学校での怒りの多次元尺度日本語版の信頼性・妥当性の検証(2012年 心理学研究)
アメリカで作成された「学校での怒りの多次元尺度」の日本語版をについて、小学校高学年から高校生までを対象とした調査により、信頼性と妥当性を検討した。
分析の結果、怒り体験・皮肉的態度(学校への敵意)・破壊的表出・積極的対処という、原尺度と同じ項目数・因子構造の尺度が作成された。また、再検査信頼性や内的一貫性による信頼性の検討、および怒り関連の尺度や教師評定(ノミネーション法)による妥当性の検討を行った結果、いずれも使用に耐えうる水準にあると判断した。さらに、学校段階別の得点を比較したところ、皮肉的態度は中学生で高まること、破壊的表出は小学生から高校生までさほど異ならないことなどが明らかとなった。
学校での怒りの多次元尺度日本語版の短縮化(2012年 富山大学人間発達科学部紀要)
先に作成した「学校での怒りの多次元尺度日本語版」について、4下位尺度を各5項目から構成する20項目の短縮版を作成し、信頼性・妥当性の検証および年代別の得点の特徴に関して、原尺度との異同を検討した。
分析の結果、短縮版は信頼性・妥当性を損なっていないこと、年代別の得点の特徴も原尺度とほぼ一致することが示され、短縮版の実用性が示された。さらに、得点の換算表を作成し、学校での怒りに関する簡便なアセスメントツールとしての活用を提案した。
小中学生における学校での怒りの次元間の相互影響性の検討(2013年 富山大学人間発達科学部紀要)
小中学生を対象とした2波のパネルデータについて、交差遅延効果モデルを適用し、学校での怒りの認知―感情―行動の各次元間の関連性を検証した。
分析の結果、小学生のうち、男子については積極的対処が怒り体験へ抑制的な影響を及ぼすこと、女子については怒り体験が破壊的表出から促進的な影響を受け、一方で積極的対処に対しては抑制的に影響することが明らかとなった。中学生については、男子において破壊的表出が怒り体験や学校への敵意に正の影響を及ぼし、また積極的対処から破壊的表出にも正の影響を及ぼすことが、そして女子において敵意と積極的対処が相互に抑制的な影響を及ぼし、学校への敵意から怒り体験に正の影響を及ぼすことが明らかとなった。
小中学生における学校での怒りとストレッサーとの関連の検討(2014年 富山大学人間発達科学部紀要)
小中学生を対象に、重回帰分析によって、学校での怒りと学業・教師・友人・自己および親ストレッサーとの関連性を検討した。
分析の結果、怒り体験に対しては、小学生男子においてのみ友人ストレッサーと正の関連が示された。学校への敵意に対しては、小中学生の男女とも、教師ストレッサーが有意な正の関連が得られた。また中学生男子のみ、親ストレッサーとも正の、中学生女子のみ、学業ストレッサーと正の、自己ストレッサーと負の関連が示された。破壊的表出に対しては、小中学生の男女とも、教師ストレッサーとの関連が有意であった。また小中学生の男子のみ、友人ストレッサーと正の、中学生の男女とも学業ストレッサーと正の関連が示された。積極的対処に対しては、小学生男子以外、自己ストレッサーと正の関連が示された。
中学生の学校での怒りと自動思考との関連性の検討(2015年 ストレスマネジメント研究)
中学生を対象とした、学校での怒りと自動思考(ポジティブおよびネガティブの2種類)に関する2波のパネルデータについて、交差遅延効果モデルを適用し、両者の経時的関連性を検討した。
分析の結果、男子はポジティブ自動思考から学校への敵意への抑制的な即時効果が示された。女子については,ネガティブ自動思考は学校への敵意に遅延的な促進効果を示し,ポジティブ自動思考と学校への敵意は相互に即時的な抑制効果を及ぼし合っていた。女子ではさらに,ポジティブ自動思考から積極的対処に促進的な遅延効果も示された。
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