出野(張)教授著『五感で読む漢字』の翻訳本 韓国にて出版
2025年2月、『五感で読む漢字』(文春新書、2012年)が南美英(漢字学者)の翻訳により韓国の亦楽出版社にて出版されました。本書は、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)に関わる文字が作られた頃の甲骨文・金文・小篆の時代に立ち返り、その時代の原初的な意味を探る内容で、古代中国の社会状況や風俗、あるいは宗教の在り方を考察するものです。「五感」に関わる漢字は古代中国人の感性が反映されており、現在の意味とは全く異なるものも多く見られます。現在の我々とは異質で不思議な世界を垣間見ることで、現在の自分の考えや情念の根拠を対比的に強く認識させる機会になるのではないでしょうか。本書は、2012年の出版の後に、武田鉄也氏がラジオ番組の「今朝の三枚おろし」で5日間、その内容が放送されたことで、当時、インターネットにも多くの書評が寄せられ、反響があったものです。今回、韓国語版が世に出たことで、ぜひ、多くの人たちに本書を読んでもらい、人間の感性を考察する機会にしてもらえればと期待しています。
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