キャンパス周辺の自然
大阪教育大学柏原キャンパスは、二上山地の独立峰寺山(標高294m)の北側
斜面麓に位置する。北に大和川を隔てて信貴・生駒山地が、南に大和葛城・金
剛・和泉葛城山地が屏風のように連なる(金剛生駒紀泉国定公園)。比較的自
然度が高い大和葛城山(標高959m)の植生から類推すると、キャンパスの極く周
辺の山々(標高約100〜500m)の原植生は陰樹のシイ林やカシ林などの暖温帯
照葉樹林であったものと思われる。しかしこの地域一帯は古くから薪炭林など
里山として多目的に激しく利用され、現在自然林と見える森林のほとんどは、
実は陽樹のアカマツ、コナラ、モチツツジなどからなる二次林(代償植生)であ
る。『レッドデータブック近畿版』には、二次林を主な生育の場所とする351種も
の植物が保護上重要な種としてリストアップされており、今の日本列島の動植
物を考えるとき二次林は忘れてはならない存在となっている。 .
柏原キャンパスには、平成4年4月の開校以来、約50種の樹木からなる二次
林を周辺縁地帯として残しつつ、これまでにさまざまな樹種の植樹が行われて
きた。その中にはアケボノスギやコノテガシワといった本学や柏原市にゆかり
の深い樹種のほかに、旧分校からの移植や教職員及び学生などによる植樹な
ど記念樹も多い。草本植物も含めると400種を越える植物が四季折々の賑わい
を見せてくれる。またそれらの植物を生活の場とする動物も豊富である。最近
の調査により、キチョウ、ツバメシジミ、ベニシジミなど50種余りのチョウや、シ
ョウジョウトンボ、シオカラトンボ、アキアカネなど約30種のトンボの仲間が確認
された。野鳥は周辺縁地帯を中心にヒヨドリ、コゲラ、ホオジロ、ジョウビタキ、
ホトトギスなど40種余りが目撃され、その中には府内で希とされるハギマシコや
オオマシコも含まれる。ほ乳類はノウサギのほかにキツネ、タヌキ、ヒミズモグ
ラ、アカネズミなどが夜間に出没しているようだ。 .