1.理論

2本の異種の金属線の両端を、電気的に接続し、その接合部を異なる温度に保つと回路内に起電力を生じ電流が流れる。この起電力Eは、2つの接合部の温度差に比例し近似的に

E=αθ+1/2βθ2 [μV]

(両接点間の温度差 θ−θ=θ、α、βは2本の針金の種類に関係する定数)であらわされる。したがって、一方の接合部を基準温度(低温接点θとして、通常0℃を用いる。)にしておいて回路内の起電力を測定すれば、他方の接合部(高温接点)の温度を求めることができる。

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2.熱電対の歴史的背景

ドイツのゼーベック(Thomas Johann Seebeck,1770-1831)は、湿った動体を用いなくても、ただ2種類の金属を接触させただけで電流が得られるのではないかと考え、ビスマスと銅の各一端をつないで他端に検流装置(電流が流れると磁針が触れるもの)をつないで、これを試みたところ、両金属の接点を指で押さえたときに電流が生じるということ見出した。これはこの接点が指で熱せられるからで、反対に接点を冷却しても電流が得られることを彼は続けて発見した(1821)。これが「ゼーベック効果」である。これからヒントを得て、フランスのペルティエ(Jean Carles Peltier,1785-1845)は、その逆の現象を探求した。その結果2種類の金属の両端を接触させて電流を流すと、接点では電流の方向により加熱または冷却が起こることがわかった(1834)。これが「ペルティエ効果」である。


3.熱電対の応用例

@熱電温度計:工業的計測によく用いられるもの:(熱起電力そのものは小さいにもかかわらず、半導体よりは金属の方が温度の精密測定には通常好んで使われている。金属の方が安価で、細線のような便利な形に加工しやすいこと、より再現性の高い熱電気特性を持つことなどの理由による。)

 銅−コンスタンタン (300℃ ぐらいまで)
 クロメル−アルメル (1000℃ぐらいまで)
 鉄−コンスタンタン (600℃ ぐらいまで)
 白金−白金ロジウム(300℃ ぐらいまで)  

温度計の歴史

A熱電気発電機:放射線源、特にストロンチウム90は小さな、厳しい状態で用いられる熱電気電池のための熱源として利用されている。燈台、無人気象観測所、石油基地、心臓のペースメーカー、人工衛星など。

4.カリキュラムとの関連(熱,電気)

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