FAQ-01
教材使用にあたって
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訪問先の美術館に連絡を取るにはどうしたらいいですか?
美術館には教育普及担当学芸員がいますので、担当部署に電話やメールでアポイントを取りましょう。美術館訪問の打ち合わせにあたり、学校名、対応者、訪問予定日・時間、人数、支援(車椅子、手話、点字など)、要望など話し合う内容を事前に用意しておくと便利です。
メモのサンプルは、こちらからダウンロードできます。 -
本教材と学習指導要領との関連について教えてください。
本教材は、社会科見学等で美術館を訪問する機会の多い中学年児童を対象に作成しています。
『小学校学習指導要領』第2章 第7節 図画工作では、小学校3・4年生の鑑賞の活動について「身近にある作品などを鑑賞する活動を通して、自分たちの作品や身近な美術作品、製作の過程などの造形的なよさや真面目さ、表現したいこと、いろいろな表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げること」と表記しています。 また、指導計画の作成と内容の取扱い(8)では、「各学年の『B鑑賞』の指導に当たっては、児童や学校の実態に応じて、地域の美術館などを利用したり、連携を図ったりすること」という表記があり、思考力、判断力、表現力等を育成する観点から、児童の発達の特性を踏まえながら「感じたことや思ったこと、考えたことなどを、話したり聞いたり話し合ったりする、言葉で整理するなどの言語活動を充実すること」が求められています。
『アート と ともだち』では、これらに対し、美術館や博物館など、親しみのある美術作品や生活の中の造形などを展示している地域の施設や場所を利用して、児童一人一人が能動的な鑑賞をするための教材を提案しています。 -
美術館に行けない場合、どうしたらいいですか?
本教材は、美術館訪問を想定した教材となっていますが、当然、学校の近くに美術館がない、美術館に行く機会を作ることができないという場合も あると思います。その場合は、美術館の収蔵作品画像データを用いて、鑑賞の授業をすることができます。美術館の画像データベースから素材をダウンロードしたり( 画像によっては、所有者に使用の確認をとる必要のあるものもあります。)、教科書や画集に掲載された作品画像を使用したりすることで鑑賞活動に取り組むことができます。その際は、「美術館へ行ったとき」「発展的課題」で扱っているワークシートなどをご活用ください。
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「アートとともだち」教材のワークシートを少し変えて使用したいのですが・・・。
本教材は、眼前の子どもの実態に合わせ先生方が使いやすいようご自身でつくり替えることを念頭に設計しています。ご自由にアレンジしてください。美術鑑賞の指導方法には”正しい”答えはありません。教師の数だけ答えがあります。本教材が子どもたちのよりよい成長を手助けするものとなることを願っています。
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本教材がねらいとするコミュニケーション能力について教えてください。
本教材では、「人と人との対話」はもちろんですが、「人と作品との対話」も大切にしています。 つまり、「作品鑑賞を通した思考力や感受性」と、「人に伝える行為を通した言語能力」をコミュニケーション能力と捉えています。
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『アートって何だろう?』シートの解説に、「アートについて「正解」を求めるのではなく、子どもの「問い」を引き出すように」とありましたが、もう少し詳しく教えてください。
本教材では、「アート」とは何かを問い、「アート」を作る人はどのような人なのか?「アート」を収集・保存・展示する美術館とはどのような場所なのか?「アート」から私たちはどのようなメッセージを受け取るのか?といった問いをもとに構成しています。「『アート』とは何か?」という問いは、「『ひと』とは何か?」を問うのと同じように、辞書通りの回答だけでなく、人それぞれ回答があるものです。これらの問いは、子ども自身が「アート」を実体験の中から発見するための方法であると考えています。
FAQ-02
共同研究
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大阪教育大学と絹谷幸二 天空美術館との共同研究について教えてください。
本教材は、2019年度に取り組んだ次の2つの研究をもとに開発されました。
1. 積水ハウス株式会社CSR(現・積水ハウス株式会社ESG経営推進部)部委託による受託研究「コミュニケーション向上に向けた美術館を活用した美術鑑賞教育プログラム開発」
2. 文部科学省科学技術人材育成費補助費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」「『美の力、芸術力によって、人を元気にする』実践と研究~鑑賞における技術とは~」
これら研究の背景には、積水ハウス株式会社ESG経営推進部 美術館事業室が設立・運営する「絹谷幸二 天空美術館」での大阪市立小学校の鑑賞実践の取り組みがありました。そこでは、専門知識を持つ講師が対話型鑑賞による事前指導を行うことで、有効な鑑賞学習が実践されていました。美術館での鑑賞学習前に学内で行う事前学習の充実が重要であることを再認識する一方、ファシリテーションの方法や、事前に見せる作品の選択など、鑑賞教育の経験が浅い教員にとっては「その有効性を了解していても取り組むまでのハードルが高い」という課題が見られました。このような状況に鑑み、学校現場の先生方がより簡単で円滑に、事前学習や美術館での鑑賞学習を実施できるような教材の開発を目指して取り組みました。 -
大阪教育大学とRethink PROJECTの共同研究について教えてください。
『鑑賞ルーペ』の「視点を変えて集中して物を見ることで新しい気づきや発見をすることができる」という特長が「Rethink PROJECT(リシンク・プロジェクト)」が掲げる「視点を変えて、物事を考える」というキーワードと合致したため、2020~21年度、大阪教育大学美術・書道教育部門と日本たばこ産業株式会社(JT大阪支社) との共同研究を行いました。Rethink PROJECTについての詳細はこちら。
この共同研究では、JTが所有する「JTの森」の桧の間伐材を活用したRethinkロゴ入り鑑賞ルーペ(通称:間伐材の鑑賞ルーペ)を量産して実践活動に使用しています。間伐材を材料とすることで、自然、資源循環、持続可能といった社会や学校での教育で活用されるSDGs教材モデルとして提案しています。 -
間伐材を活用した鑑賞ルーペについて教えてください。
FAQ-03
その他
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本教材を作成するにあたって参照した先行研究などはあるのでしょうか?
アメリカで実績のある美術館訪問プログラム『Art Speaks!』教材を参考に本教材を作成しました。『Art Speaks! ART LITERACY, MUSEUMS: CONNECTING VISUAL ARTS AND LANGUAGE ARTS』は、フィラデルフィア の公立学校4年生のために特別に意図された美術訪問プログラムで、2006~2009年の3年にわたり、フィラデルフィア学区とフィラデルフィア地域の美術館が連携協力し作成された教材です。『ART SPEAKS!』では、「アーティストは作品を通して私たちは何かを伝えている・生徒たちは見たものに対し感受したことを表現できるようになる」という関係性を教材名に込めています。また、副題である「Connecting Visual Arts and Language Arts」は、美術作品の感受に関連し、子どもたちの言語活用能力育成を重視するプログラムであることを示しています。(“Art Speaks! PROJECT DIARY” p.9)
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ロゴをデザインをしたのは学生さんですか?
はい。美術教育コースの学生(坪井雅予さん )が制作しました。
『アート と ともだち』のロゴの「アートと」の部分は、上下どちらから見ても「アートと」という同じ文字に見えるようにデザインされています。これには「アート」はどの視点から見ても楽しむことができるという意図が込められています。また、「ともだち」の「と」と「ち」が仲良く握手をしているのは、アートを通して友達やつくり手と交流できることの楽しさを、そして、枠はワクワク感を表現しています。 -
キャラクターをデザインをしたのは学生さんですか?
本教材に親しみを持ってもらうために、制作スタッフが、3つのキャラクターのコンセプトを考えました。そして、美術教育コースの学生(坪井雅予さん) がキャラクターを制作し、「ナンダ カンダ」君 、「かんが えーる」ちゃん、「かんぱんだ」が誕生しました。 これらは、「鑑賞」「美術館」「感じる」などに共通して用いられる「かん」という日本語の音にちなんで、 「缶」をモチーフとしたキャラクターとなっています。キャラクターは、それぞれ「さば缶」「ジンジャエールなどのジュースの缶」「非常食の乾パンの缶」を身につけています。カンダ君は、ひらめくと頭の缶が開くという設定になっています。えーるちゃんは、考えることが大好きな女の子です。かんぱんだの鼻と口は、『アート と ともだち』の頭文字AとTを組み合わせた形になっており、関西弁で盛り上げます。
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キャラクターの関連グッズなどはありますか?
キャラクターのシールがあります。ワークシートを使ったとき「よくできました」スタンプのように使用していただけます。実践報告をお送りくださった方にはシールをお送りしています。
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鑑賞ルーペを購入することはできますか?
現在販売はしておりません。