5-1.態度

【学年ー態度】

態度








114300
214010
36421
47504
57300
65301
態度[%]








182%18%0%0%
293%0%7%0%
346%31%15%8%
444%31%0%25%
570%30%0%0%
656%33%0%11%



 主人公のきっかけに対する行動を、私たちは積極的・受容的・消極的・無力の4つに分類した。その中で積極的は最も多く、3社6学年全72作品中53作品で74%を占めている。ついで多い受容的は18作品であり、25%を占めている。まずは学年ごとに、その傾向を探ってみることとした。以下がその傾向である。
詳しくは3.研究方法のページをご覧ください。
・1年生積極的が82%を占め、受容的は18%を占めている。
・2年生積極的が93%を占め、6学年の中で最も高い割合を示している。全体で2番目に多い受容的がみられない。残りの7%は消極的が占めている。
・3年生積極的が46%に減少し、受容的は31%に増加している。消極的が6学年の中で最も多く取り上げられ、15%を占めている。また無力も8%を占め、多様な態度がみられる。
・4年生無力(戦争教材)が25%、受容的は31%を占めている。積極的は44%と減少し、6学年中最も低い割合を示している。
・5年生積極的が70%、受容的は30%を占めている。5年生では、積極的と受容的の2種類の態度しか見られない。
・6年生無力が11%に増加し、積極的が56%に減少している。また、受容的な作品も33%を占めている。

【学年出版社ー態度】

態度








光村14300
光村24000
光村32101
光村41201
光村52200
光村62100
教出16000
教出24010
教出31220
教出44301
教出52100
教出61101
東書14000
東書26000
東書33100
東書42002
東書53000
東書62100
態度








光村157%43%0%0%
光村2100%0%0%0%
光村350%25%0%25%
光村425%50%0%25%
光村550%50%0%0%
光村667%33%0%0%
教出1100%0%0%0%
教出280%0%20%0%
教出320%40%40%0%
教出450%38%0%13%
教出567%33%0%0%
教出633%33%0%33%
東書1100%0%0%0%
東書2100%0%0%0%
東書375%25%0%0%
東書450%0%0%50%
東書5100%0%0%0%
東書667%33%0%0%



 全ての出版社で、積極的な作品が最も多かった。学年と同様に出版社、さらに出版社の学年ごとに傾向を探ってみた。
●光村図書消極的が一つもみられない。受容的が35%で3社中最も高い割合を示している。
・低学年1年生では積極的が57%を占め、その他は全て受容的で43%を占める。
2年生では積極的の割合が100%を占めている。
・中学年消極的以外の全ての態度が見られ、多様であることが分かる。
3年生では積極的が50%を占め、無力、受容的はそれぞれ25%の割合を示している。
4年生では、消極的以外の態度がそれぞれ25%を占めている。
・高学年低学年同様、積極的・受容的の2つの態度のみが見られる。
5年生では、積極的と受容的がそれぞれ50%ずつの割合を示している。
6年生では、積極的が67%、受容的が33%という割合を示している。
●教育出版積極的が60%と多いものの、4つのタイプの作品すべてがみられる。また、消極的は10%でこの出版社でのみみられる態度である。
・低学年積極的が多くみられる。
1年生では積極的が100%となっている。
2年生では積極的が80%を占め、消極的は20%を占めている。
・中学年全てのタイプがみられる。
3年生では消極的、受容的がそれぞれ40%を占め、積極的は20%を占めている。
4年生では積極的が50%を占め、受容的が38%、無力は13%を占めている。消極的はみられない。
・高学年光村、東書の6年教材と比較すると、唯一3つの態度をとっている。
5年生では受容的33%、積極的67%という割合を示しており、2つの態度のみがみられる。
6年生では無力・受容的・積極的がそれぞれ33%の割合を示している。
●東京書籍積極的が全24作品中20作品で83%を占めており、他社に比べて遥かに高い割合を示している。消極的な作品がみられない。
・低学年1年生も2年生も積極的な作品が100%を占めている。
・中学年光村・教出の中学年が多様な態度を示しているのに対して、東書では態度に偏りがみられる。
3年生では積極的が75%、受容的が25%を占めており、二つの態度のみがみられる。
4年生では無力と積極的が50%ずつの割合を示している。
・高学年積極的が大半を占める。
5年生では積極的が100%を占めている。
6年生では積極的が67%を占め、受容的が33%を占めている。

【考察】


 小学校教材における主人公の態度は、積極的と分類できるものが多いと言える。
 学年別の分析では、1、2年生で積極的の割合がそれぞれ82%、93%を示している。3、4年生では46%、44%と割合が減少するものの、5年生では再び70%と割合が高くなり、6年生でも積極的が56%を占めている。
 学年・出版社別の態度分析では、光村図書4年生、教育出版3、6年生以外では積極的が50%以上を占めており、このことからも積極的の割合が高いことがわかる。
 このことは、教科書編集者が読み手である児童に対して、物事に積極的に働きかける態度を身につけることを意図したのではないかと考えた。
 また、もう一つの傾向としてどの出版社でも中学年では多様な態度があらわれるということも言える。
 学年別の分析から、1、2、5年生では態度が2種類のみとなっているが、4、6年生では3種類、3年生では4種類の態度がみられる。
 学年・出版社別では、光村図書3、4年生、教育出版3、4、6年生で3種類の態度がみられ、やはり中学年に多様な態度があらわれていると言える。
 出版社別の傾向としては、3つの出版社に共通して積極的の割合が高いと言えるが、特に東京書籍では積極的の占める割合が高く、24作品中20作品、83%が積極的態度となっている。光村図書では東京書籍に比べ、積極的の割合がやや低くなり、受容的な作品が3つの出版社の中で最も高い割合となっている。教育出版では3社の中で唯一消極的と分類される作品がみられ、2つの出版社に比べ積極的の割合が低くなっている。
 このことから、東京書籍、光村図書で前向きな態度のものが多く掲載されていると言える。


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