→+がそれぞれ14%を占めている。
2年生でも同様の傾向がみられ、−→+が75%、+→+が25%を占めている。
・中学年光村の中で唯一暗転型がみられる。
3年生では好転型の0→+のみで50%を占め、+→+・0→0の不変型が25%ずつと同じ割合を示している。
4年生では好転型が50%を占め、依然として好転型の割合が高い。しかし、+→0の暗転型もみられる。また0→±といった特殊な作品(ごんぎつね)もみられる。
・高学年不変型と好転型のみがみられる。
5年生では−→+と最も大きく好転するものが75%を占め、他は+→+の不変型が25%を占めている。
6年生では0→0の不変型・0→+・−→+の好転型がそれぞれ33%ずつの割合を示している。
●教育出版好転型が44%を占めている。また好転型のうち0→+が17%、−→+が27%を占めている。ついで不変型は+→+・−→−・0→0がそれぞれ13%ずつを占めている。好転型は−→+が10%を占めている。最も大きく暗転している−→+の作品がみられるのは教育出版のみである。
・低学年暗転型・不変型・好転型すべてがみられる。
1年生では好転型の−→+が50%0→+が33%を占めている。残りは不変型の+→+で17%を占めている。
2年生では好転型の−→+が20%を占めており、暗転型の+→−が40%を占めている。残りは不変型の+→+で40%を占めている。
・中学年暗転型・不変型・好転型すべてがみられるが、不変型の中でも+→+という不変型はみられない。
3年生では0→+・−→+といった好転型が60%を占めているが、−→−という不変型も40%を占めている。
4年生では不変型の0→0が50%と最も高い割合を示している。また0→+・−→+・0→−はそれぞれ13%ずつの割合を示している。また0→±といった特殊な作品(ごんぎつね)がみられる。
・高学年すべてのタイプが同じ割合でみられる。
5年生では−→+の好転型、+→+・−→−の不変型はそれぞれ33%ずつの割合を示している。
6年生では好転型−→+・不変型−→−・暗転型+→−が33%ずつみられる。心理が−で終わっているものは66%を占めている。
●東京書籍他の出版社同様、好転型が62%を占めている。また不変型の中でも+→+が21%を占めていて、暗転型の作品は0→−が4%を占めている。
・低学年教出と同様に、低学年で暗転型がみられる。
1年生では0→+という好転型が75%を占め、ついで同じく好転型の−→+が25%を占めている。
2年生では−→+の好転型・+→+の不変型がそれぞれ33%を占めている。また、0→−の暗転型・0→+の好転型はそれぞれ17%の割合を示している。
・中学年好転型・+→+の不変型・特殊に割合が集中している。
3年生では−→+の好転型が50%を占め、ついで0→+の好転型・+→+の不変型がそれぞれ25%を占めている。
4年生では+→+の不変型が50%を占め、0→±・0→*がそれぞれ25%を占めている。
・高学年暗転型が見られず、不変型、好転型の割合が高い。
5年生では0→0の不変型・−→0・−→+の好転型が33%と同じ割合を示している。
6年生では好転型しか見られず、0→+が67%、−→+が33%を占めている。

【考察】

 学年ごとの分析結果からは、特徴を見出だすことができなかった。
 出版社ごとの分析からは、三社とも好転型の割合が高く、光村図書は70%、教育出版は44%、東京書籍は62%を占めている。特に、光村図書と東京書籍は好転型・終わりの心理が+で終わっているものを合わせるとほぼ同じ割合である。逆に、好転型が最も低い教育出版は暗転型・−→−という、終わりの心理が−で終わっている作品の割合が非常に高く、様々な心理変化がみられる。
 このことより、好転型や終わりの心理が+であることが多い光村図書や東京書籍では、主人公の前向きな心理を大切にしていると考えた。一方、教育出版では、主人公の様々な心理変化に触れさせることを狙いにしていると考えた。
 また、学年ごとの心理変化の傾向がみられなかったのは出版社ごとの傾向にも関わりがあると言えるのではないか、と私たちは考えた。


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